2019年度卒の就職活動が本格的に始まり、街中ではリクルートスーツの学生を多く見かけるようになりました。そうした中、今年から取り入れられ始めたある採用方法について、4月12日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
今年新たに誕生した採用方法とはどんなものか。株式会社タレントアンドアセスメント代表取締役の山﨑俊明さんのお話です。
★AIに面接される時代、到来!
- 株式会社タレントアンドアセスメント・代表取締役 山﨑俊明さん
- 「面接をスマートフォンで実施するというAI面接サービスを始めました。“SHaiN(シャイン)”という名前のサービスです。学生が自分のスマートフォンを使って面接を実施できる仕組みで、スマートフォンに向かって話しかけることによって、受け答えが出来るサービスです。一般的なAIは一方通行が多いんです。例えば『今日の天気は?』と聞いたときに『今日は晴れです』で話が終わってしまう。今回私たちのAI面接は、『苦労してきたことはなんですか?』『~で苦労しました』『ではその苦労をもう少し具体的に』『なぜそうしようと思ったのですが』みたいに会話が続くのが特徴です。質問時間は早い人なら40分程度ですが、長い人で3時間34分という記録があります。」

「SHaiN」。過去の経験を質問され、自分の資質が判定されます
この「SHaiN」というサービスは、人間の代わりにAIが面接を担当してくれる、日本で初めてのサービスです。ソフトバンクやサッポロビール、住友生命などAIを書類選考に導入する企業は年々増えているのですが、ついにAI自ら面接を担当するようになったということです。
AIが判定するのは、理解力・忍耐力・バイタリティなどの11項目。面接中の表情や話すスピードなども録画されており、面接時間は約1時間。現在導入しているのは21社で、この他にも多くの企業が検討しているそうです。実際にどんな感じなのか私も受けてみましたが・・・。少しでも抽象的な回答をすると、「なぜそうしたのか?」「なぜそう考えたのか?」などと、どんどん深堀りされるため、やはり普通の面接よりも時間がかかりますし、詳細に答えていく必要があります。

11の評価項目
このAI面接、多くの企業が一次面接に導入しているようですが、レポート9枚に渡る詳細な情報で面接結果が出力されます。もしかすると、人間よりも丁寧に仕事するかもしれませんね…。
★「AIの方が公平・話しやすい」肯定的な学生多数
では実際に、街の就活生に、AIを使った採用活動についてどう思うか聞いてみました。
- ●「なんかスマホ相手だと何してるんだろうって気持ちになっちゃいそう。人と話したいかな。」
- ●「AIだと助かります。人と話すと緊張するんですけど、人じゃないから話しやすいのかな。」
- ●「アリだと思いますよ全然。人が見るよりも機械が見た方が正確なのかなと。人って好き嫌いあるし、機械だったらそういうのないかなと。」
- ●「今日たった1分間で一次面接受けてきました。たった1分間で何を見られているんだろうって分からないまま終わりました。それだったらAIの方が良いのかもしれませんね。たくさん自分のこと知ってもらえる…。」
スマホの方が緊張しないし、面接官との相性を気にしなくても良いという肯定的な意見が多かったです。また、スマホで手軽に24時間どこでも面接が可能なため、地方の学生にとっては交通費や宿泊費を使わずに済むからありがたいという声もありました。
★服装・態度もチェックされています
ですが、そんなAI面接にはこんな落とし穴もあるようです。再び、タレントアンドアセスメントの山﨑さんのお話です。
- 株式会社タレントアンドアセスメント・代表取締役 山﨑俊明さん
- 「学生が、自分自身の社会的な倫理観に基づいて実施するので、ある学生はしっかりとスーツを着て、女性でもお化粧をして受けてる学生いますけど、ある学生は2段ベットの1段目で受けてる子、ある学生は動画データが途中で横になっている子(どうやら寝ながらしている)、どうもカラオケボックスで受けていて隣の声が漏れている学生、はたまた肌着で受けている学生、いろんな学生が散見されます。まさか寝転ぶというのは想定外で、2段ベットで受けている子も様子はわかるんですけど、スーツを着て正座しながら一生懸命やっていたのは想定外ですね。」
緊張感ゼロで録画されているのを忘れている残念な学生もいるとか…。しかめっ面や舌打ちをする学生もいるそうですが、全部見られていることをお忘れなく。
★AI面接と自動運転は同じ。怖がらずに…
では最後に、採用する側の年代の方にAIの導入についての考えを聞いてみました。
- ●「まあ人を見る目としてはまだ信用できない気がしますけど。表情の下の感情であったり、人間性は見えにくい気がしますけどね。うちの場合は数がそうでもないので、直接見たい方ですね。」
- ●「私は現場の仕事もやりつつ(採用活動を)をしているので、そういう意味では面接の数が少なくなれば。例えば一次審査を、AIで能力のある人だけ面談し、コミュニケーションを見る。あくまでもその後に面談があることが前提ですが。最後にAIはありえないですね。」
- ●「AIの製品を開発させてる仕事をやっています。主観的というよりは客観的だし、最近言われてる忖度とかは当然無くなってくるので。
自動運転と一緒じゃないですか。まあ怖がらずに、試しに順々にやっていっても良いかなとは思いますよね。」
- 人対人の面接でなければ分からないこともありますが、自動運転と同じようにうまくAIが使えれば、マンパワー削減や採用の質を向上出来るかもしれません。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!