インターネットを見ていると、その人が興味のありそうな商品の広告が画面に表示されますよね。最近、私が薦められたのが『大人の粉ミルク』。ナニそれ??調べてみると、どうも最近、地味ぃにトレンドになっているらしい。そこで・・・!
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!10月24日(火)は、レポーター近堂かおりが『じわり人気の”オトナの粉ミルク” しのぎを削る製薬会社とミルク会社』をテーマに取材しました!
★先陣は、救心製薬の『大人の粉ミルク』
先月、『雪印ビーンスターク』が、大人向けの粉ミルクを発売したのですが、すでに3年前に先陣を切って発売していたところがあった。それがなんと、動悸・息切れのときにはおなじみの『救心製薬』。ミルク関連でも、食品関連でもない会社が、なぜ粉ミルク? しかもなぜ大人用?開発を担当した救心製薬 ヘルスケア情報企画部の菊池正子さんにお聞きしました。
- 菊池正子さん
- 「弊社のメインの商品に”救心”があり、中高年の方と接することが多いのですが、そういった方々の中から『牛乳は健康のために飲みたいんだけれど、おなかがゴロゴロしてしまって飲みにくい』とか、苦手とするようなお声を多く聞いておりまして、役に立てる栄養源はないかということで開発に至りました。まずは牛乳に近い栄養バランスというところを考え、牛乳より少ない量で効率的に、筋肉になりやすいタンパク質を摂るということと、中高年が気になる骨の形成に関わる栄養素を取り入れようということと、おなががゴロゴロしないために乳糖を可能な限り除去したものを使っていこうというあたりは、子供用の粉ミルクとの違いになります。」
救心製薬の商品は、その名も『大人の粉ミルク』!
健康のために牛乳を飲みたいけれど、牛乳は苦手で・・・という中高年のための粉ミルクだったのですね!
★牛乳飲んでますよ、苦手だけど。
それにしても、健康のためというのは分かりますが、苦手なら無理して飲まなくてもいいと思うんですが…。そんなに中高年の方は毎日我慢して牛乳を飲んでいるの? 街で確かめてみました。
- ●「飲んでるよ、コップに1杯、200CCぐらい。好きだから飲んでるだけの話ですけど。」
- ●「毎日飲んでます。コーヒーも嫌いじゃないけど、やっぱり朝は牛乳。我々の時代は脱脂粉乳。まずかったね~。牛乳が給食で出始めたのは中学生の時。これはおいしかった!!そこからですね、牛乳を飲みだしたのは。」
- ●「飲んでます。あんまり好きじゃないですね。…けど、我慢して。40歳すぎてからかな、やっぱり骨密度がこれ以上減らないようにと思って。」
- ●「そんなに好きじゃないけど、この年齢になると飲まなきゃいけないから、飲んでいます。前は飲まなかったんです。下るんですよ、飲むと。今は、沸かして飲むと、慣れてくるのかね。」
好きで毎日飲んでいる方ももちろんいましたが、苦手だけど毎日飲んでいるという方が、それ以上に多かったです。みなさん結構、ご苦労なさっていたんですね。でも、それなら、サプリメントなどで栄養を補ってもいいかなと思うのです・・・。
★なぜサプリメントではなくて粉ミルクなの!?
なぜ、サプリメントではなくて、粉ミルクが注目されるのでしょうか。雪印ビーンスタークの大人向け粉ミルクの開発を担当した雪印ビーンスターク株式会社 商品開発部 河内慶子さんのお話です。
- 河内慶子さん
- 「牛乳はウシの赤ちゃんがそれだけで育つものですので、人間に必要な栄養素とは少し違うところがあります。粉ミルクは牛乳と同じではなく、牛乳を粉にしたものでもなく、母乳に近づけるためにビタミンやミネラル、いろんなものを調整して作っているんですが、そういったところが、総合的に栄養が取れるものとして評価されているのではないかと思います。錠剤が苦手な方もいますし、いろんなビタミンやミネラルを摂ろうと思うと、すごい種類の数の錠剤を飲まなければいけなかったりしますので、そういう方には、これひとつでサプリメント代わりにいろんな栄養が摂れるというものになります。」
総合栄養食!として注目していたんですね!言われてみれば確かに赤ちゃんは粉ミルクだけで大きくなりますものね!!そこで赤ちゃん用のままではなく、大人向けは、中高年に不足しがちな栄養素が摂れるようにしたそうです。中高年の健康へのニーズにいち早く応えたのが救心製薬だったというのは、うなずけます!!
★良薬口に苦し、とはいかないので・・・。
ただ、救心製薬が粉ミルクを作るのは大変だったようです。開発担当で薬剤師の菊池正子さんのお話です。
- 菊池正子さん
- 「弊社の場合、食品を主としていないので、”おいしく作る”というところの苦労はしました。それと、どんな味にしていいのかというところも難しいですよね、やはり。ひとつは、牛乳を苦手としているお客様が対象となるので、ミルクといえどもあんまり”牛乳感”が強いのはどうなんだろうと。その中で、さわやかで飲みやすく続けてもらえるというところで、ヨーグルト風味というのが、いろいろ試した中ではいちばんおいしくいただけました。」
確かに。粉ミルクは『良薬、口に苦し』というわけにはいかないですものね。救心製薬はその後も新しい味を開発しようと取り組んでいますが、今のところ、まだヨーグルト風味1種類。
★粉ミルクを美味しくするのは、大変なんです!
おいしく作るのが難しい!というのは、我々は今まで畑が違った製薬会社だから、かと思ったのですが、『実は、粉ミルクをおいしく作るのは、とても難しいんです!』と雪印ビーンスターク・商品開発部の河内慶子さんはおっしゃいます。
- 河内慶子さん
- 「粉ミルクって本当にいろんな原材料を使うので、ビタミンとかミネラルとか結構、独特な味がするんです。入っている原材料をひとつ取り出してなめてみるととてもじゃないけど飲めないとか、ちょっとバランスが変わるだけで何か違う味が際立ってしまったりというところがあるので、乳児用から大人用に少しバランスを変えるだけでも難易度が上がりましたので、非常に難しいものだなと改めて思ったところです。私どものミルクの場合、「バランス」と「パワー」と「ビューティー」の3種類あります。「バランス」が一般的な粉ミルクの味、「ビューティー」はポタージュ風味、「パワー」が抹茶ミルク味。そのあたりの原料をひとまとめにして味を調えるという技術が、長年、粉ミルクの研究をしておりますので、それが発揮できたと思っています。」
雪印ビーンスタークから発売されたのは、『大人のための粉ミルク プラチナミルクシリーズ』。バランス・パワー・ビューティーの三種類から、味や機能が選べます!!
粉ミルクを作って半世紀。粉ミルクメーカーの意地とプライドを感じました!
ちなみに、森永乳業も去年、大人向け粉ミルクを発売。ほかのメーカーからも続々と登場しています。
中高年のみなさん、まさに注目ですよ。(あ、私もインターネットに勧められたんでした!!)