今朝は自動翻訳機について。番組では27年前から、その技術開発に繰り返し注目してきましたが、今年はついに実用機が一気に広がって”自動翻訳機元年”と呼べる状況になってきているといいます。その実力や機種によっての個性などはさまざま。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!4月4日(水)は、レポーター近堂かおりが『今年は”自動翻訳機元年”!実用機が一気に流通へ!』をテーマに取材してきました。
★60言語以上に対応!!『ポケトーク』!!
まず一つ目は、『ポケトーク』という翻訳機。
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ソースネクスト(株)の翻訳機 ポケトーク!
『ポケトーク』を販売するソースネクスト株式会社、取締役専務の小嶋智彰さんのお話です。
- 小嶋智彰さん
- 「発売は去年の12月、在庫が入ってくるたびに、入荷即完売の形が続いている。総数で500社以上から直接の問い合わせだけで来ている。旅館、ホテル、レストラン、土産物屋、想像以上でした。例えば、経営会議で、新しい外国人のボスが入ってきた、そういうシチュエーションでも使えます。『まずはじめに、営業部長から、第三四半期の業績について、手短に報告をお願いします→First of all, please briefly report on the results of the third quarter from sales manager』(こんな複雑なことも!)そうなんです・・」
短いより長い方が、前後の文脈を判断して正確に翻訳するそうです。逆に『私、ラーメン!』のような文章は間違った翻訳になってしまうとか。『ポケトーク』は、名刺より少し大きいくらいのスマホのような端末。重さ90g、コンパクト!63言語に対応していて、日・英で翻訳する場合は、設定画面で、日本とアメリカの国旗を選択し、あとは、日本語側のボタンをタッチして日本語を吹き込むと・・・英語に翻訳されて音声が流れます。逆の場合は、英語側をタッチして、英語を吹き込むと・・・と、日本語が出てきます。
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ポケトーク使用中。
喋った言葉が、インターネットを通じて、独自に改良された翻訳ソフトで翻訳される仕組みなので、無線LAN環境か、ソースネクスト社が販売する、専用のSIMカードが必要となります。本体2万4800円。2年間、79か国で使い放題のSIMとセットで29800円。この『ポケトーク』、旅行用に一般の方が買うだけでなく、国内の観光拠点が相次ぎ導入。JR新宿駅などのほか、羽田空港や一部のかんぽの宿、外国人観光客も多い資生堂も10店舗で!
★『ポケトーク』活躍しています!!
その導入先の業種は、予想以上に広がっているようです。実際に導入したヘアサロン『PEEK-A-BOO(ピークアブー)NEWoMan新宿』の栗原貴史店長、
そして、高円寺の『たかとり内科』鷹取央院長に伺いました。
- 栗原貴史店長
- 「今日も午前中6人くらい、中国、欧米の方含めて。細かいニュアンスをお互いに共通認識にしていかないと、最終的にクオリティの高いスタイルが提案できないので、翻訳機を導入しました。ボブなら、段はどれくらい、レイヤーは入れたいのか、重たいのが好きなのか、僕らがいうと、ヘビー?ショート?単語しか言えない。短いか、長いか、どっちだ。これでは、安心感ない」
- 鷹取央院長
- 「ベトナムの方がきた時に、薬欲しいとか、何かできたとか、片言の日本語は言ってくれるけど何が原因で症状が出たのか、今まで出たことがあるのかとか、詳しい状況を聞くと、通じてない顔されるので、ポケトーク頼み。それで薬出して症状はよくなったのでかなり助かりましたね」
確かに美容院は、日本語同士でも、微妙なニュアンスが伝わらないこともありますから、外国語では難しいし、短いか長いか、としか聞いてくれない人に切ってもらうのはかなり勇気がいります。栗原店長も”技術には自信がある”からこそ、実力発揮するためにもニュアンスを翻訳するのにポケトークを活用している、と。また病院のお話は切実。このベトナムの方はじんましんだったそうですが、そのアレルギーの元によっても、薬の出し方が変わるし、間違えれば悪化しかねない。こうしてみると、観光拠点だけでなく、広がりそう。
★『illi(イリー)』。あえてのロースペック!?
一方で、これより圧倒的にスペックが低いのに、話題になっている自動翻訳機がありました。それが、株式会社ログバーが販売する『illi(イリー)』。
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株式会社ログバーの翻訳機 イリー!
今年2月に一般販売となり、先月から、代官山の蔦屋書店、二子玉川の蔦屋家電、量販店のノジマなど、実店舗での販路を拡大中。言語は、英語、中国語、韓国語の、わずか3言語で、日本語からその3言語に訳すだけの一方通行。お値段は、19800円なので、他社の他言語・双方向のものよりは安いのですが・・・。でもなぜロースペックなのか?株式会社ログバーのCEO、吉田卓郎さんに伺いました。
- 吉田卓郎さん
- 「海外旅行先で私たちが話すのはだいたいスタッフさん。見ず知らずの人に友達になりましょうなんてない。タクシーの運転手、飲食店のスタッフ。彼らも情報を集めている。『辛いもの嫌い』、わかりました、『おすすめどれですか?』、おすすめこれ、それだけで成り立つ、実際そんなもの。娘さんがお母さんにイリーをプレゼントしたら、お母さんはひたすら『トイレにいきたいです』だけ使った、それだけのためのイリーだったけど、全然違った。確かにトイレはジェスチャーしにくいし、それだけでよかったと言ってもらえるので、そういう道具だと思う。」
『イリー』のコンセプトは『海外へ行く旅行客用に特化』。確かに旅先で困るのはお店の人への意思表示。これがシンプルに伝われば、メニューを指差してくれたり、ジェスチャーで返ってきたりするので、だいたい足りてしまいますね。むしろ、トイレに行きたい、など、ジェスチャーしにくいものが翻訳されるのは便利かも・・・。もう1つ、吉田さんがこだわったのは”使い方もシンプルに”。海外で迷わず使えるように、インターネットも使わずに、本体の中で翻訳する仕組み。本体表面にはボタン1つだけ!押しながら喋って、離すと、翻訳が流れる。カンタン!
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イリー使用中。
技術的には双方向にすることはもちろんできるが、あえてそうしなかった。というのも、そうすると、使い方も複雑になるし、相手に話してもらうときには、言葉の通じない相手に機械の使い方を説明しなければならないわけで、それではストレスになってしまうでしょう、ということなのです。
★翻訳不完全でもいい!?
ただし、シンプルを極めたこともあり、複雑で長い文などは対応できないため、翻訳の精度では高スペックのものには劣る、という評価をしている方もいるようです。吉田さんは、その辺りも自覚して、こんな工夫をしていました。
- 吉田卓郎さん
- 「可愛らしい声にしたのは、翻訳が間違っても『てへ』みたいな。これが真面目すぎると、間違った時『むっ』となるんだけど、このかわいい声だとなんかあくまでも、カジュアルに、あなたと軽くコミュニケーションしたかったんだよ、ていうのが意図としてはあります。(翻訳は間違える?)ありますあります。翻訳機なので100%の精度ではないので、間違えることはあるんですけど、間違えると相手もおかしいなという顔になるので、それなら言い直してあげればいいと思ってまして、100%じゃないと使いたくないよと云うお客さんもいらっしゃるんですが、今までの0の状態が、7、8割に通じる、そういった考え方でお勧めしています。」
あくまでビジネスや、お客様相手ではなく、旅先で自分が使う、というカジュアルな設定。使い方のシンプルさが注目されて、若者より、むしろ、40—60代の世代に受けているそうです。
ちなみに、『ポケトーク』も旅行客には力を入れていて、5月から、ANAの機内販売を開始予定!
この2つ以外にも自動翻訳気は次々出てきているので、競争激しくなりそうです。
![「現場にアタック」近堂かおり](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/03/sump_kondokaori-300x300.jpg)
近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。