日本人の本離れ、活字離れが進んでいる、といわれるようになって久しいですが、そんな世間の流れとは逆行して、ここ数年で本に関するとあるサービスがとても需要が伸びてきている、といいます。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!4月17日(水)は、レポーターの近堂かおりが『続々登場、本の要約サービス。人気の理由はどこに?』をテーマに取材をしてきました。
★本の要約サービスが人気!
どんなサービスなのか。株式会社フライヤー、プロモーションマネージャーの井手琢人さんのお話です。
- 井手琢人さん
- 「ビジネス書や教養書がメインになるんですが、たくさん発売されているものを、1冊10分で読める要約という形で、皆さんにご提供しているサービスです。今1600冊超えたぐらいなんですけども、1日1冊ずつ新しい本が更新されていくシステムになっていまして、なので年間365冊増えていくわけです。パソコンでアクセスして読めたり、あとはスマホでもアプリで読めます。会員はちょうど35万人を突破したところです。ここ1、2年の伸びがすごくてですね、はじめは本の要約って何ですかという感じだったんですけど、本の要約を読んでから本を買うというのが、少しずつ認知が広がってきた形で、ここ1、2年で伸びが進んでますね。」
フライヤーは6年前に開始したサービスで、現在、個人法人合わせて会員数は35万人。1冊分が10分で読める量に要約されていて、スマホで5ページ分くらいのちょうど良い文章量(4000字程度)。フライヤーが厳選し、要約した書籍の中から、書名、著者、ジャンルなどで、自分のニーズに合わせて検索して読むことができます。
特に忙しいビジネスパーソンに好評のサービスで、通勤時間帯の利用などが多いそうです。本が売れない、と言われている中でも、ビジネス書の市場は活況。近年は、一年間に6~8000冊が出版されているといわれていて、それを選んで読むのは大変な作業。そこで要約を読んでから買えるので無駄をなくせる、というわけです。
★要約を音声で読み上げるサービスも!
さらに新しい取り組みも始めているといいます。フライヤーの井手さんのお話です。
- 井手琢人さん
- 「音も昨年からやってまして、音声で要約を読み上げてくれる。文字で読むと1冊10分ぐらいかかるんですけど、音声でも15分くらいで聴けるように音声版も用意しているので、スマホがひらけない電車ですとか、皿洗いをしている間とか、そういったときは音声版でも楽しめるようにしています。あとは、目の見えない方ですとか、そういった方にも読書機会を与えたいというのもあって、新しい読書の仕方として提供しています。音声でもスキマ時間を使えるなと思ったんですよね、耳の文化がだんだん戻ってきているというのは実感しています。音声版使われてるじゃんみたいな。」
最近ではオーディオブックという形、新しい読書の仕方として定着してきてますが、要約で15分くらいなら、スキマ時間を有効活用できますよね。車移動が多い方、家事の合間、活字が苦手な方、目の不自由な方にも優しいサービスで、これからますます広がっていきそうですね。
★偶然の出会い、で人気!
フライヤーはどちらかと言えば自分から検索して読む形のサービスでしたが、違ったコンセプトのサービスもありました。
書籍ダイジェストサービス【SERENDIP(セレンディップ)】を運営する、株式会社情報工場の冨岡桂子さんのお話です。
- 冨岡桂子さん
- 「一般的に要約サービスというと、読みたいものを効率よく時短で中身を知れるサービスだと思う方が多いんですけど、私たちはそういったサービスではありません。どういうことをしているかというと、今は変化の激しい時代で、こういった時代の中だと変化に対応したいと思って、視野を広げていきたいと思っている、いろんな情報を取りたいと。でも自分だけで取りに行く情報は偏ってしまいがち、意外と新しい情報に出会えないんです。そこの情報の偏りの部分をセレンディップではサポートする形になっていて、お客様の欲しい情報のジャンルは聞かずに、こちらで厳選した良質な本のハイライトを10分で読めるダイジェストの形にして、週に4回配信しているサービスです。」
こちらのサービスで特徴的なのが、ユーザーの希望は基本的には聞かない、というところ。今は検索アルゴリズムで自分に最適化された情報が出てくる世の中、あえて【偶然の出会い】をしてもらうのが目的です。
また、要約ではなくて、ダイジェストというところも特徴で、著者の感性、表現をそのままで読むことができるようになっています。
また、日本未発売の外国の書籍(ビジネス書、科学、美術、教養などジャンルは様々)もいち早くダイジェストとして読むことができるのも好評です。(もちろん日本語。ちなみに、こちらは3000字程度のダイジェストです。)
こちらのセレンディップも、やはりここ数年で急激に会員数が増加。時代の変化が早く、AIなど新しい技術の台頭も著しい中で、いろんなジャンルの情報をキャッチアップしないといけないという背景から、サービスへの需要があるそうです。
★費用対効果ではなくて、投資ですよね。
こうしたサービスの需要は個人だけには留まらなくなってきていると、セレンディップの冨岡さんはおっしゃいます。
- 冨岡桂子さん
- 「私たちのサービスの特徴として法人での導入が非常に多いんですね。各部署だったり、会社全体だったり情報を取得するツールとして使ってもらってるんです。例えばいろんな発想のネタにするためだったり、マネジメントとかリーダーシップを取っていくための参考だったり、そんなリアルな使い方をしているかたが多いですね。5年前くらいですと、費用対効果を言われることが多かったんですが、3年前くらいから潮目が変わって、これは費用対効果でなくて投資ですよねっていう風に言われることが増えてきました。そのぐらい企業としても、新しい発想ができる組織を作りたいということで、必要なサービスとして導入されることが増えてきました。」
実は最初にご紹介したフライヤーも多くの法人からの引き合いがあるそうです。よく『社会人ならとりあえず日経新聞を読め』と上司に言われるものだ、と聞きますが、いまはいろんな書籍の要約やダイジェストでも、情報を吸収しないといけない時代になった、ということなんですね!