多くの街に長年親しまれているお店というのがありますが、偶然にも今月、この3月に長年の営業を終えて閉店するお店が2つありまして、お店の外に閉店を知らせる紙ははってあっても、なぜ閉店するのか理由が書いてないことからツイッターで話題になっていました。3月28日(水)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『なぜ老舗の名店は消えるのか』について取材報告しました。
★秋葉原で35年の老舗喫茶店「タニマ」の閉店
そんな2つの閉店のお話なのですが、まずはきのう閉店した秋葉原の老舗喫茶店から。喫茶店タニマのオーナー・金子五郎さんに伺いました。名店はなぜ消えるのでしょうか。
- タニマ 金子五郎さん
- 「サラリーマン相手に35年、大変でしたよ。閉める理由は、僕がちょっと具合悪くなっちゃったんで。この杖がないと、歩けなくなっちゃったんで。2カ月ぐらい前から、もうし仕事できないから、臨時の人を頼んだんだけど、疲れちゃってもうこれ以上できないよって言うから。医者行ってんですよ、毎月注射してんですけど、なかなか良くならない。ここ辞めたら入院するかも。もう80歳になりますから。後悔はあるよね、いっぱい。バブルの終わり頃かな。辞めればよかったんだけどね。みんな辞める辞めるって言ったからさ、うちも辞めようと思ったんだけど辞め損なったから。ものすごい値段で売れたんじゃない。小さい店でも何千万で売れたって言うから。その時に売っちゃえば良かったんだけど、しょうがないよね。」
タニマは、脱サラして飲食店で働いていた金子さんが35年前に秋葉原の駅近くに出した喫茶店です。当時は、秋葉原は青果市場があって、その市場のお客さんを相手にしていたそうですが、平成に入って市場が移転すると、バブルもはじけて、周りの個人でやっていた7、8軒の喫茶店が一斉に撤退しました。その時に辞めることも考えたそうですが、ここまでなんとか続けてきたそうです。
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タニマの3月27日(木)をもって閉店のお知らせの張り紙
近くにチェーンのコーヒーショップもでき、昭和の純喫茶を続けるのもなかなか厳しい状況のなか、ご自身がお店に立てなくなったことを機に廃業するとお話されていました。
★秋葉原・老舗喫茶店のお客さんの声
一方、お客さんはこの閉店どう受け止めているのでしょうか。
- ●「外回りの仕事なので、休憩する場所がなくなってきているので、ちょっと悲しいです。AKBの劇場もあるし、もうちょっと残って欲しかったな。」
- ●「なんだかんだで10年くらい学生時代から通っていたので寂しいです。いまでも友だちとここで集まって飲みに行く流れなので。タニマで集まるのは毎週のようだったので、そういうのがひとつなくなると、これからどこで集まろうかなってなるんで、寂しいです。」
いまの声はきのうの閉店に駆けつけた人たちです。奇しくもここは隣の神田食堂という大衆食堂が先週末59年の歴史に幕を下ろしていることもあって、こうした昭和の香りが漂うお店が相次いでなくなるのを惜しむ声は多かったです。また、秋葉原はアイドルのライブハウスやアニメなどのカルチャーが集まっている街なので、そういうアイドルファンやアニメファンが、チェーンの喫茶店ではなく、こうした純喫茶で思う存分、語り合う場所でもあったようなので、その場所がなくなるのをすごく惜しまれていました。
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閉店時間の20時に訪れましたが、常連さんで賑わっていました。
★神保町・老舗天丼とんかつ店のお客さんの声
そして、続いては、神保町にある老舗の天丼・とんかつのお店の閉店です。それが今月末の31日をもって閉店する「いもや」。
ここはどんなお店だったのか、きのうお店の前でお客さんに話を聞きました。
- ●「悲しいですね。なんか一生懸命やっていたのでちょっと。もったいないですね。」
- ●「ただただ残念ですね。ウソでしょって感じ。この界隈を象徴するお店、レジェンドっすね。」
- ●「この辺そういうお店多くなってるから、仕方ないのかなって感じはしますけど。」
- ●「この辺りでは特別なお店でした。ランチの定番。ずっと残っていくと思ってました。行列できてたから、それでも潰れちゃうっていうのはどうしてかなっていうのが強い。なんで終わっちゃうのかを知って、思い出を完結させたいですね。」
いもやは、近くに天丼の大手チェーンなどもあるなかで、昭和34年創業で59年、およそ60年もこの神保町で天丼やとんかつを提供してきたお店。残りわずかの営業とあってきのうは閉店時間直前でも60人以上が列をつくって、1時間以上も待っていました。
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行列が絶えない神保町「いもや」。
★「いもや」の閉店の理由は。経営者の高齢化
ただ、疑問なのは、最後の方が仰っていたように、行列なのになぜ閉店するのかということです。
店に張り出されていた閉店を知らせる紙にも閉店の理由が書かれていなかったので従業員の方に話を聞きました。
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いもやの3月末で閉店をお知らせする張り紙
- 「いもやは約60年の店を今月いっぱい3月31日に閉店させていただきます。直営の天丼ととんかつの店を閉めます。反対側の暖簾分けの個人でやっている店は続けます。閉店理由は経営者が高齢になったと聞いてます。来月からは、なにも決まってません。大丈夫でしょう。この業界なんて、いつどうなるかわからないんで。」
今回、閉店する理由は、直営店の経営者が高齢のためということでした。また、直営店は月末に閉店し、一部の暖簾分けした個人経営のお店は残るそうです。
ですが、直営店で働いていた従業員の方は、閉店のため職を失い、いま就職活動をしながら働いているそうで、それでも気丈に振る舞っていたのが印象的でした。
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中矢邦子が「現場にアタック」でリポートしました!