猛暑で食べたくなるのは“アイスクリーム”ですよね!けさは、そのアイスクリームの概念を大きく変えるお話です。8月10日(木)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『溶けないアイスのある発見』について取材報告しました。
★東北の復興が教えてくれた溶けないアイス
まずは、ある発見をした金沢大学の太田富久名誉教授のお話です。
- 金沢大学 太田富久名誉教授
- 「イチゴのエキスが、アイスクリームを溶けにくくするといった作用を見つけました。東日本大震災の時、宮城県のイチゴの産地の岩沼で復興し始めたとき、最初は良いイチゴが取れなかったんです。私達は、お手伝いの意味で、規格外のいちごを頂き、エキス化して、それを、パティシエさんに使って頂いていました。ある時、パティシエさんがいちごのエキスを入れたお菓子=クリームが“形が崩れなくなったよ“と教えて頂きまして。そうしたら、イチゴに入っている”ポリフェノール“もその作用を示す成分だとわかりました。」
イチゴの“ポリフェノール”がアイスを溶けにくくするというのを発見したんです。
アイスの主成分は“水”と“油(クリーム)”が固まって出来ています。温度が高くなると、凍っていた水が溶けて、水が油と分離するので溶けます。イチゴのポリフェノールは、水と油をくるみこんで離さないので水が溶けても、“分離”が起きない!だから溶けにくくなるんです。このアイスが溶ける原理は、油が関係しているので“氷が溶けて水になる原理”とはちょっと違うんですね。
もともと太田先生は、果物など食品に含まれる成分をいろんな技術や分野に応用できないか研究する方で、たまたま被災地のイチゴに出会いました。そこで、パティシエにイチゴのエキスを渡したら偶然溶けない事がわかったんです。ちなみに研究をしていくうちに、どんどん研究室の冷蔵庫がエキスとクリームだらけに・・・そして、入れる場所がなくて、ついに冷凍庫までクリームでいっぱいに!
甘党だった太田先生は、研究用のクリームをちょっと食べてしまったんです。そうしたら、すごく美味しかったので、アイスクリームに応用できるとひらめいたんですね。今では、真夏の30度超えでも、2時間は溶けないアイスを開発し、特許を取りました。
★溶けないアイスクリーム屋オープン!
実は、その溶けないアイスを、ベンチャー企業が先生と提携して“溶けないアイスクリーム屋”として、東京の原宿・竹下通りに先月オープンしました。では、反響はどうなのか。金座和アイスの店長 田原浩平さんのお話です。
- 金座和アイス 田原浩平さん
- 「もともと金沢の直営店がスタートした事業で、金沢をモチーフにした“雪吊り”というアイスと、原宿では限定で“ハート型”や“キャンディ型”を用意しています。お値段は全部税込み500円でアイスは全部で9種類です。1日多い時で700個売れます。開店して1ヶ月ですが、2万個以上売れています。いま、海外でも溶けないアイスクリームに注目していただいておりまして、シンガポールや香港でも事業が進んでいる最中です。」
昨日、実際にお店にお邪魔しましたが、お昼前から大行列!溶けないため、アイスがキャラクターなどの形になっていて、買ったあとにお客さんがチョコペンなどでデコレーションして楽しんでしました。今では、金沢の本店以外に、東京・大阪と展開し、これからは沖縄や、海外まで進出予定なんです。
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店内にはドライヤーが!温めて食べるとまた違う食感が楽しめます。
★感想はサクサク・子供に良い・落ちない・ぬるい?!
では、実際にこのアイスを食べている人に感想を聞きました。
- ●「(男性)サクサクしてて美味しかったです。アイスなのに、溶けないんですが、冷たいです。」
- ●「(女性)いつもだと、こんな暑いと、溶けて、手がびちゃびちゃになります。でも、このアイスは溶けてこないので、子供には良いですね。洋服に落ちちゃうのがないのが良いです。」
- ●「(男性)冷たくて、美味しいし、ベトベトしないですね。普通のアイスって、噛むとポロンと取れる感じがあるじゃないですか、それがないです。テレビで見て、食べに行こうと思って伊豆から来ました。」
- ●「(女性)普通のアイスより冷たくなかった、ぬるい感じです。中学生ですが、ちょっと高いかなと思います。500円、高いです。溶けないアイスだから、この値段でもしょうがないのかなという感じですね。」
傾向として多かったのは“珍しい”ですとか“手や服が汚れないから”という声でした。最後の方のように“500円は高い”という声は、中高生の女の子達からちらほらありました。
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昨日のお昼頃・気温36度!でも溶けませんでした。
★医療分野でも技術の実用化を検討!
ただ、このイチゴのポリフェノール。実は、応用について太田先生は、アイスに応用することが最終目標ではなかったんです。将来的に、先生が目指しているのは、こんな応用でした。
- 金沢大学 太田富久名誉教授
- 「もともと、薬の効き目を高めるために色々な研究を進めてきましたが、私たちの体の中には、異物を代謝する“代謝酵素”があり、薬も体に入ったときに、代謝されてしまうので、薬は“何分の1”しか効きません。薬の効き目を全部、薬として使えれば、今飲んでいる薬の量より少なくて済みます。イチゴがそういう薬の効き目を高める作用を持つことがわかり、その研究の中で“ポリフェノール”がたくさん含まれていました。例えば、抗がん剤は副作用が強いですが、投与量を半分とかに減らすことが出来れば、それだけでも副作用をずいぶん減らすことができる。」
ちょっと難しいお話ですが、抗がん剤はすごく強い薬なので、投与すると一番効いて欲しいがんに届く前に普通の細胞にもどんどん薬が効いて、体を傷つけてしまうんです。ですが、このイチゴのポリフェノールを使うと、抗がん剤が溶けにくいので、普通の細胞を傷つけずに、がん細胞まで届けることが出来るそうです。
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中矢邦子が「現場にアタック」でリポートしました!