★今年、各地に続々誕生!「公園内保育園」
きょうは、待機児童問題の解決のために、この4月から続々とオープンしている「公園の中の保育園」について、4月26日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
★小学校、神社、そして公園・・・知恵を絞って場所探し
公園内の保育園は各地で開園していて、荒川区、世田谷区、品川区、それから地域住民の反対運動が話題になった杉並区の保育園も、予定通り今月開園しました。
今回は、荒川区・南千住駅近くの汐入公園にできた「にじの森保育園」を取材しました。まずは、なぜ公園に保育園を作ったのか?荒川区 子育て支援部・保育課長の大森重紀さんのお話です。
- 荒川区 子育て支援部・保育課長 大森重紀さん
- 「南千住地域は再開発の地域で、なかなか土地を確保して保育園を建てることが難しいという課題もありました。これまでいろんな工夫をして保育園の用地を確保してきまして、小学校の空き教室を活用したり、神社の駐車場もなんとかお願いをして貸していただいたり、いろんな知恵を使ってやってきたという地域です。今回の『特区制度』を活用して保育園を作るというアイデアも、そういった課題から生まれてきたものです。この公園は、荒川区でも特に広いので、その一角に今回作れたということで、子供達も外でのびのびと遊ぶことができています。」
荒川区は東京23区の中でも2番目に狭く、保育園を建てる場所を探すのに苦労していました。そんな中、目をつけたのが汐入公園だったという訳です。
★保育園の屋上がゲートボール場に!
ただ、公園に保育園を作る上で避けて通れないのが、公園の利用者をどう納得させるかという問題。以前取材した杉並区では、公園から徒歩5分の場所に代わりの空き地を用意しましたが、「線路が近くて危険」などの不満が、地域住民から出ていました。今回の荒川区では、その点をどう対応したのか?保育課長の大森さんに聞きました。
- 荒川区 子育て支援部・保育課長 大森重紀さん
- 「ここは、『プレイグラウンド』として、ゲートボールやグラウンドゴルフをしていた場所を活用して保育園を作りました。なので代替スペースとして、保育園の屋上にゲートボールのコートが2面とれる人工芝のオープンスペースを用意して、今後もこの場所でゲートボール等を楽しんで頂くような工夫もしました。」
屋上が全面人工芝!昨日も団体25名がグラウンドゴルフをしていたそうです。
また、建物の一室を一般の親子にも開放するなど、公園ならではの開かれた保育園として工夫されています。
また、汐入公園は杉並区の公園と比べると広さが桁違い。普段から公園を利用している方達に聞くと、一部が保育園になるのは全く問題ないという反応でした。
★公園の中に保育園があるから、外で遊び放題!
そんな「にじの森保育園」は全国でもまだ少ない公園内の保育園ですが、お子さんを預けている親御さん達はどう思っているのか聞きました。
- ●「南千住は保育園が結構あるけど、子供が多いので入れるか不安だった。でも、新しくできるので入りやすいのかなと思ってここを第一希望にした。良かった。」
- ●「8園くらい希望で書いたけど全部ダメで、2次で入れた。この保育園からはちょっと遠いけど、結果的にすごく良い。毎日のように遊びに連れていってくれるので、夜はよく寝てくれる。」
- ●「元々は、すぐそこの汐入保育所だった。学校の施設を借りて臨時的に3歳迄を預かってくれていたんだけど、3歳になってどうなることやらと思っていたらここが建ったので、良かった。」
- 最近は庭のない保育園も多い中、公園なので遊ぶ環境に恵まれていて気に入ったという声が多かったです。
★以前は「共働きで子育てしやすい街ナンバー1」だったのに・・・
一方で、保育園に入れなかったという荒川区在住の親御さんからはこんな声が。
- ●「何年か前までは『荒川区は待機児童が少ない』という話を聞いていた。でも、それから引っ越してくる方も増えて、今は待機児童が意外と多い。うちは、主人が自由が効いて、主人の母が近くに住んでいるので、ポイントが稼げない。保育園は諦めている状態。」
- ●「5年位前に入れた人は休職中でも入れたらしく、『入りやすいんだな』と思ってたけど、どこにも入れなくって仕事を辞めたという話も聞くので、託児所があるうちはいいけどこの先保育園に通えるのかな・・・という気持ちはあります。」
荒川区では地道に保育園の整備を進めたことで、待機児童の数は3年前に8人まで減ったそうです。それ以降、「荒川区は保育園に入りやすい」という評判が広まり、続々とマンションが建ち引っ越してくる人が増え、去年の統計では164人にまで待機児童数が増えてしまったということです。今年、公園内含め4つの保育園を新設してもまだ足りないそうです。
★自転車で区内を回って、保育園の候補地を探し続けます!
では、荒川区は次の策を何か考えているのか。保育課長・大森さんに聞きました。
- 荒川区 子育て支援部・保育課長 大森重紀さん
- 「待機児童がいる限りは、少しでも多くの方が入れるように、これからも整備に努めていきたい。荒川区は特に土地が狭い区なので、自転車で回って『空いている土地が無いかな』と職員が探しています。今年、銭湯を保育園に変えて整備していく予定もあります。自転車ならどこでも回れるので、いろんな場所を見つけていきたいと思ってます。」
荒川区の職員は、自転車などで地道にまわりながら、保育園が建てられる場所を探しているということでした。