スーパーなどで売られている魚介類で新たな認証マークが広まっています。その名も「ASC認証」。商品のパッケージに緑色の魚のマークがあります。3月6日(火)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『環境にやさしい養殖「ASC養殖」』について取材報告しました。
★環境への負荷を極力減らした養殖場を認証
いったい、これが何を意味するマークなのか。今月から、ASC認証を受けた新商品を本格展開する株式会社極洋・岡本涼さんのお話です。
- 株式会社極洋 岡本涼さん
- 「ASC認証とは、環境に大きな負荷をかけずに、責任ある養殖水産物であることを証明するベルです。マダガスカルのエビが今月から大々的に一般の市場にも出回ります。エビの養殖場を作る時に森林伐採や工場での汚染などが生じてしまうので、マングローブの植樹を行ったり、汚水もできる限り自社で処理できるような仕組みを作って少しでも環境への負荷を少なくするために努力しております。」
「海老の極み」という商品名です。

実際、頂きましたがプリプリの肉厚感あるエビでした!
極洋のオンラインショップで取り扱うほか、今月からは大手回転寿司チェーンなど業務用の取り扱いも始まります。
いま、天然の魚の獲れ高が頭打ちとなっている中で、養殖の拡大は今後さらに重要になってきますが、養殖場の建設で森林を伐採してしまったり、化学的な餌を使うと海を汚してしまうといった課題があります。
そんな中、ASC認証は、なるべく自然環境を守りながら養殖を行っている養殖場に対して与えられる「国際的な認証」です。
★ASC認証、日本は世界14位・・・
では、日本ではどれくらい広まっているのか。ASCジャパン・ジェネラルマネージャーの山本光治さんのお話です。
- SCジャパン 山本光治さん
- 「国内では3つの会社で合わせて9つの養殖場が認証を受けています。世界ランクで14位。数として進んでる国と比べるとかなり遅れをとっている。基準の厳しさ。抗生物質の使用できるリストも世界保健機関(WHO)が定める標準を合わせて設置したり餌の1個1個の原料に対する出所を提示しなければいけないというのが、他の認証制度の基準と比べると違いがあるのかなというのは正直感じます。」
現在、世界で合わせて600弱の養殖場が認証を受けていますが、そのうち日本は3つの会社、9つの養殖場だけ。
なかなか広まらない背景としては、認証を受けられる魚介類の種類がまだ9つと限られていることや、認証を受ける費用の高さがあります。認証の更新のために数百万ほどかかってしまいます。
そして、認証基準の厳しさもあり、それは日本の厚生労働省より厳しいそうです。
★牡蠣の過密養殖を改善し、ASC認証を取得
そんな厳しい基準の中、日本で初めてASCの認証を受けたのは、東日本大震災の被災地、南三陸町戸倉の牡蠣なんです。その認証に至るまでの経緯を、宮城県漁協志津川支所・戸倉出張所の阿部富士夫さんに聞きました。
- 宮城県漁協 阿部富士夫さん
- 「私たちの牡蠣は過密養殖で出荷するまでに2~3年かかってしまっていました。なんとかしないと大変な時期が来るぞと話し合っていた矢先の東日本大震災で本当に何もなくなり…震災前にあった養殖施設を同じように復旧することもできましたが、結局前と同じことになるのではないかと思って、最終的にはいかだの数を3分の1まで減らす取り組みをしました。いかだの数=収入のバロメータにもなるので、みんなで議論しましたが、それが今は1年で収穫が出来るようになりました。」
戸倉出張所には96人の牡蠣の漁師さんがいて、それぞれが社長として生計を立てるために密集した状態で牡蠣を育てていましたが、震災で全て流されてしまいました。
それを機にいわばライバル同士の漁師達が協力して、あえて牡蠣を作るための「いかだ」の数を減らしました。そのことでて牡蠣に栄養が十分いきわたった結果、生育が早まり、味も以前より甘みが増して美味しくなったそうです。そうして結果的に、環境に配慮された養殖とみなされ、ASC認証を取得することができました。
★「戸倉っこかき」のブランド化に成功
さらに、ASC認証を得たメリットについて、再び阿部さんに伺いました。
- 宮城県漁協 阿部富士夫さん
- 「単価も今は上がって、良い価格を保っています。震災前は宮城県内でも品質的にはあまり良くなく、下から何番目と言う感じでした。今は宮城県内でも上位の方にランクされるような位置づけです。」
「戸倉っこかき」はネット通販のほか、イオンやイトーヨーカドーでの取り扱いもあります。

300g・1200円で売られています。
決して安くはありませんが、「戸倉っ子かき」のブランド力が高まったそうです。
★外国人観光客向けにニーズあり
そしてさらに、マダガスカルのエビについてお話していた極洋の秋山光弘さんにもお話を伺うと、こんなメリットがあるということが分かりました。
- 極洋 秋山光弘さん
- 「特に外資系のホテルの方達が、インバウンド客にアピールするために、業務用のタラなども生産しています。「何の商品があるの?」と問い合わせがあって、商売になっていて、一つのビジネスチャンスになっているんです。」
外国人向けに商売をしているホテルでは、特に引き合いがあるとお話されていました。
日本でも、もっと認知度が広まっていくと良いですね。

中矢邦子が「現場にアタック」でリポートしました!