スペシャルウィークの今週は【あなたの街の現場にアタック!】と題して、身近な街の話題を取り上げます。きょうは、千葉県市原市で発見された地層が示す時代、「チバニアン(千葉時代)」について、8月24日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
現在、日本の研究チームが、「市原市で発見された地層が77万年前の時代を表す代表的な地層」として、この地層ができた時代を「チバニアン」と認定するよう、国際会議に申請しています(2年前の「現場にアタック」、先月の「日本全国8時です」のコーナーでも取り上げました)。
早ければ来月にも、似た地層がある「イタリア」か、この「千葉」かのどちらかに決まるんですが、決まれば「ジュラ紀」「白亜紀」などと並んで「チバニアン」という時代区分ができることになります。
ということで皆さん喜んでいるのかと思いきや・・・ちょっと複雑な状況でした。まずは、どれくらい盛上っているのか、地元市原市の方々の反応です。
★「チバニアン」に大興奮の街の人たち
- 男性
- ●「盛り上っていくと思います!すごく嬉しい。色んな人が市原市に来ていただければ。意外ですよね、びっくりしました。」
- 男性
- ●「やっぱりとっても嬉しい。世界中の注目を浴びる地層なので、田舎の山で珍しい地層が見つかったことが、身近なことで嬉しいです。」
- 男性
- ●「市原はとくにゴルフ場の町。あとは臨海の工場地帯といった感じで、それ以外の観光の場所はない。だから、有名なものがあるといいなと思います。」
- 女性
- ●「決まれば嬉しい。千葉ってどうしてもディズニーランドだけに集中してしまって、それ以外は目ぼしいものがないので。誇れますよね、市原市として。」
市原市と言うとどうしてもゴルフ場(数では日本一)や、臨海部の工場地帯というイメージで、それ以外に観光名勝がないので、「ぜひ決まってほしい」と盛り上がっていました。
★商店の人たちも「チバニアン」セールを計画中
また、市原市の商店街の方々も、こんな準備を始めていました。
- 男性
- ●「炭火焼き店です。自分がやるのであれば、お酒とかのセット『晩酌チバニアンセット』みたいなのやります。」
- 男性
- ●「居酒屋ですけど、『チバニアン弁当』とか『チバニアン祭』やりましょうよ。チバニアン弁当、中にご飯が断層になるように、炊き込みご飯とか考えます。」
ほかにも、落花生屋さんやお茶屋さんも、色々考えてるという声がありました。このように、街では、お店も地元の人も徐々に盛上ってきているんですが…。
★「チバニアン」が商標登録中・・・国立極地研究所 菅沼悠介先生
実は、この「チバニアン」について、いまこんなことが起きているんです。チバニアンプロジェクトの国立極地研究所・菅沼悠介先生のお話です。
- 国立極地研究所 菅沼悠介先生
- 「『チバニアン』という単語が商標申請されていて、たくさん商標が出ている。例えば、“印刷物”とか“お菓子”とか色んなものについて『チバニアン』が商標登録されているというのが現状です。今、一番問題になっているのは、カタカナの『チバニアン』という商標登録です。ほかには、『チバシアン』とか「チバ時代』とか出ていたと思います。今回チバニアンの商標登録のうち、印刷物に関しては、異議申し立て申請をしました。印刷物というと、論文とか本を出すときに商標を侵害してしまう可能性があるので、今後影響が大きいだろうということで、異議申し立て申請をしました。」
特許庁のHPには、詳細は出ていませんが「市川市内の男性」などの個人の方数名が、カタカナの「チバニアン」や英語表記の「CHIBANIAN」などを申請中ということです。中には、「千葉県以外」の人が申請している可能性もあるんだとか。
こうなると、肝心の地元・市原市の人たちが使えなくなってしまうかもしれないんです。ジャンルも“印刷物”から“キーホルダー”“お土産”“文房具”。さらには“お弁当”“パン”“飲料”“おもちゃ”など、幅広く出ています。そこで、研究チームとしては、千葉県や地元市原市と検討して、公共性のあ“印刷物”については、論文や教科書など幅広く影響するということもあって、特許庁に異議申し立てをしています。
ただ、ほかはジャンルも多すぎることと、まだ国際的に決まる前なので、市原市としては「ほかの異議申し立てはせず、まずは地層を国の天然記念物として申請中で、環境維持を優先したい」ということでした。
★「チバニアン」が使えないことをお店はどう思っているのか?
とはいえ、商標は、正式登録されると異議申し立てができなくなるようです。ではこのことをお店の人達はどう思っているのか、聞いてみるとこんな反応でした。
- 男性
- ●「そうなんですか! わー、それはひどいですね。個人的には許せない、海苔とか落花生の小売店なんですけど、昔は非常に商店も発展していたんですが今はもう閑散としていて、廃業したお店がたくさんあります。本当にこれをポジティブに全体が盛上っていけたらとっても嬉しいんですけど。」
- 男性
- ●「できなくなっちゃうとなんかちょっとさびしいなと思う。みんなのものでやっていきたいなというのはありますけど。」
- 男性
- ●「あー早いですね、そういう人がいるんですね、それを商売にしているような人が・・・。でもそこは早いもの勝ちですから。」
例えば、先ほど「チバニアン弁当」を作りたいと言っていたお店はもしかすると厳しいかもしれないんです。お店の人や町の人たちは、商標が個人から出されていることは、ほとんど知りませんでした。
★商標が取られる前に「チバニアンキムチ」を申請したキムチ屋さん
そんな中、いろいろ取材をしていくと、1軒、こんなお店を見つけました。キムチを専門に販売している「ともえのキムチ」国分弘志さんのお話です。
- キムチ専門店「ともえのキムチ」 国分弘志さん
- 「『チバニアンキムチ』のラベルも全部作ったの。6月9日に特許庁に出してやってもらった。地球がひっくり返ったとかなんかわかんねーけど、そういう話じゃんか。なんでも早いが一番、なんでも人に負けるの大嫌いだから。商品はもうできあがっていて、ラベルを作った。(普段売っているものと中身の違いは?)ない。一緒だよ、中身はキムチだもん。」
国分さんは地元市原市の方で、チバニアンが騒がれ始めてすぐ動いたそうです。商標申請したのは、「チバニアンキムチ」という言葉。
まだ審査中なのでこちらも決まってませんが、国分さんは「とにかく有名になるなら!」と、誰より早く「キムチジャンル」の申請をしました。こちらに関してはいまのところ異議申し立てはないので、このままいけば登録されるかもしれません。