年々人気の高まっている「クラフトビール」について、4月29日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずは、クラフトビールとは何なのか?クラフトビールの普及を進める、日本地ビール協会・理事長の山本祐輔さんのお話です。
★ワサビ味にホタテ味!多彩な味のクラフトビール
- 日本地ビール協会・理事長 山本祐輔さん
- 「日本では1994年の規制緩和で誕生した、小さな醸造所で作るビールです。手作りなので「ハンドクラフト」、略して「クラフトビール」と呼ばれている。多くの味と香りがあり、日本は世界より副原料の種類が多く、ワサビやホタテのエキスを使うなど変わったものもある。少量生産で、多様性を楽しむもの。」
規制緩和以降、小規模な設備でも作れることからクラフトビールの醸造所(ブルワリー)が次々と誕生。いまでは国内に400以上の醸造所があるそうです。ちなみに、かつて「地ビール」と呼ばれていたものも、「クラフトビール」という呼び名に変化してきています。
★クラフトビールは作りやすい
東京都世田谷区の経堂にあるクラフトビールビールの醸造所「後藤醸造」のオーナー 後藤健朗さんは、元々企業の営業職だったそうです。畑違いの仕事を始めた後藤さんに、クラフトビールの作り方や魅力を聞いてみました。
- 「後藤醸造」オーナー 後藤健朗さん
- 「仕組みとしては簡単で分かりやすい。こだわりの部分はあるが仕組みは簡単で麦の糖分を発酵させてアルコールと二酸化炭素に変えて1ヶ月置けばビールになる。他のお酒に比べて作ってから飲める状態になるのには1カ月弱と短いスパンで出来るので、改良や次回のやり方など意見を反映しやすいのも魅力の1つですね。」
クラフトビール好きが高じて醸造所をオープンさせた後藤さん。「酒類製造免許」を取得し、脱サラしてお店を経営しています。
★世田谷みやげに「経堂ビール」はいかが
また、併設するビアバーでは個性的なビールを提供をしています。
- 「後藤醸造」オーナー 後藤健朗さん
- 「「経堂エール」というアメリカ産ホップを使ったエールビールと、生姜を使ったエールビールの「ジンジャーエール」。他に、いま発酵中の物は、経堂の家の庭に出来ている甘夏を使ったもの。なり過ぎて自分達だけで消費できないということで、持ち込んで頂いた。僕は東京農業大学の農学部卒なので、麦などの原料の知識や副原料にも気を使っている。」
このような小規模な醸造所が増え、個性豊かなオリジナルのクラフトビールが次々と誕生する流れができていました。
★三鷹で飲める「キウイビール」
さらに、東京都三鷹市にも今年に入り醸造所が誕生していました。三鷹市下連雀にある「オージーエー・ブルーイング」は、三鷹市の地元特産品を使ったクラフトビールを作っています。ゼネラルマネージャーの小笠原恵助さんのお話です。
- 「オージーエー・ブルーイング」ゼネラルマネージャー 小笠原恵助さん
- 「クラフトビールの中でも基本形を作り続けている。キウイは三鷹の特産品で、お店を市民の人に知ってもらうためにキウイを使った。三鷹の文化としてクラフトビールを根付かせたい。日本各地にブルワリーがあるが、その中でも三鷹の特徴を出す為のキーワードになれば良いなと思っています。」
実は三鷹市は、都内で一番のキウイの生産量を誇ります。小笠原さんの作るクラフトビール「キウイフルーツビール」は、醸造所に併設する「カフェ・フープ」で飲むことが出来ます。
★クラフトビールを巡る「御“酒”印帳」の旅
さらに、取材に伺った金曜の17時前には地元の人や 都内在住のお客さんも来店していたので、感想を伺いました。
- ●「今日はオリジナルの3種類を買った。地元の商店街の集まりで土産に持って帰ってもらう。地元の三鷹ではここだけで良いお土産になる」
- ●「あと1種類残ってるけど、全種類飲みます。クラフトビール巡りをしていて、全国のものを飲みつくそうと巡っている。整理しないと分らないが100ヵ所は行ってる。鉄道の“乗り潰し”と一緒で“飲み潰し”。行ってみたら空振り、っていうのもある。宮古島に行ったらたまたま休みだったり、潰れてたりした店もあった。」
二人目の男性は65歳で、全国各地のクラフトビールを呑み歩いているツワモノでした。また、日本だけでなく、フランスやイタリアなどのワインの産地では、日本より多くの醸造所があるなど、世界規模でブームが広がっているようです。