Quantcast
Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1321

メジャーも注目!プロ野球を支える日本の町工場。生き残りをかけた奮闘

$
0
0

春の選抜、日本のプロ野球とアメリカの大リーグが開幕と、野球が盛り上がりを見せていますが、その、野球選手が使うグローブや防具などを作る町工場は、なかなか厳しい状況なのだそうです。

4月3日(火)「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で、レポーター真野淑實(まの よしみ)が『プロ野球を支える日本の町工場。生き残りをかけた奮闘』をテーマに取材報告しました。

★グローブの生産量はピーク時の100分の1

まずは野球のグローブの一大産地、奈良県三宅町の現状について 三宅町の商工会会長、置本佳司さんのお話です。

置本佳司さん
大体、全国生産の90%は奈良県内で野球のグローブを作っていて、そのうち60%は三宅町上但馬で生産されていました。昭和44~45年あたりは500~600万個アメリカに輸出していた。ところがアメリカが、日本よりもっと賃金の安い台湾・韓国・中国あたりに手を伸ばしていった。当時に比べると今は100分の1以下に生産量が落ち込んでいるというのが現状です。

昔はものすごい数を作っていたのに、今は落ち込んでしまっているそう。三宅町でグローブ作りが始まったのは大正10年。およそ100年前。元々は、皮を包丁で裁断する技術に長けた三宅町出身の男性が、大阪の美津濃運動具店現在のミズノからグローブの裁断を依頼されたことから、「自分たちでもグローブを作れないだろうか」と解体して研究したことがはじまり。三宅町は全国で2番目に小さい町ですが全国の6割のグローブを作っていて、ピーク時の1970年頃には150件ほどのメーカーがあり、かつては王さんや長嶋さんも三宅町を訪れたといいます。ですが今は15件ほどに減ってしまい、跡継ぎのめどが立っているのは3社か4社だそうです。

★独自ブランドで三宅町のグローブをアピール!

そんな中で三宅町では、グローブ作りを続けていくための新たな取り組みを始めています。再び、置本佳司さんのお話です。

置本佳司さん
今までは問屋さんからの大量の注文がありましたから、下請けという形で受注して頂いたのが、その問屋さんらが全て海外の方に拠点を持っていきましたので、問屋さんからの注文が無くなって、いろんな商売変えをなさった方もいるんですけども、「自分はグローブしかできないんや」という方が現在残っておられて、その方らが2005~6年あたりから独自の自社ブランドを立ち上げて、インターネットなり高校や大学の野球部に行って売り込んできてると。それが今やっと商売につながってるかなと。

1970年代以降、アメリカ向けのグローブ生産が台湾・韓国・中国に移っていくに伴い、日本の大手メーカーも生産拠点を海外に移していったことで仕事の委託が減ったため、自分たちでブランドを立ち上げ、そのブランド名をグローブに入れています。そうして三宅町の100%手作りで高品質のグローブが少しづつ浸透し…今ではなんと!元高校球児など若者が、職人に弟子入り志願をする動きもあるということです。

★メジャーリーガーの注文が殺到する越谷の町工場

一方で、そのブランド力がなんと「メジャー」で認められつつあるという町工場があります。埼玉県越谷市にある、野球防具専門の「ベルガードファクトリージャパン株式会社」。代表取締役社長・永井和人さんに詳しいお話を聞きました。

永井和人さん
メジャーリーガが今、70名ぐらい使ってくれてるんですけども、昨年MVPをとったジャンカルロ・スタントンも使ってくれて、他の選手も使いたいと、それを見て来ることが多いですね。海外の製品は黒一色とか白一色とかで自分の名前も入れませんし、オーダーメイドというシステムが元々アメリカにはなかったので、その選手に合わせたサイズ調整とか、足で言うと短いもの、長いもの。カラーも好みで作れるのが受け入れられたところですかね。

メジャーリーガーが愛用しているという防具。例えば、色をチームカラーに合わせたり、身長が2mある選手向けにはすね当ても長めに作られていたり、オーダーメイドで注文できる点が受けているそうです。

ジャンカルロ・スタントン選手愛用の肘当てです

★契約の関係で、日本のプロ野球選手になかなか買ってもらえない…

そんなベルガードは去年で80周年を迎え、かつては大手メーカの下請けとしてヤクルトの古田選手や、ベイスターズの谷繁選手など名キャッチャーの防具を作り、プロ野球の防具の半分はベルガード製だったということですが、下請けで利益率が低かったということもあってか、6年前に一度倒産してしまいます。「メジャーだけでなくて、日本のプロ野球選手向けにも再び売り出せば経営がもっと安定するのでは?」と思ったのですが…ベルガードの永井さんはこう話しています。

永井和人さん
倒産は突然だったんですけど、すぐに始められたら取引先もそのまま続けられたんですけど、縮小してしまったので大手さんの仕事をするほどの数も作れないので、自社のブランドで始めました。日本の選手も使いたいってオファーが来るんですけど、大手さんは選手を抱えて契約をして使ってもらってるんですけどうちは契約をする資金力もないので。一人200万円ぐらいかかるんじゃないですかね。日本でなかなか宣伝することが難しいので、海外の選手にいっぱい使ってもらって、逆輸入な形で日本のプロ野球選手にはぜひとも買っていただきたいと思ってます。

日本のプロ野球では、大手メーカーが選手1人あたり200万円程でスポンサーとなり防具だけではなく、バットやシューズなども含めて道具一式を提供しているため、そのスポンサー以外の防具をつけることはなかなか難しいそうです。メジャーでは、そのあたりは比較的自由だそうですが・・・日本のプロ野球界でも、もっと自由に道具を選べるようになっていくといいですよね。

☆今日から「現場にアタック」を担当することになりました真野 淑實(まの よしみ)です。静岡県沼津市出身の25歳。競馬と車が大好きです。宜しくお願いいたします!


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1321

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>