今月6日、築地市場が83年の歴史に幕を下ろし、11日に新たに豊洲市場がオープンしました。初日を迎えた豊洲市場の様子を、10月11日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
★初日に起きたボヤ騒ぎ
豊洲市場では移転早々、いくつか混乱がありました。まずは、朝3時頃に起きた市場内でのボヤ騒ぎについてです。当日場内から流れたアナウンスによると、「2階のターレスロープで火災が発生。延焼の危険はない」とのことでした。どうやら卸売場棟のある第7街区で、小型運搬車の「ターレ」から出火したようです。
市場には消防車が続々集まり、すでに現地入りしていた数組の報道陣がカメラを向ける等、緊迫した様子となりました。
★市場までの道は大渋滞
もう一つの混乱が、渋滞です。都心から豊洲市場に来るための晴海大橋は、早朝1キロ以上の大渋滞。タクシーで豊洲市場に買い付けに来たある仲卸業者に伺うと、当日は渋滞を見越して大回りのルートで来たそうです。開場初日であったことや、火事の混乱等もありましたが、今後、環状2号線が開通すればだいぶ行きやすくなりそうです。
★豊洲市場はまるでショッピングモール?!
豊洲市場の外観はこちら。
築地市場の雑多な感じと比べると、かなり綺麗です。敷地面積は40ヘクタールと築地市場のおよそ1.7倍。とにかく巨大な建物で、巨大なショッピングモールのようでした。また、外気を遮断する「閉鎖型」の豊洲市場は、外から見る限り、築地のようにガヤガヤした活気は感じられません。
★予定外の登場!小池都知事が現れた
そんな豊洲市場の初日を迎えたきょう行われた“マスコミ見学会”には、小池百合子都知事も登場しました。当初の予定表には、開場の挨拶は別の方が行う予定だったのに、突然、小池都知事が挨拶して、現場は大騒動。これはハプニングなのか?予定表がダミーで、本当は予定通りだったのか??
その後、場所を移動しマグロの競りを見学。築地市場の時は間近で見ることができましたが、新市場では1階で行われている競りの様子を、2階からガラス越しに見下ろす形になります。このあたりは、築地に比べると、臨場感がないので、見学の観光客は増えるのか、減るのか・・
とはいえ開始を知らせるベルの音と同時に場内は活気付き、心なしか、いつにも増して気合が入っているようでした。
★根強い移転反対派の動き
一方、10月6日の築地市場の営業最終日の様子も取材。仲卸の近くにある波除神社では、最終日にも関わらず移転反対派によるデモが行われていました。デモに参加していた仲卸業者の一人、東京中央市場・労働組合・執行委員長の中澤誠さんのお話です。
- 東京中央市場・労働組合・執行委員長 中澤誠さん
- 「築地の市場というのは圧倒的な物流効率性を誇るんですけど、つまり施設の配置、流れがいいんですよね。豊洲、あれは論外ですよ。卸と仲卸が建物別なんですもん。ものすごい物流効率の悪さですから、痛い目に合うと思いますよ、みんなで。(中澤さんはこれからどうする?)一応うちの労働組合はこの移転は受け入れ難いので、引越しの準備はやってません。たぶん東京都が何か言ってくると思うので。こっちからなにか言う話ではないので。だって誰も移転したくないのよ。移転したくない人を動かす時にはお願いですからって言った方がお金出さない?これおかしいですよ。で、マンホールから溢れちゃいけない汚染水が溢れかえってて、地盤沈下もあちこちで起きてて、床の積載荷重だってたった700キロしかなかったら持たないですよ。この物流見たらあの床では持たないですよ。何作ったんだよお前らって感じ。」
やはり移転は受け入れられず、6日の時点では引越し準備もしていないということでした。駐車場が足りない・ターレの通路が狭い・地盤沈下等々、移転前に挙がった問題点は他にも多くありますが、新市場が今後本格的に稼働していく中で、解決策は見出せるのかどうか、注目です。