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続出する「ネオ横丁」に、消えゆく横丁の現実

都内では、新宿の“思い出横丁”や渋谷の“のんべい横丁”などさまざまな街に「横丁」がありますよね。実は、いまその横丁にちょっと変化が起きているようなんです。6月27日(火)、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『新スタイルの横丁、消えゆく横丁』について取材報告しました。

★今月赤坂にオープン!女性向けの横丁!

最近、ビルの中に“横丁”と名の付く飲食店街が相次いで新規オープンしているんです。実は今月、TBSラジオがある東京・赤坂にも、ビルの中に横丁と題した飲食店街ができたんです。一体どんな横丁なのか。このお店の企画運営しているインプライズの大野博司さんに伺いました。

インプライズ 大野博司さん
今月15日に赤坂みすじ通りに全9店舗が集まった“赤坂バル横丁”という飲食施設をオープンしました。いわゆる居酒屋的な大衆感のある横丁が非常に多い中で、昔ながらの横丁みたいにやきとり屋さんが連なっているのではなく、私どもはバルスタイルということでより女性の方に訴求した横丁になっています。いま女性の方が非常に大衆的な横丁にも行っていただいているとは思うんですが、一方でトイレが汚いよ、とか色々ご意見いただいたことがありましたので、清潔度とか少し女性向けになっております。全てで160席になるんですけど、毎日300名を超えるお客さまに来ていただいていまして、お蔭様で非常に多くの方にはしごを楽しんでいただけていると思っております。

実際に昨日、足を運んだんですが、女性のみならず会社帰りのサラリーマンで満席に近いほど賑わっていました。

スペインでは、食堂と酒場のバーが一緒になった飲食店を“バル”、朝昼はコーヒーやお酒、夜は仕事帰りに一杯お酒を飲んでいくという“スペインバル”の文化がありますが、このお店は、そのバルスタイルと日本の横丁と組み合わせ、はしごして食事やお酒が楽しむことができる女性向けの飲食街なんです。このバル横丁、赤坂が2店舗目!すでに先月、蒲田で開店し、今後は京都にも出店予定だそうです。ちなみに赤坂バル横丁では、焼き鳥からスパークリングワインとムール貝を楽しお店まであり、はしご酒が楽しめそうですね。

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インプライズの大野博司さんと。

インプライズの大野博司さんと。

★今週末川崎にオープン!新ブランドたくさんの横丁!

この赤坂バル横丁は、個別のお店が集まったいわば商店街のような横丁でしたが、次は!あるチェーン店が、自社のブランドだけを集めて、こちらもビルの中に新規オープンする横丁のお話です。居酒屋やレストランチェーンを展開するコロワイドMDの橋澤順さんに伺いました。

コロワイドMD 橋澤順さん
今週木曜日の6月29日に、川崎に“ほのぼの横丁”という9店舗が入った横丁を作りました。ほかの横丁は、色んなオーナーさんがいて集まって経営されているんですが、川崎のほのぼの横丁は、全部自社ブランドでやっていて直営店になっています。うちの会社で持っている物件が大きい大型物件が多くて、居酒屋自体が小さくなっているなかで、大型物件をひとつの業態で埋めることってなかなか難しいので、分割して色んな楽しみ方をしてもらうっていうことで、そういった面で横丁っていうのはうってつけの場所かなって思ってます。

コロワイドは、“甘太郎”や“ぎんぶた”などで知られる大手飲食チェーン店ですが、いま居酒屋では大きな物件で1つのブランドだけで採算をとるのが厳しくなってきているので、自社ブランドを集めた横丁を川崎駅前タワー・リパークの地下1階でオープンさせたというお話でした。このほのぼの横丁には、既存ブランドのぎんぶたから、溶岩石でステーキを焼く石焼ミートのお店、串かつ、おすし、海鮮焼き、ホルモン、ピザ、餃子、厳選された日本酒のお店など、新たなブランドのお店も入っています。

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コロワイドMDの橋澤順さんと。

コロワイドMDの橋澤順さんと。

★再開発による店主たちの複雑な心境

ここまでは、ビルの中にある横丁と名の付く新しい飲食店街の話でしたが、一方で消えゆく昔ながらの横丁もあるんです。それが東京・葛飾区にある立石の“呑んべ横丁”。京成線の立石駅近くで50年以上の歴史を誇るこの横丁は、京成線の高架工事で一部のお店が立ち退きを迫られ今年中になくなる予定です。

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京成立石駅から歩いて2分ほどで到着!

京成立石駅から歩いて2分ほどで到着!

今回、この横丁から立ち退くことになったお店の店主たちに話を聞きました。

●「昔は全部やってたの30軒全部、いま20軒なの。今度7~8軒がなくなるから、十何軒しかなくなるの。だから寂しくなるよね。このままでやれるならやりたいけど、改めてはちょっと無理。年齢考えたらもうじき80歳。こういうことでもなかったら、やめられないでしょ。」
●「寂しいよね、30年やってたから。お店自体はそんなには儲からないだけど、安いから。張り合いがなくなっちゃう。なんともいえないよね。」
●「(ここで生計を立てて)35年。街の生まれ変わりだよね、なくなってね。街の発展のためには仕方ない。きれいになるからいいよね、苦労したからここで。」
●「(横丁が無くなることで)せいせいします。結構、うちの会社の壁とかに向かってタチションとかする人もいましたし、吐かれる方もいらっしゃったので、その掃除が無くなると思うと嬉しいです。」

張り合いがなくなって寂しいという方から、最初のもうすぐ80歳という方は、ここで50年以上もスナックを経営されているママなのですが、寂しいけど、立ち退きが1つの区切りと踏ん切れたと仰ってました。一方で、最後の方のように、横丁に会社があって自分のところは酒場ではないので、酒場のお客さんには困っていたので、横丁が消えて変わっていくのには好意的という人もいました。

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一部のお店が今年、この横丁での長い歴史を終えます。

一部のお店が今年、この横丁での長い歴史を終えます。

★形態が変わっていく一方、客層は変わらない?

最後に、昨日この立石の横丁でお酒を呑んで楽しんでいた方に、どうして居酒屋ではなく横丁に来るのか、伺いました。

●「昔から早い時間終わって呑みにくる、やっぱり早い時間から呑めるよね、落ち着けるのかな。いろんなお客さんと会うと楽しいから、それだけ。」
●「居酒屋なんですが家みたい。アットホームですね。お喋りもよく知らない人と沢山できるし。」
●「昭和40年生まれの私にとっては昭和レトロでこういう所が残ってほしいけど複雑な心境です。全国チェーンの居酒屋とは全然違います。来て見なきゃわかんない部分がありますよね。いま行っているお店なんて、従業員のお母さんに叱られるぐらいの、教育されちゃうぐらいで。そういうのもなんか嫌だけどちょっと嬉しい、言ってほしいみたいな。」

古き良き横丁に足を運ぶ方は、チェーンの居酒屋にはない“距離の近さ”や“アットホームさ”を求めていることがわかりました。

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中矢邦子

中矢邦子が「現場にアタック」でリポートしました!


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