春から大学生活を始めた方も、多いと思いますが、けさは学生の味方、奨学制度の話題。というのも、最近は「奨学金」以外の奨学制度が広がっているんです。5月8日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、取り上げました。
では「奨学金」じゃない奨学制度とは、いったいどんな奨学制度なのか。武蔵野アブラ學会の木村考宏さんのお話です。
★早稲田にある武蔵野アブラ學会「奨学米制度」
- 木村考宏さん
- 「早稲田にあるあぶらそばの専門店で、武蔵野アブラ學会の早稲田店で今回はですね、2018年の後期の成績がGPAという成績の基準がありますけれども、それの1.0以下の方に限る奨学制度、簡単に言うと、めちゃくちゃ成績が悪い子たちに、我々はご飯を何杯でもサービスしますよって言う制度でございます。無限ライスです。うちの店は、学校にものすごく近くてですね、こういう制度でとりあえずご飯を食べに来るついでに、授業に出てみてはどうかと。僕も大学時代、学業がよくなくてわかるんですけど、やっぱり成績が悪い人たちは日の当たらない学生生活というかですね、やはり奨学金とか本物のほうは一切はしにも棒にもかからない生活をおくってるんで、出席率が上がれば、何とか成績っていうのは通るもんですから、まずは1回ちょっと頑張ってきてみようと、お昼ご飯食べに来る位のつもりで学校に来てもらいたいな、そういうつもりでやっています」
この汁のないラーメン、あぶらそばのお店がやっているのは、奨学米制度。
普通、成績が良いのが奨学生の条件ですが、こちらは成績の悪い学生が対象で、お店に自分の成績がこんなに悪いですよと言う証明をして、お店に奨学生と認定されると、通常100円のライスとそのおかわりが無料になる、いわゆる無限ライスのサービスを受けれると言うものなんです。
お店は早稲田大学の近くにあって、早稲田の学生の間では「學会」と言えばこの店だそう。
そんな學会の創業者の木村さん、学生時代に成績が悪かったそうで、ギリギリ卒業、ゴルフで言えば何とかパーとって卒業した感じだったので、勉強が苦しい学生を応援したいと制度を思いついたそう。
実際にこの制度を利用している学生にも話を聞きました。
★奨学米制度の奨学生
阿部さん
- 「自分も去年成績が良くなかったんで、自分も頑張って授業行ってたんですけど、ちょっと落としちゃって、それでちょうどこの機会に応募したいと思って応募しました。2年の時にむっちゃ単位を落としたって感じですね。まだ4年で卒業できるらしいんですけど、これ以上落とすと、結構来年の就活に響いてくるなと言う感じなので、今年は頑張りたいです。(友達に言ったりとか?)あー言ってます。つい最近、學会のGPAのやつ応募しましたって言ったら、ほんとにこういう奴いるんだなって言われまして驚かれました。話のネタにもできたんで、普通においしいなって思いました。(お友達以外に言ったりとかしてます?)さすがに、親の人には口が裂けても言えないので、こういう事は。家とか親戚の人にはさすがに言えないですね。」
阿部さん、ライス無料になった事と今年単位を取れないと来年の就職活動に響くという事で、今年はライスと単位をとるとやる気になっていました。
今のは、ライスで援助するというお店の奨学制度の話でしたが、他の食材で学生を援助しようと動いている企業もあるんです。株式会社ファクトの久保智さんです。。
★お肉レストランなど運営のファクト「奨学肉制度」
- 久保智さん
- 「新宿エリアで焼肉店2店舗と肉バルのレストランを2店舗運営している株式会社ファクトで、去年の秋からの奨学金ならぬ、学生にお肉を提供するという奨学肉制度を始めております。そこにいつ来ていただいても、アルコールを除く全商品を無料で提供しますよと言う内容です。私が小学校の時に6年間友達だった子がいるんですけど、裕福ではない家庭の子で、中学になって不良になっちゃったんです。どうせ俺がんばってもみたいなのがどんどん出てきてしまって、そこを思い出したときに、大人になった私がその子に対して、今何か言えるかなと思った時に、日本の奨学金制度って要は借金じゃないですか。今頑張れば、将来借金して大学に行けるから頑張れよと今だということになるんですよ。それってちょっと悲しすぎるなと思って、借金ではない奨学制度をつくっていきたいなと言うところで奨学肉っていうものを始めました」
新宿で4つのお肉のお店を出しているファクトでは、経済的に苦しい学生さんを応援するべく、奨学肉と言う制度を去年から始めているんです。
奨学制度には、ご家庭の収入などの条件があり、あてはまる学生は、ファクトさんの面談で認められると、新宿のお肉のお店4店舗の食事代が期間中いつ行ってもタダになるんです。
企画した久保さんによれば、何かお金じゃない援助を考えていた時に、使い道が見えにくい奨学金ではなく、ちゃんと学生の肉になるお肉の食事代という形で援助しようと思ったそうです。
かなり太っ腹なこの奨学肉制度、では実際に利用している学生はどう思っているのでしょうか。
★奨学肉制度の奨学生
土井アナスタシアさん
- 「そんなに豊かじゃないので、普段そんなにレストランとかでお肉食べれないので、応募しました。同じ星家庭の友達がいるんですけれども、その子に紹介したときは、その子もお肉大好きでよく食べるので、僕も応募するって言ってすぐしてました。(利用されてますか?)だいたい今は週3位です。肉食ですかね。自分で家で作るってなると、結構時間もかかるし、疲れてしまうので、勉強に専念できるのがとてもありがたいなぁと思いますね。この奨学肉を受けるまで、ファクトさんを知りませんでしたし、奨学肉という機会を与えていただいて、将来的にも利用していきたいなぁと言う事は考えたので、大学生にとっても企業を視野に入れたりすることもあると思うので、企業的にも学生的にもどちらにとっても良いことなのかなぁとは思います」
土井さんは、バイト帰り夜の10時にひとり肉という使い方もしているそうで、一人暮らしで夕食を作らずに済んで、その時間に試験の勉強もはかどるから、助かってますと話してました。
学生時代からこうして企業と結びつく事で将来的に長いお付き合いになりそうという面もあるよう。
土井さんは、ネット通信料金を援助してくれる「奨学Wi-Fi制度」があったら良いのになともお話していました。
いまの奨学制度は決してお金のつながりだけではない動きもあるようです。