先日の朝日新聞でちょっと気になる記事がありました。そうめんなどのほか、煮物やスープにも使えるということで、最近は〝万能調味料〟として定着した濃縮タイプの『めんつゆ』。その売れ行きが振るわないというんです。家で料理をする機会が減ってしょうゆなどの調味料が売れなくなったけれど、めんつゆは好調・・・のはずだったのでは?そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!5月21日(火)は、レポーター近堂かおりが『料理離れ・・・めんつゆさえ面倒になった?』をテーマに取材してきました。
★めんつゆ市場は微減傾向!?
いつのまにそんな状況になっていたのか、メーカーに聞いてみました。めんつゆを主力商品にしているヤマキ株式会社、家庭用事業部 条谷健治さんのお話です。
- 条谷健治さん
- 「マーケットは、この3月に2017年度の締めがありましたが、それ以前から微減傾向にありました。前年比で98%とか99%とかです。つゆの市場が成長してきたのは、しょうゆの代替品、しょうゆから移ってきたということがあると思います。しょうゆにダシも入り、みりんとかいろいろな調味料も入って、それ1本でお料理の味が仕上がっていくと。ただ、今はコンビニ、スーパーのなかで総菜売り場がどんどん充実してくるし、ものすごくおいしくなっているんですね。つゆに限らず、調味料そのものが苦戦しているのかなという気はしています。」

ヤマキ めんつゆ
ヤマキ自体は2016年度も2017年度も、前の年より売上を伸ばしているのですが、めんつゆ業界全体でみると、めんつゆの売れ行きは陰ってきているそうです。料理離れといわれるなかで、1本あればいろいろな料理がさっと作れるめんつゆが万能調味料として一躍、ヒット商品に躍り出たのが10数年前。ところが・・・料理に手をかけない世帯がさらに増えて、もはや、めんつゆでさえ使うのが面倒という傾向になってきた・・・。朝日新聞の記事はこう伝えているのです。
★家で調味料を使っていますか?
そんなに料理離れが進んでいるの? もう家には調味料がなかったりして?そこで街のみなさんに、家で調味料を使っていますか?と聞いてみました。
- ●「青じそドレッシング。しょうゆよりは青じそドレッシングのほうが好きです。」
- ●「はちみつ。煮物系とか、ミートソースも、何でも。」
- ●「ブラックペッパー。ガリガリやるやつ。すき焼き、カレー、煮物。パンチが乗っかるので鍋にも入れます。」
- ●「味覇(ウェイパー)(中華料理用の調味料)。赤い缶の。スープを作るとき、あれだけ入れて終了。」
- ●「味塩こしょう。お肉、野菜・・・ベースの味が安定する。」
- ●「すき焼きのタレ。肉じゃがとか煮魚とか、水で割って煮るだけ。」
- ●「最近、”白だし”というのを卵焼きに入れますね。めんつゆとちょっと違う。うどんのつゆとかもできるし、あれは万能ですね。」
実際に聞いてみて驚いたのですが、きのう聞いた限りでは、結構、お料理はしていました!ただし、調味料は何種類も使わない。
みなさんそれぞの”万能調味料”があって、その一本で勝負。街でうかがった範囲だと、『めんつゆでさえ使うのが面倒という傾向がある』というのとは、少し違うのかな??という印象を受けました。
★めんつゆ一人勝ちから細分化へ
そこで、めんつゆ市場が振るわなくなっている背景について、ヤマキの条谷さんの見解をうかがってみました。
- 条谷健治さん
- 「実はシュリンク(縮小)している背景には、過去になかった”専用・鍋つゆ”とか、鍋つゆの市場が今すごく伸びてきているということがあるのと、我々(ヤマキ)でいうと、”割烹白だし”という商品が台頭してきていて、細分化してきたというか、グロス(全体)でいうと、実は決して落ちていないんじゃないかと思っています。」

こちらが台頭してきている『割烹白だし』
料理離れがいっそう進んでめんつゆすら使わなくなったのではなく、めんつゆ以外にも”万能調味料化”を目指した調味料がいろいろ出てきた結果、めんつゆ一人勝ちだったのが細分化したと、条谷さんはみていました。
★料理をしないわりに調味料をそろえて・・・
ここでちょっと面白い声をご紹介したいのですが、きのう街でお話を伺ったなかに、こんな方がいました。
- ●「私、あまり料理しないので、普通の家庭の調味料しかないんです。今はやりのおしゃれなのとかは全然なくて、それこそ『さ・し・す・せ・そ』の調味料。塩、砂糖、みそ、しょうゆ、酢は全部あります。あと、酒、みりん。」
料理をしないというわりに、調味料をそろえている!!と驚きましたが、実は、ほかにもこういう方が何人かいたんです。つまり、料理離れしている方のほうが、基本的な調味料をそろえているのかも?ただし、使いませんが・・・。
★今後は業務用を視野に!!
とはいえ、今朝の新聞にも載っていましたが、レトルトカレーの2017年の売り上げが、初めて固形ルーを上回った!といいますから、やはり、料理をする人は確実に減ってきているのでしょう。私がお話をうかがったみなさんも、キーワードは、万能!!と一発でキマる!!。つまり、料理はするけれど、なるべく手間をかけずに時短でつくりたい!という気持ちがありました。
そう考えると、確かに料理離れはだんだん広がっていきそうです。条谷さんも料理離れの傾向を感じていると、おっしゃっていましたが、めんつゆ業界でもその傾向は続くとみて、食品メーカーやレシピサイトと組んで、簡単レシピをこれまで以上に提案し続けるという対策をとっていく構えなのです。しかし、料理離れしてしまった場合には、なかなかレシピを紹介しても作ってくれないかもしれません・・・。そこで、ほかに対策はあるのか、ヤマキの条谷さんにお聞きしました。
- 条谷健治さん
- 「各社メーカーとして目を向けていかなかければいけないだろうと思っているのは、いつまでも店頭にある調味料だけがすべてではないと。例えば、これから総菜が重点化されるのであれば、バックヤード=『業務用』ルートで、どうそこに使ってもらえるのかをみんな考えていると思います。」
今いろいろなお菓子やスイーツに和風だし入りなどが増えているそうです。あるいは、サンドイッチの玉子がだし入りだったり。
調味料は家庭や店頭から少なくなって、料理店や食品メーカーが使うものになるのでしょうか???

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。