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練馬はホントに暑かった!?

台風12号が去った関東では、きのう7月29日は真夏日となりました。今年は各地で記録的な暑さが観測されており、今後も厳しい暑さは続きそうです。中でもニュースで目にする機会が多いのが、練馬の気温。その練馬の暑さとその理由について、7月30日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

7月23日、練馬区としては観測史上最高の「39・6度」を観測しました。練馬には気象庁の観測所がありますが、観測所のデータを使わず、独自に気温を調査した研究グループがあります。首都大学東京の三上岳彦名誉教授のお話です。

★独自調査で判明!本当に練馬が一番暑かった

首都大学東京・名誉教授 三上岳彦さん
東京都内だけでなく首都圏、神奈川・千葉・埼玉、全部含めて、10年ほど前にいろんな研究者と共同して200ヶ所で観測を始めた。時々刻々と温度の状態がわかってきた。それで測ったところ、練馬が一番暑いことがわかった。平均的に23区内で一番気温が高い練馬と、一番低い江戸川のあたりでは4度くらい違いますね。
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森本毅郎スタンバイ!

練馬が暑くなる仕組み

三上先生の研究グループは、10年前から首都圏の気温を分析していて、200の小学校の百葉箱に気温計を設置して細かく分析。その結果、練馬区が一番暑く、江戸川区周辺が一番低いことがわかってきました。理由は、海からくる涼しい海風が練馬には流れにくく、流れても都心を通らなければいけないので、都心の熱で熱風になり練馬に流れてします。ただでさえ気温が高い上に、熱風も伴ってますます暑かったんです。東京23区内で気象庁の観測所は4ヶ所(練馬、千代田区、江戸川臨海、羽田空港)ありますが、観測所の有無とは関係なく、他の区と比べても「練馬区は本当に暑かった」んです。

★練馬区民も実感「やっぱり暑いぞ、練馬」

練馬駅周辺で聞いてみると、「他とは違う」という実感のある方がたくさんいました。

●「暑いです間違いなく。他と比べて実感として。中野区と練馬区で全然違う。気温差を感じる。ずーっとクーラーつけっぱなしです。
●「暑いと思います、室外機の中にいるみたい。熱風。練馬の方が圧倒的に暑い。実家が文京区で、そんなに遠くないのに温度がめちゃくちゃ違う。
●「本当に暑いと思う練馬区。大学生になって2年目で、神奈川の方だったんで練馬にくることはなかったが、全然温度違いますね。ジメジメ、ジトジトして嫌な暑さ。
●「沖縄から来てる。沖縄の場合カラっとしてるが、ここは逃げるとこがないですね。

みなさん、練馬区の暑さを実感していました。

★熊谷より川越の方が暑い?!

三上先生の研究グループは、23区だけではなく首都圏全体を調査しています。データを解析していった結果、埼玉県の気温に関しても、新しい発見がありました。

首都大学東京・名誉教授 三上岳彦さん
熊谷が暑いというのも、練馬が暑いのと同じで、熊谷で気象庁の観測をやっている。ただ我々は疑問に思い、たくさんのところで温度を測れば埼玉県内で気温が高いところがあるかもしれないと、広い範囲で細かく測ったら、川越あたりが一番高いことがわかってきた。今年熊谷で41度を記録したが、もし観測所があったら42度とかになっていたかもしれない。
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森本毅郎スタンバイ!

首都大学東京・名誉教授の三上岳彦先生と

こちらはまだ研究途中ですが、埼玉県では、熊谷より観測所がない川越の方が暑いという説があるようです。熊谷では先週の月曜日に国内観測史上最高の「41・1度」を記録しましたが、この日、もしかしたら川越はもっと暑かったかもしれません(先生の調査結果はまだ不明)。

★涼しく過ごしたいなら「湾岸で働いて練馬に帰る」

さらに、新たにわかった事実はまだあります。話は23区に戻り、今度は「夜」の話。再び、首都大学東京の三上さんのお話です。

首都大学東京・名誉教授 三上岳彦さん
実は昼と夜では、23区で1番気温が高いところが違うんです。移動するんです。夜から明け方は、練馬はそんなに高くない。一番高いのは都心部の港区、中央区、千代田区。昼間は海からの距離で内陸ほど温度が上がりやすい。夜になると内陸ほど早く下がるので、都心部が夜の気温は一番暑い。
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森本毅郎スタンバイ!

都心は、ヒートアイランド現象で「夜」暑くなります

夜になると海風はなくなり、都心を通って熱風が練馬に行く現象がなくなります。さらに内陸ほど気温が下がるのが早いので、「夜の練馬は暑くなかった」んです。逆に、夜でも熱を出している都心部の方が暑くなり、都心部の方が熱帯夜が多くなります。

★ナンバープレートの技術が道路に活用

先生の研究で色々なことがわかってきましたが、ではどんな対策をしていけばいいのか。東京都はすでにいくつか対策を始めていますが、最先端の対策方法を聞いてみました。国土交通省所管の建築研究所、足永靖信さんのお話です。

国土交通省所管の建築研究所 足永靖信さん
道路の材料で表面温度があがらないような素材を選択していく。「再帰性素材」というものが出て来ています。日光を反射する素材でつくられていて、反射した、照り返した熱をそのまま空の方向に返す。そんな素材が出て来ています。すでに銀座地区で導入されている。

どこにでもある道路の温度を下げる、という方法です。「再帰性素材」と呼ばれる、光を反射する素材。身近なところではナンバープレートにも使われていて、夜、暗い中でナンバープレートに光を当てると、まっすぐ光が返ってきて数字がよく見えます。それと同じ原理で、道路に当たった日光をそのまま空に返す道路で、再帰性素材が導入されているかどうか、見た目ではわからないそうですが、すでに導入が始まっています。

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田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!


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