「暗くなると目が見えにくくなる」いわゆる「夜盲症」で悩んでいる人は多いそうですが、そんな方に朗報。11月1日から、「暗くても見える」特殊なメガネが全国販売になりました。11月5日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
1年ほど前の現場にアタックのコーナーで「見えないものが見えるようになる器具」を私が取材報告しました。その器具がついに完成し、販売が開始されました。改めてどんなものなのか、光学機器メーカーHOYA株式会社の石塚隆之さんのお話です。
★暗闇でも明るく見えるメガネ、ついに完成!
- HOYA株式会社 石塚隆之さん
- 「これは世界的に前例が少ない、夜でも、また暗いところでも明るくカラーで見える電子メガネを作りました。ちょっと大きめのメガネ型をしています。ちょうどひたいのところに、目が不自由な方向けに専用で開発した超々高感度カメラが付いています。このカメラで映し出された画像を明るく処理して、メガネのレンズの所にある左右のプロジェクターから見る。暗いところでも昼間のように明るく見えます。」
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暗所視支援眼鏡「HOYA MW10 HiKARI」。サングラスとバッテリーがコードで繋がっています
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HOYA株式会社 石塚隆之さん
これは、夕方暗くなる時間に周りが見えなくなってしまう「夜盲症」の方向けの器具。主に網膜色素変性症という病気で起こるのが夜盲症で、遺伝性のため若い人でもありえる症状。いまだ有効な治療法が確立されていないため、患者さんを助けるために開発されました。
器具の名称は「MW10」(暗所視支援眼鏡「HOYA MW10 HiKARI」)。仕組みは、内蔵されている小型カメラが瞬時に画像処理し、目線の先にあるモニターに映し出すというものになっています。
★性能が大幅アップ!一部メガネ屋などで買えます
MW10の開発段階で取材したのが去年の10月。その時は、プロトタイプを試験販売するというタイミングでしたが、今月正式に発売となったものは、以前のものとはかなり違っていました。再び石塚さんのお話です。
- HOYA株式会社 石塚隆之さん
- 「こだわりのある開発スタッフがもう一回作り変えたいと、納得のいくものを作りたいということで、パソコンのOSもコードも全部違います。暗いところでのカラーの認識が格段に良くなり、特に伝送速度を上げたのでキレイに見えるようになりました。また、基盤のサイズも小さくなって、1.9センチ薄くなって重量も軽減されました。今は北海道から沖縄まで全国24ヶ所、関東エリアでは四谷と横浜で、確認できるお店があります。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2018/11/0d40a5e4a645fc6b96e767d64ac0878e-460x400.png)
MW10装着時の見え方イメージ(HOYAホームページより)
内部のOSも違うものに変えたということで、形は似ていても別物。例えて言えば、Windowsだったものが、Mac になったくらいの変化です。
また、バッテリーの持ちは4時間で、ケーブルは丈夫な作りになっています。
そして、助かるのは、薄くなって重さも軽くなったこと。とはいえ、普通のメガネが40グラムほどなのに対し、このMW10は120グラムと、まだまだ重い状態。ただかけてみると、そこまでの重さを感じにくくなっています。というのも、福井県鯖江のメガネ会社と研究し、耳にかかるバーの長さを変えて重さを分散させる工夫をしたそうです。
★40万円の価格が課題
現在、全国24ヶ所のメガネ屋さん・眼科医・視覚障害者施設で体験、購入することができます。そこで、すでに使っている方はどう感じているのか、お話を伺いました。
- 土井健太郎さん
- 「私は網膜色素変性症を患っていて、例えば高校生の時は暗くなると帰れなくなってしまうのでクラブ活動はできなかった。大学生の時は飲み会や合コンに行きたいと思っても、諦めるのが常でした。その中でMW10に出会って、あれだけくっきり見えれば待ち合わせ場所にも行けますし、違う世界が開けてきたと思います。私は欲しかったので買っちゃいました。同じ病気の人に試してもらうとみんな「おぉコレいいね」と言います。でも金額が40万くらいと聞くと「うーん…」と言う人がとてもとても多い。もっと広めるためには行政のサポートが必要で、国が補装具としてサポートして手を差し伸べてもらうのが重要なことかなと思います。」
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MW10を愛用している土井さん
この器具の値段は、税抜き39万5000円。補装具や日常生活用具などの「福祉機器」に認定されれば、患者さんは1割で購入することができ、約40万円の値段は4万円になります。
★「福祉機器」として厚労省に認められるためには…
福祉機器として認められるには、発売後がとても大事になってくるようです。再びHOYAの石塚さんのお話。
- HOYA株式会社 石塚隆之さん
- 「これは病気を治すわけではないので医療機器ではありません。医療機器というのは、発売するまでにたくさんの試験をくぐって世にでるときに認められる。福祉機器は逆で、世に出てから患者さんや医者の評価で認められるかもしれないもの。もっともっと多くの人に「夜見えないものが見えるようになるメガネ」を伝えていくには、行政に福祉機器として認めてもらうのが良いと思っております。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2018/11/IMG_9691-533x400.jpg)
つけてみた
全国発売になってからまだ5日。福祉機器の認定には、これからどのように認知され、患者さんに広がっていくかが大事だと仰っていました。
■「HOYA MW10 HiKARI」ホームページ
https://hmwpj.com
![田中ひとみ](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/09/sump_tanakahitomi-400x400.jpg)
田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!