自治体によるゴミの排出量削減に向けた取り組みについて、4月1日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
環境省が先週発表したゴミに関する“ある調査結果”で、東京・八王子市が日本一を奪還しました。まずは、八王子市・ごみ減量対策課・課長の木下博文さんのお話。
★わずか「ミニトマト半分」の差!
- 八王子市・ごみ減量対策課・課長 木下博文さん
- 「環境省が発表している「一人当たりが1日に出すゴミ量の少なさ」のランキングで、愛媛県松山市がずっと1位を獲得していた。2年前に八王子が1位になったものの、1年前に松山市さんが再び1位。そして今回は「6グラム差」で、辛うじて八王子市が1位に返り咲きました。」
この調査は、「市民1人が1日に当たりに出したゴミの排出量」を計算した、全国の人口50万人以上の都市を対象として行われました。毎年、八王子市と松山市が拮抗しているそうですが、2017年度の最新の調査結果では、松山市の「782グラム」に対し、八王子市が「約766グラム」。わずか6グラム差で、八王子市が2年振りに全国トップとなりました。
★「生ゴミ」をもっと減らしたい
そして、今年度から更なるゴミの量削減のために協力を呼び掛けています。再び木下さんのお話。
- 八王子市・ごみ減量対策課・課長 木下博文さん
- 「これからの減量対象は「生ゴミ」。生ごみ対策・食品ロス対策として、消費期限と賞味期限の違いを伝えていきたい。あとは、生ゴミに占める水分の量が結構あるので、各家庭でゴミを出すときに水切りしてもらう。小さなことではあるが、市内には26万世帯あるので、そこで減らせるかが最大の課題。」
八王子市では他にも、民家の樹木の剪定で出る枝を無料で収集し、肥料にする事業を今年度から拡大したり、子供の成長に伴ってすぐにゴミになる上履きを回収し、途上国に送る事業を市内の小中学校で実施するなど、いくつかの取り組みを強化していくそうです。
★宴会の食べ残しを減らす「3010運動」
一方で、残念ながら今回全国2位となってしまった愛媛県松山市でも、ゴミの排出量削減に向けて「3010運動」という取り組みを打ち出していました。どんな取り組みか、松山市・環境モデル都市推進課の伊藤智祥さん。
- 松山市・環境モデル都市推進課 伊藤智祥さん
- 「食べ残しと食品ロスの削減対策として、親睦会などの会食時、「最初の30分と最後の10分」は自分の席で料理を楽しむというもの。宴会で食べ残しが多く残ることを防ぎ、ゴミの減量に繋げる取り組み。松山市は、「ぐるナビ」と食と観光で連携協定を締結しており、ぐるナビの加盟飲食店を対象に協賛店を募集して、周知啓発に協力してもらっている。」
松山市は毎年上位を争う常連都市だけあって、様々な取り組みでゴミ削減に繋げていました。「3010運動」は食品ロスを少しでも解消し、生ゴミの削減に繋げるのが狙いです。
★市民の協力あっての結果
形は違いますが、松山市・八王子市共に、生ゴミ対策や食品ロス対策が、ゴミ排出量の削減に繋がると考えているようです。松山市の伊藤さんは、今後についてこんな思いを聞かせてくれました。
- 松山市・環境モデル都市推進課 伊藤智祥さん
- 「引き続き「3010運動」を推進していきたい。また、特に多くを占める家庭の生ゴミや小売店の廃棄食材などに着目した「食品ロス」対策に注力して、減量に取り組みたい。松山市はゴミの有料化を実施せずに、市民の環境意識で高い水準を維持している。今後も1位になれば嬉しい。」
そして八王子市も同じく、「ゴミの排出量の削減は市民の方々の協力があってのもの」という思いがあるようです。
- 八王子市・ごみ減量対策課・課長 木下博文さん
- 「八王子市民の環境意識は高いと自負している。市民の皆さんに結果をお伝えしてモチベーションにしてもらい、ゴミの減量や資源化を進めていきたい。松山市さんも市民の皆さんのゴミを減らそう、環境負荷を減らそうという意識は高いので、お互いに切磋琢磨していくことが必要なのかと思います。」
今回の調査結果で、再び追われる立場となった八王子市。松山市とは良きライバル関係として、少しでもゴミを削減できるよう、今後も取り組んでいきたいと話していました。