高校野球は甲子園を目指した熱い戦いが続き、野球の季節がやって来ましたが、こうした中、軟式野球の世界で行われる67年ぶりの大改革について、7月24日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
大改革とはどんなものか?全日本軟式野球連盟・専務理事の宗像豊巳さんに伺いました。
★軟式野球のボールが「重く・大きく・硬く」なる!
- 千全日本軟式野球連盟・専務理事 宗像豊巳さん
- 「現在、A球は一般用・B球は中学生用・C球は小学生用だが、AとBを一緒にして『M号(メジャー号)』にし、C球については『J号(ジュニア号)』にする。規格を3つから2つにします。今回の大改革は、重さと大きさに合わせてバウンドを抑えた。つまり反発を抑え、“ディンプル”というボールの表面積を変えることで、今よりも飛ぶようになった。」
軟式野球の公認球は1代目が1938年に誕生しました。その後、1951年に現在とほぼ同じ形になり現在の6代目までマイナーチェンジのみ。それが今回、ボールの規格の変更など様々な点が大幅に変更されるんです。
中でも、一番大きく変わるのは、中学生と小学生が使うボールが重く・大きくなること。重さは現在の物より1グラム~3グラムほど増え、直径は1ミリ~2ミリほど大きくなるようです。
★子供の大きさに合わせて、ボールも大きく!
更に、今回の軟式ボールの変更にはこんな背景があるようです。再び宗像さんのお話です。
- 千全日本軟式野球連盟・専務理事 宗像豊巳さん
- 「ボールは67年も変わっていないのに子供さんの体形が変わった。小学生の平均身長は約13センチ伸び、体重は9.4キロ大きくなった。中学生に関しては平均身長が18センチ伸びて、平均体重は14キロも増えた。このように、体型が良くなったのにボールは全然変わっていなかったので、体型にあったボールの開発が、今回の規格変更の1つのテーマです。」
全日本軟式野球連盟では、2012年3月から本格的に規格変更を検討し始め、実証実験を重ねて辿り着いたのが、今回の新たな規格だったようです。加えて、形状を硬式球に近づける事で、中学生が軟式野球からスムーズに硬式野球に移行できたり、硬式野球から軟式野球への移行など、「相互に移行がしやすく」する狙いもあるということでした。
★優勝投手「変化球が曲がりやすい」と高評価
ただ、ここで気になるのはやはり、M号の使い心地…。残念ながら、M号は今年9月中旬に発売予定ということで、今はまだ流通していないため、M号のフィールドテストに参加した人に、使ってみた感想を伺ってみました。天皇賜杯・全日本軟式野球大会で優勝6回と全国優勝回数1位のチーム!京葉銀行野球部のピッチャー・佐瀬友基さんのお話です。
- 京葉銀行野球部のピッチャー・佐瀬友基さん
- 「1番最初に感じたのは、持ったとき、今までの物より大きく感じたこと。重さの変化は感じず…。硬さは、従来の物よりも硬いな、と投げていて感じた。新球の方が、変化球が曲がっている感じ。私は打ってないが、守っていて打球が伸びて飛ぶなぁと。硬式球に近くなっていると思う。」
佐瀬さんは2013年に天皇賜杯で優勝した際の優勝投手で、硬式野球の経験者。そんな佐瀬さんもM号に太鼓判を押していて、変化球も良く曲がると仰っていました。軟式野球のピッチャーにとってM号は強い味方になるのではないか?!と思ったんですが、佐瀬さんからはこんな答えが返ってきました。
★ボールの変更で試合展開に変化が?「よく飛びます」
- 京葉銀行野球部のピッチャー・佐瀬友基さん
- 「正直に言うと、“バッター有利”になるのかなと。打球の飛びが従来と違かった。前の軟式球はチョットずれれば凡打になったが、新しいボールは、少しずれても飛んで行ってしまうのではという不安がある。でも軟式野球はどう変わるか楽しみ。」
M号の登場で、これまでのピッチャー優位が変わるかもしれないとお話していました。
★新球の登場で、軟式野球を楽しんでもらいたい
今年の9月には、草野球を楽しむ一般の人達もM号に触れる機会があるという事ですが、連盟の宗像さんは最後に、新しい軟式ボールにかける思いを聞かせてくれました。
- 千全日本軟式野球連盟・専務理事 宗像豊巳さん
- 「この新しいボールを開発したことで、『打っても楽しいな・投げても楽しいな』という1つの何かの夢を叶えて頂ければ幸いだと。6代目も時代に対応したボールだったが、これからのボールは皆さんが野球を楽しんでもらうボール。その原点はボールだと思う。
なんか面白いボールで変わったなとイメージを持って貰うことが、一番必要なのかなと。軟式独自の面白さが出て来ることを期待している。」
一般・中学生向けのM号は9月中旬の発売。小学生用のJ号は現在開発途中で、再来年には発売される見通しです。