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ホントにフォントが知らぬ間に進化してた!

このほど通販大手のアマゾンで、ちょっと珍しいものの販売が始まりました。かなりマニアックなものなのです!そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!7月18日(火)は、レポーター近堂かおりが『ホントにフォントが知らぬ間に進化してた!』をテーマに取材しました!

そのマニアックなあるモノ、実はアマゾンより先に、東京・文京区にある印刷博物館が今年3月から6月までの展示会に合わせて館内のショップで扱っていたというので、担当者にどんなものなのかお聞きしました。ミュージアムショップの高橋尚子さんの話。

★『フォントかるた』!!

高橋尚子さん
「『フォントかるた』といいます。かるたの場合は絵札ですけど、同じ文言が書かれている48枚の取り札がありまして、書かれているのはすべて『愛のあるユニークで豊かな書体。』となっています。同じ文章が書いてあるんですけど、文字の形が微妙に違うので、そこを見分けて取るようになります。博物館内では『どうなのかな、ちょっとマニアックすぎるかも』という意見もあったのですが、ちょっと予想を上回る売れ行きで、未だかつてない、ひとつの商品での売上最多数を誇っております。」

これがフォントかるたです。

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これがフォントかるた! 見分けるのが難しそう…。

これがフォントかるた! 見分けるのが難しそう…。

取り札48枚には、絵の代わりに、全部同じ文章が書いてある。ただし文字の書体=フォントが全部違っている。読み手はかるたの文章を読む代わりに、”MSゴシック”とか”ヒラギノ明朝”とか、フォントの名前を読み上げて、そのフォントで書かれた札をみんなで探す…という、活字マニア垂涎の品。フォークB、明石L、武蔵野、はるひ学園、プリティー桃…これみんなフォントの名前だそうです。この『フォントかるた』、元々はグラフィックデザイナーのせきねめぐみさんという方が仲間内の新年会用につくったものですが、どんどん評判が広がって商品化。印刷博物館ではショップ始まって以来の大人気。はじめ20セットだけ仕入れたら、あっという間に完売。マニア以外の人たちにも広がって、結局475セットも売れたのです。そしてついにアマゾンでも販売されるようになりました。今はパソコンなどでいろいろな文字を見たり、自分で使うことが増えた影響で、デザインに関わる人とかマニアでなくても興味を持つ人が多くなったようで…。

★フォントにこだわりあります!!

実際、街で聞いてみると、日ごろパソコンなどで文章を書くとき、みなさん結構フォントにこだわったり、気を使っているようです。

●「仕事の会議資料で、明朝体でも種類がいろいろあるので、ちょっとずつ変えるだけでも見やすくなったりするので、気を使います。」
●「フリー素材でフォントをたまに見たりします。何か印刷して友だちにあげるときとか、明朝体だと格式張ってるかなというときに、もうちょっとかわいいフォントがないかなって探したりとか。」
●「化粧品会社で働いてるんですけど、化粧品のチラシを作るときにフォントをいろいろ変える。かわいい感じのナントカプロみたいな。HMゴシック…のプロ(?)みたいな。ポイントで伝えたいことをそれにしたり。」

みなさん、パソコンでフォントを使い分けていました。ちなみに「HMゴシックなんとかのプロ」なんて言っていたのは、おそらく「HG丸ゴシックM-PRO」のことだと思います。フォントの名前は覚えていなくても、今の人はフォントに関心が高いですね。

★いつの間にか、フォントが変わった場所

そんな中、私たちの生活の中で、文字のフォントがいつの間にか変わっている場所があるというのです。株式会社モリサワという会社がそのフォントのデザインを手がけたというので詳しくお聞きしました。広報ご担当・澤村明子さんのお話。

澤村明子さん
「駅の券売機の駅名や行先、値段の表示などタッチパネルの部分の日本語の部分が、より読みやすい『ユニバーサルデザイン書体』に切り替わったんですね。読み間違えない、見間違えない文字です。例えば、国立駅の『国』という字のいちばん右下の部分、囲いの部分の形状が、これまでの字ですと横線よりも縦線が下に伸びているんですけど、新しく変わった文字では、はみ出しがないような形になっています。本当に気づかれないようなわずかな差かもしれないんですけど、読み間違えにくさが実験で実証された文字に変わりました。」

こちらが、国立の『国』の違い。

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上がユニバーサルデザイン書体の”国”立。下が今まで使われていたゴシック体。

上がユニバーサルデザイン書体の”国”立。下が今まで使われていたゴシック体。

ひと文字ひと文字の違いはほんのわずかでも、たくさんの文字が集まるとその差は歴然。
例えば、この現場にアタックのコーナーの原稿はいつも「MS明朝」という割とよく使われているフォントを使って書いていますが、これを「ユニバーサルデザイン書体」に変えた原稿と、並べて写真を撮ってみました。比べてみていかがですか?

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現場にアタック 原稿。上がユニバーサルデザイン書体。下がMS明朝。

現場にアタック 原稿。上がユニバーサルデザイン書体。下がMS明朝。

文字がくっきりと見えて、すいぶん読みやすい、と私は思いました。

★券売機のフォント、気がついた??

ただ、実際の駅では、以前のフォントと並べて比べているわけではないので、このフォントの変化にみなさんは気づいているのか、新宿駅の券売機前で伺ってみました。

60代女性
「わかんないねえ。気がつかなったわね。」
40代男性
「え…と、全然気づかなかったですけど。」
20代女性
「チャージしたときに見たと思うんですけど、全然分からなかったです。」
20代女性
「気づかない。地味だね(笑)。」
50代男性
「そういえば見やすくなったのかな、言われてみればね。たぶん、普通より早く買えるなあと思って。ポン、ポン、ポンと押せるから、あ、違うのかなって。でも、それを言われるまで気づかなかった。あれ、老眼が治ったのかなと思っちゃった。」

★気づかれなくて、いいんです!

なんとほとんどの人が新しいフォントになったことに気づいていない。せっかくフォントを変えたのに、これでいいの?
澤村さんに聞いてみました。

澤村明子さん
「いいんです、いいんです。文字はよく読めて当たり前なんですね。むしろ、これまで読みにくい字を使っていたのかという話にもなりかねませんし、『変わったな』と思われるということは何らかのギャップを感じているということだと思うんです。そこに気づかずに、ストレスを感じないでスッと読めるということが重要ですので、『あ、変わったね!』って、わざわざお伝えするようなものではなく、いつの間にか読みやすい字に実は変わっていた、という状態がいちばんいいんじゃないかなと、文字をつくる会社としては考えています。」

大きくしても小さくしても、紙に印刷してもデジタル画面で表示しても、老眼や弱視の方でも見間違えない文字。それが、『ユニバーサルデザイン書体』。実は、食品の成分表示や医薬品の説明書、保険契約書などすでに使われており、さらに我々の生活の中に広がってきた、ということなのです。これからもっといろいろなところで、知らぬ間に、文字が変わっていきそうですね。

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「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。


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