平昌オリンピックのスピードスケート女子1500メートルで高木美帆選手が銀メダルに輝きました。その高木選手が今シーズン躍進した裏には、高木選手の「食生活を変えた」キーマンがいるそうなんです。2月14日(水)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『高木美帆選手の食生活を変えたキーマン』に、お話を伺いました。
★銀メダルの影に・・管理栄養士「村野あずさ」さん
キーマンというのが高木選手が去年5月から栄養サポートを受けている、株式会社明治の管理栄養士・村野あずささんです。村野さんに高木選手の躍進の原動力となった「食生活の改善」とはどういう事だったのか、伺いました。
- 株式会社明治 村野あずささん
- 「高木選手が今回のオリンピックに向けて1人暮らしを始めたタイミングで、栄養指導を希望されたのでサポートが始まりました。高木選手の方から『じゃあ食事を毎日LINEで送って良いですか?』と提案があり、ほぼ毎日食べたものを3食プラス、間食など口に入れたものを9か月間送っていただきました。写真の枚数は、私のLINEの中に入っているものだけで約820食入っています。ですが、それ以上もっと撮りためていて全部送れていません、とこの前も高木選手がお話していました。毎日、写真を撮って送るって作業は、なかなかできない選手が多い・・・。それを9か月間もかかさず続けられるという継続力は本当に素晴らしいと思います。」
村野さんは高木選手の栄養サポートを去年5月から始め、高木選手が勉強熱心だったのもあり、もう9~10月にはアドバイスすることがないほど知識をつけていたそうです。村野さんはいまアスリートを10人ほど見ていらっしゃるのですが、そんな村野さんでも高木選手は別格のようで「こまめに継続していて本当にすごい!」と驚いていました。
★100%の食事ではなく、時に甘いものを!
一方、完璧に写真を送り続ける真面目な高木選手だけに、こんなこともあったそうです。
- 株式会社明治 村野あずささん
- 「小さいお団子や女子選手が好きな甘いものも少し食べてて・・・それでも節制はされてたんですけど、リフレッシュとかも大事ですよと。100%の食事よりは、食べたいものがあったら時には外食して、好きなもの食べても良いと思います。甘いものも全部が悪いわけではないので、クリームやバターなどの脂質が高いものを取りすぎないようにしたら大丈夫です。例えば、和菓子を練習前に食べるんだったら逆に良いんじゃないかとオススメすることもありました。たくさん情報をいただけるので、アドバイスもしやすかったです。」
高木選手は3食の食事以外にも、間食で食べた小さいお団子なども全て村野さんにLINEで報告するほどマメだったそうです。ですので「たまにはリフレッシュしてください」などのアドバイスをすることもありました。
★高木選手を後押しした「栄養フルコース型の食事」
では、具体的に高木選手が実践した食生活の改善とはいったいどういうものだったのか、伺いました。
- 株式会社明治 村野あずささん
- 「明治が多くのアスリートにオススメしている食事の方法が『栄養フルコース型の食事』と呼んでいます。栄養フルコース型の食事とは、1番目が主食、炭水化物を多くとる。2番目がおかず、タンパク質やミネラルをとる。3番目が野菜、ミネラルやビタミンをたくさんとる。4番目が果物、ビタミンをとる。5番目が乳製品、カルシウムなどのミネラルとタンパク質を多くとる・・・この食事を高木選手も毎日のように実践されていました。栄養フルコース型の食事はアスリートの方に限らず、栄養バランスが整う食事の方法なので、お子さんでも健康的に過ごしたいという方にとってもオススメしたい食事の方法です。」
高木選手が実践したのは、栄養フルコース型の食事。お米などの主食・おかず・野菜・果物・ヨーグルトなどの乳製品の5つを常に食べるという方法でした。
ですが、なかなか5つを栄養素をバランス良く食べるのは大変です。村野さんによると、高木選手も野菜とお肉などが入った具だくさんみそ汁などで2番のおかずと3番の野菜を同時に食べていたそうです。
この栄養フルコース型の食事は、アスリートの方のみならず一般の方も実践すると良いとお話していました。
★出来ていないが大半「野菜高騰、コンビニ弁当ばかり」
最後に、今回、高木選手が実践したこの「5つの栄養をとる栄養フルコース型の食事」。街のみなさんは普段できているのか、聞きました。
- ●「そんな難しくないんじゃない。みんな出来てるんじゃないの。お弁当だっておかずと野菜入ってるし、乳製品も牛乳を飲めば良いんじゃないの。」
- ●「スポーツマンはみんなやってると思います、カロリー使うんで。主食の炭水化物と果物が大事です。試合前は乳製品でお腹の調子を良くしてます。」
- ●「やりたいけど、なかなか難しい・・・。いま野菜高いですし、子どもが野菜食べないので。」
- ●「運送業やってて生活が不規則なのでやってないです。ちゃんと食事がとれず、コンビニ弁当が多いです。」
- ●「できてない、1人だから。果物なんてまず食わない。乳製品嫌いだし。自分でスーパー行って野菜を切ろうと思わない。週末に彼女のとこ行って食べさせてもらうのはあるけど、平日食わない。」
2人目の男性はラグビーの経験を踏まえてお話していました。スポーツをされていて、意識の高い方や目的がある方は「当然でしょう」というご意見。
ですが「コンビニ弁当が多いので厳しい」「野菜の価格が高いので難しい」など出来ていない人がほとんどでした。
この栄養フルコース型の食事は高木選手のような一流アスリートはできても、なかなか普通の生活していると厳しいものですね。