新元号の話題で持ちきりですが・・・ほかにも新年度の新しい動きはいろいろあります。今回はそんな中から今大揺れの鎌倉に注目。新たに始った条例について、4月2日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で竹内紫麻キャスターが取材報告しました。
まずはどんな条例なのか、鎌倉市役所 観光課の廣川正さんのお話です。
★新年度、鎌倉の新条例
- 鎌倉市役所 観光課の廣川正さん
- 「今回、「鎌倉市の公共の場所におけるマナーの向上に関する条例」が4月1日から施行ということになります。元々、多くの観光客の方で賑わっている場所で、今回の条例では、特に混雑している状況、大人と大人の肩がぶつかってしまうような状況で、食べ歩きをした場合に注意をして気持ちよく過ごしてほしいという内容で、禁止ということではなく罰則もありません。みんなでマナーを守って過ごしていただければという内容です。」
名称は「鎌倉市 公共の場所におけるマナーの向上に関する条例」。鎌倉市の全域が対象となる条例で、観光客で混雑する場所や狭い場所での食べ歩きについて、ほかの人の服を汚す恐れがあるので「迷惑行為」の1つと位置づけ「自粛」を求めます。しかし、食べ歩きを「禁止」しているわけではなく、販売する側への規制もなし。「混んでいる時は、まわりの人に迷惑をかけないように食べ歩きをしないようにしましょう」というもの。
★人とぶつかる!?目立っていたマナー違反
鎌倉市でこのような条例が出されるのは初めてで、全国でも珍しい条例です。なぜこんな条例を出すことになったのか、その背景には、こんなことがありました。再び鎌倉市役所の廣川さんのお話です。
- 鎌倉市役所 廣川 正さん
- 「元々、観光課や駅前の観光案内場に苦情として「人とぶつかる」という声をいただいていた。アイスやソースの付いた食べ物が衣服に付いてしまったというような声があり、小町通りとしても食べ歩きに関しては問題視していて、すべては賛成できないが、今後一緒に食べ歩きについて行動する良い機会になったという答えをもらっている。」
条例が施行され、今後は市が看板などを設置することになっていますが、実はすでにもう「この場所での飲食はご遠慮ください」という看板がいくつも設置されているのが、JR鎌倉駅から鶴岡八幡宮に続く小町通り。
★小町通り/お店側の苦悩
鎌倉といえば小町通りを想像する人も多いと思いますが、小町通りでは、お団子や焼き立てのせんべい、プリンなど、多くの食べ歩き用のお店が並んでいます。今はどんな状況なのか、小町通りにあるお店にお話を伺いました。
- ●「小町通りから歩いて50メートルくらい入ったところなんですが、看板の前で飲食する人が増えていて、そうすると看板が見えなくなってしまう。店の顔として置いてるので、看板が見えないと、店の顔が見えないという感じ。観光する若い方が増えていて、若い方は食べ歩きが多い。」
- ●「うちは小町通りに面しているので、みなさん別のお店で買ってきたものを、軒先きで食べる方もけっこういる。そうするとお店に来る方に迷惑がかかるというのはあります。ゴミのポイ捨てもあります。うちの裏にゴミを投げられたことも過去にあった。かわいそうな気はするが、観光に来ている方のモラルが問われるかなと思う。」
お話を伺ったのは、和食レストランの「楠の木」と、小町通りで豆腐、豆乳、おから関係のお菓子を販売している、三代目茂蔵。最近は、食べ歩きのマナーの悪さは目立っていて、どちらのお店も「飲食はご遠慮ください」という看板を出していました。食べ歩き禁止でもなく、販売の規制もないので、この条例がどのくらい効果が出るのかはわかりませんが、観光している方に聞いてみると、こんな声が多かったんです。
★小町通り=食べ歩きスポット!?
- ●「路地のすきまとかで食べてる人が多い。ベンチとか作ってくれると良いと思う。食べ歩きするスポットなので、できなくなったら普通にカフェとかで良いかな。」
- ●「いま食べ歩こうかなと思って。小町通りは食べ歩きの場所ですから難しいですよね、マナーもあるし。それ以外の良さもあるし、来るとは思いますけどね。」
若い人ほど「小町通りと言えば食べ歩き」という方が多くいて、ネットで検索してみても、小町通りは「鎌倉の食べ歩きスポット」の紹介がほとんど。小町通りの魅力に「食べ歩きスポット」というのが確立されています。しかし、無視できない食べ歩きのマナー問題もあり、このふたつのバランスの取り方は、非常に難しそうです。鎌倉市の年間の観光客は2000万人を超えていて、さらに今月14日からは「鎌倉まつり」が始まり多くの人が訪れます。混雑時は注意され、自粛を求められますが、どうなるか・・・。