★知っておきたい照明器具の火災
新年度が始まり、新生活や新たな職場で仕事をスタートさせる人も多いと思いますが、今日は生活に欠かせない電気=照明について、4月3日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
★照明器具とLEDの点灯方式が合っていないと、発熱の危険性
消費電力が少なく長寿命なLED照明の普及が、ここ数年進んでいますが、そんなLED照明が原因の火災が確認され、業界団体が注意を呼び掛けています。LEDによる火災がどうして起きたのか?日本照明工業会・技術部長の八木敏治さんにお話を伺いました。
- 日本照明工業会・技術部長 八木敏治さん
- 「お客さんが蛍光灯器具にLEDランプを使った時に火災が発生した。
原因は、LEDランプの適用器具に使われていなかったこと。物理的には、棒状のストレートの直管タイプに交換できるのだが、いわゆる誤使用で火災事故が起こった。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2017/04/AS20170316004270_comm1-533x400.jpg)
火災が確認された照明器具(日本照明工業会より)
日本照明工業会では去年の夏、蛍光灯の器具にLEDランプを取り付けたことによる火災を3件確認(LEDの誤使用による火災としては、初めての確認だそうです)。
そもそも「蛍光灯の照明器具」にはスタータ型、ラピッドスタート型、電子式の3つの点灯方式があります。また、蛍光灯とLEDも、照明器具と同じ方式のランプがあります。蛍光灯の場合には方式が違っても出火の可能性はないのですが、LEDの場合は方式が合わないと過剰な電流が流れ、最悪の場合には火災が起こるそうなんです。
(ちなみに、丸い白熱電球は方式が一つなので、LEDに付け替えても方式の違いによる火災は起きないようです)
★「LEDが異常発熱したことがある」という声も
では、実際に棒状の電球を利用している店舗の方々に、LEDの誤使用による火災について知っているか聞いてみました。
- ●「今までの蛍光管の器具にLEDを付けても点かないと聞いた事があるが火災が起きるのは初めて聞いた。LEDに変える時には気を付けないといけない。」
- ●「知らない。怖いけど全部変えたとこ。たぶん業者が同じだから大丈夫だと思うけど怖い。」
- ●「LEDになっているけど前に付けた時に熱くなったことはあった。やっぱり合わなかったんでしょうね。」
そもそも蛍光灯の照明器具に3つの点灯方式があるという事を知らない人がほとんどでした。ただ、現状として、蛍光灯の照明器具と取り付け部分が同じ形状のLEDランプが広く流通していて、ネット通販のサイトではどの点灯方式のLEDランプなのか説明がされていないケースもあるそうなんです。
★LEDの誤使用を防ぐためには
そうした現状を受けて大手メーカーなどではLEDの誤使用を防ぐために独自の対策に乗り出しているそうなんです。再び日本照明工業会の八木さんのお話です。
- 日本照明工業会・技術部長 八木敏治さん
- 「今回の一番の問題は接続部が同じこと。お客さんは入れば使えると普通は思う。大手メーカーは誤使用を防止する為に接続部を違うものにした、従来の蛍光灯器具に入らない取付け部にして誤使用を防止している。器具と一緒に取り換える必要があるが我々工業会もそちらを標準化したし推奨している。」
もともと蛍光灯の照明器具を作っている大手メーカーは、蛍光灯の器具にLEDを使う事は想定していないようですが、LEDのみを販売する新規メーカーなどは、蛍光灯の照明器具に取り付け可能なものを販売しています。
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2017/04/IMG_3530-533x400.jpg)
(左)LED、(右)蛍光灯/つなぎ目が同じ形なので、従来の蛍光灯の照明器具に、LEDが取り付けられます
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2017/04/IMG_3535-533x400.jpg)
一方、大手メーカーが推奨しているのはこちら。蛍光灯の照明器具にLEDが取り付けられないよう、つなぎ目がL字型のものを販売しています。“照明器具ごと”交換する必要があります
★LEDは、土台ごと交換するのが安心
とはいえ、従来の照明器具に取り付け可能なLEDの販売は、それ自体を止めさせる罰則規定はないそうです。そこで、大手メーカーなどはLEDランプ専用の照明器具を販売したり、蛍光灯の照明器具には付けられないようにしたLEDランプを作るなどLEDの誤使用対策に乗り出しているとのことです。
LEDの利用については自己責任という状況の中、最後に八木さんに、今後LEDを使う上での注意点を教えてもらいました。
- 日本照明工業会・技術部長 八木敏治さん
- 「蛍光灯器具にLEDを付けるのはプロなら分かるが素人はどれが合うかの選択は困難。どうしても使うなら電気店とかプロに交換を任せるのが大切。それと器具の寿命は8~10年と言われ回路や配線が劣化する。寿命が来たものに関してはその時点でLED専用の器具に取り換える事も検討してもらいたと思います。」
方式の違いは照明器具に表記されているとのことですが、表記箇所も様々で、表記の仕方もバラバラなんだそうです。素人目には分からないので、プロに見てもらうか、土台(照明器具)ごとLED専用のものに変えるのが良いとのことでした。
![田中ひとみ](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/09/sump_tanakahitomi-400x400.jpg)
田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!