ヤマト運輸が宅配便値上げへ、と今朝の新聞各紙が伝えていますが、このところ宅配業界の悲鳴が多く聞こえて来ています。その背景にあるのは、『ネット通販の浸透による荷物の急増』『宅配ドライバーの不足』そして『再配達』です。
その再配達を減らすため、注目を集めているのが、荷物を受け取る『宅配ボックス』。最近、その宅配ボックス事情がいろいろ変わってきているようなのです。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日3月8日(水)は、レポーター近堂かおりが『再配達を減らせ!~宅配ボックスの普及と課題~』をテーマに取材しました!
まずは、公共の場所で、宅配ボックスの設置を進める、パックシティジャパンの勝 洋一郎さんのお話です。
★宅配ロッカー・PUDOステーション!!
- 勝 洋一郎さん
- 「私どもの宅配ロッカーは、公共の例えば駅やスーパーさんなどに設置させて頂いて、複数の宅配会社さんが荷物を納品して、お客様が受け取れるというサービスです。東京・関東中心に、2月の末までで200台設置しています。ロッカーにはタッチパネルがありまして、受け取り方としては、宅配会社から暗証番号がお客様に送られてきて、その暗証番号を入れた後に、指でサインして荷物を受け取ってもらうという流れ。お受け取りの時間帯は、夜の8時から10時までの受け取りが非常に多くなっています。」
この宅配ロッカー『プドー(PUDO=pick up drop off)ステーション』、荷物を受け取る人は、無料で利用できます。
利用の仕方は・・・。
- 商品購入時に配達先を『プドーステーションで受け取る』と指定。
- 『荷物がロッカーに入った』という通知と合わせて、『暗証番号』がメール送られてくる。
- プドーステーションで『暗証番号』を入れて、タッチパネルで『署名』をする。
一方、宅配業者さんにとっても、利点があります。
荷物を入れた後の連絡は、PUDOの会社がしてくれるし、もちろん再配達が不要となります。ロッカーのサイズも大・中・小のサイズがあって、アマゾンの箱もバッチリ対応できる大きさがそろっています!
いまのところ、ヤマト運輸がメインですが、ほかにも佐川急便など、他の宅配業者も使えるサービス。現在は、およそ200カ所ですが、5年後、5000ヶ所設置が目標ということで・・・ますます増えそうです。
★家庭用宅配ボックス!!
でもやっぱり家まで、荷物を届けて欲しいな、という人も多いと思います。家庭用の宅配ボックスも、色々と進化しています。今週新しい宅配ボックスを発表した、パナソニック・エコソリューションズ社・収納商品企画課 高橋弘喜さんのお話です。
- 高橋弘喜さん
- 「1つはアパート用の宅配ボックス。ポストと宅配ボックスが一体型になって住宅壁に直接埋め込める家の中から取り出せる宅配ボックス。それから壁に埋め込めるタイプ、この3種類を発売させてもらっています。特徴としましては印鑑が押せるということ。いたずら防止のため1回だけ。それと電気を使わないのでランニングコストがかからない。2010年以降数字が伸びてきまして、この1年間は、去年のおよそ2倍売れています。」
今回新しく出た宅配ボックスは、クール便やゴルフバックなどを一部のものを除けば、ほぼ全ての大きさの荷物に対応可能。こちらもやはりアマゾンの箱を色々確認して、サイズを考えたそうです。(みんなアマゾン・・・。いかにアマゾンの荷物が多いか!ということですよね。)
また、認印も、伝票を差し込めば捺印できて、いたずら防止のため一回荷物を入れるごとに、一回しか判子を押せないように工夫してあります。また、防火・断熱処理の技術が進化したので、外壁や住宅の壁に直接埋め込むことができるようになっています。
埋め込むことで家の外に出ずに、荷物を受け取れるので、『化粧せずに外に出たくないわ!』というような人のニーズにも答えているそうです!(すごい!)
ちなみにお値段は、7万円前後から上を予定しているとのことで・・・なかなかいいお値段(笑)。
とはいえ、埋め込みタイプなら、場所をとらず、便利ですし、セキュリティなども、強化されているので、安心して使うことができそうでした(4月3日発売予定)。
ほかにも、別のメーカーなどからもたくさん宅配ボックスは販売されており、床に置くタイプで6千円前後、と手ごろなお値段で手に入れることもできます。
★戸建て宅配ボックスで実証実験!!
種類も豊富になってきている家庭用の宅配ボックス。実は、高橋さんたちの調べでは、分譲マンションは、ほぼ100%宅配ボックスが付いているのですが、戸建て用の宅配ボックスは、まだまだ普及率が低く、全国普及率1%未満、戸建て用の宅配ボックスの認知度も19%と低いのだそう。そこで、こんな実験を行いました。再びパナソニック・エコソリューションズ社の高橋さんのお話です。
- 高橋弘喜さん
- 「福井県のあわら市で、共働きのご家庭100世帯に宅配ボックスを設置し、どれだけ再配達率が減るか、という実証実験をしました。”全国平均の再配達率約20%”の中、福井県あわら市では”49%”ありました。それが、宅配ボックスを設置することで”8%”まで減ったという結果がいまのところ出ております。(実験は3月末までなので最終結果はまだですが、12月の結果です。)もちろん配達員の方の労働力あるいは、自動車のCO2削減にも影響していると思います。」
福井県のあわら市は、共働き世帯が多く、再配達率が高い地域。全国平均では荷物の20%が、再配達と言われていますが、あわら市の再配達率は、49%だった。それが宅配ボックスをつけたら、再配達率が”8%に減った!!”ということです。この結果に、高橋さんたちもびっくりしていました。
実際、福井県あわら市の宅配ドライバーの方に、実験についてどうか直接電話をしてお話を聞いたところ・・・。
- 「実験の100世帯に関しては、行ったり来たりが減ったという実感が確かにありますね~。ただ、1回入れたら、次の荷物は入れられない・・・例えば、他社が先に荷物を入れたら施錠されちゃって、その後ほかの宅配会社は入れられないので、宅配ボックス争奪戦になっている状態です(笑)。うまく他社のドライバーより先に行ければ、ラッキーなんですけど。」
宅配ボックスは1回閉めたらセキュリティ上開けられないようになっていますからね。先に入っていたら、やっぱり再配達になってしまいますから、宅配ボックスバトルになってしまうのも納得!!
★宅配ボックスに閉じ込められる事故
しかし、もうひとつ。一回閉めたら開けられない、という点でこんな事故もおきていました。
東京消防庁防災部・防災安全課 山本哲也さんのお話です。
- 山本哲也さん
- 「昨年ですね、宅配ボックスにこどもが閉じ込められるという事故が発生しております。7歳のお子さんがかくれんぼをしていて、マンションのエントランス部分に設置されていた宅配ボックスに入って、何らかの原因で鍵がかかってしまって出られなくなったものです。平成24年以降、東京消防管内では、本件含めて4件発生しております。夏場ですと気温も高いですので、熱中症になる危険があったりとか、注意して頂きたいと思います。」
今後、宅配ボックスの数が増えると・・・事故の危険も増えることにつながりますからね、注意しておきたい事例です。宅配ボックスの普及で、再配達を減らす動きが加速していますが、そうなると、宅配ボックスに求められることが多くなるのは確か。今後、まだまだ今後改良されていきそうですね。