森永製菓のおいしいアイス「チョコモナカジャンボ」。あの「パリパリッ!」とした食感が魅力ですが、でもなぜ、いつも「パリパリッ」なのか?調べて見ると「気象データ」の革命がありました。8月30日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まず、気象データの世界で、どんな変化があったのか?日本気象協会・商品需要予測プロジェクトのプロジェクトリーダー・中野俊夫さんのお話です。
★中長期的な気象予測が可能に
- 日本気象協会・商品需要予測プロジェクト プロジェクトリーダー 中野俊夫さん
- 「日本気象協会では2017年から気象予測を利用した商品需要予測コンサルティングサービスを始めました。サービスの内容は需要予測を企業に提供して、課題解決を行なって頂くというものです。
そこでは日次、週次、月次と3つの情報を用意しています。日次は14日間の予測、週次は4週間の予測、月次につきましては3ヶ月の予測です。全産業のおよそ3分の1はなんらかの気象リスクを持っていると言われているので、あらゆる商品の需要予測は可能だと考えています。特に食品ですと非常に関係性が深いので、飲料や鍋つゆで様々な需要予測をやらせて頂いています。」
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日本気象協会 中野さん
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「商品需要予測」サービス内容(日本気象協会ホームページより)
このサービスでは中長期的な気温を予測。企業の売上実績等と組み合わせることで、需要予測を出してくれるというもの。企業は、それを元に生産、配送計画が立てられるようになります。
一度は1990年代に提供されましたが、当時、中長期の予測の質が低かったため頓挫…。しかし、この15年で気象予測の精度は30%改善し、サービスの事業化にこぎつけたということでした。
食品、アパレルなど様々な業種で活用が見込まれていて、今現在30社以上が利用。特に食品は在庫・生産の管理で食品ロスを減らすことも可能になります。
★「チョコモナカジャンボ」パリパリッの秘密
このシステムを取り入れているのが「チョコモナカジャンボ」の森永製菓。実際にお話を聞いてみました。森永製菓株式会社・冷菓営業部の新谷秀夫さんです。
- 森永製菓株式会社・冷菓営業部 新谷秀夫さん
- 「本格的な導入としては、昨年の4月からお取り組みをさせて頂いています。取り組んでいる商品がチョコモナカジャンボです。チョコモナカジャンボは“パリパリモナカ”が一番のセールスポイントとなっています。気象協会さんから毎日、気象のデータ(気温とか天候とか)と需要予測を発信して頂いています。チョコモナカジャンボの一番のポイントとしては、パリパリという言葉にあるように、モナカのパリパリ感、中のチョコのパリパリ感というのが非常に重要です。なるべく工場で作ってからお客様の手元に早く届くことによってモナカからの水分が移行せずにパリパリ感が保てるので、そういったことが重要になってきます。」
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アイスの定番、チョコモナカジャンボ
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2018/08/IMG_9025-534x400.jpg)
チョコモナカジャンボのモナカのパリパリ感
森永製菓の人気商品である「チョコモナカジャンボ」、一度は食べたことがある方も多いのではないでしょうか。ここにも、気象データが使われています。特にチョコモナカジャンボは、特徴であるアイスを包んだモナカの“パリパリ感”をお客さんに味わってもらうため、厳正に在庫を管理する必要があるそうです。
今までは、ネットの天気予報などから計画を立てていましたが、このシステムのおかげで天候予測や需要予測が毎日更新されるので、正確な鮮度の管理が可能になったということです。また、テレビCMなどの販促を掛けるときも、需要予測が上がるときに合わせているそうです。
ちなみに、今年人気すぎて在庫切れがニュースになっていた「アイスボックス」も森永製菓の製品ですが、9月中旬には復活するそうですよ。
★天気で変わる肉の切り方
「チョコモナカジャンボ」パリパリッの見方「日本気象協会の商品需要予測」ですが、他にはどんな事例があるのか、日本気象協会の中野さんに、再び伺いました。
- 日本気象協会・商品需要予測プロジェクト プロジェクトリーダー 中野俊夫さん
- 「小売さんだと、例えば寒くなると鍋用の薄切り肉が売れるんですが、暑くなると焼肉用の厚切り肉が売れる。我々の需要予測を元にお肉の切り方を変えて頂くことによって売上が10・5%増加したという結果も出ています。
他には、ネスレ日本さん。ペットボトルコーヒーを対象に“モーダルシフト”をやって頂いて、Co2が54%削減という結果が出ています。(モーダルシフト?)今まではどこの在庫が無くなりそうというのが直前にならないとわからないので、その場合は直前なのでトラックで運ばなければならなかったですが、我々が需要予測をやっているので、より早くどこの在庫が無くなりそうというのが分かる。早めに船で運んでしっかり在庫の最適化をしていくことが出来たんです。」
お話に出てきた“モーダルシフト”とは、トラックによる輸送を「地球に優しく、大量に輸送ができる海運や鉄道に変える」こと。なので、先の予測が分からないと出来ません。他にも、冷やし中華のつゆ、アパレルの夏物冬物、虫除けスプレーなどに活用されているそうです。
★ツイートから体感温度を解析
更に、気象予測は天気の変化や気温だけではなくなってきているようです。再び日本気象協会の中野さんのお話です。
- 日本気象協会・商品需要予測プロジェクト プロジェクトリーダー 中野俊夫さん
- 「体感気温なんですが、同じ気温でも人間の感じる気温は違うと思っていまして、例えば5月に一気に気温が上がって30度になった場合と、今の時期30度になった場合。(このところ40度近い猛暑日が続いていたので)、今の方が少し涼しいと感じると思うのですが、こういった人間が感じる気温を数値化するため、ツイッターのつぶやきデータを解析させて頂いている。
人間がどういう時に暑いと思って、どういう時に寒いと思うのか、解析した結果、今の気温も重要なのですが、どういう経緯をたどってこの気温になったのか、それも重要なものとして数値化してサービスとして提供しています。気温だけでは測れない気分とか、そういったものを数値化していくのも商品の売り上げ解析には非常に重要だと思っています。」
気温や気候にとどまらず、ツイッターの位置情報付きのツイートから「暑い」「寒い」などが含まれるつぶやきを抽出。人の体感気温と気分まで数値化してしまおうという取り組みです。分析にはAIも活用されるなど、気象予測はどんどん進化していました。
![田中ひとみ](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/09/sump_tanakahitomi-400x400.jpg)
田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!