★観光客の増加で、観光バスによる渋滞が深刻・・・
ここ数年、日本を訪れる外国人観光客の数は増加傾向で、2016年は過去最高の2400万人を超えました。そうした中、都内の観光地で問題となっているのが、観光バスの乗り降りや路上駐車による道路の交通渋滞です。今日は、観光バスの渋滞緩和について、3月6日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、86:30-8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
★秋葉原⇔靖国神社間をシャトルバスでむすぶ
観光バスが引き起こす交通渋滞の緩和に向け、国土交通省・関東運輸局が先月、ある実証実験を行ったそうです。どんな実験だったのか、関東運輸局の荷見雄二さんにお話を伺いました。
- 関東運輸局 荷見雄二さん
- 「秋葉原と靖国神社の間に、シャトルバスを運行する実証実験を行いました。
簡単に言うと訪日外国人を乗せたバスを秋葉原で乗降させないように、靖国神社でシャトルバスに乗り換えてもらってから秋葉原に行ってもらうというもの。観光バスは靖国神社の駐車場に停めてもらいます。」
この実証実験は、先月末に4日間かけて行われ、それぞれ9時~18時までの間、秋葉原⇔靖国神社間で無料のシャトルバスを走らせるというもの。誰でも予約なしで利用できるとのことですが、外国人観光客の大型バスを靖国神社の駐車場に停めることで、秋葉原の路上混雑の緩和を図るのが狙いのようです。
★浅草では、「乗り場」と「降り場」を分離
関東運輸局では他にも、銀座や新宿、浅草など、各地で様々な実証実験を行っています。中でも自治体独自で始めたのが、浅草をはじめとした多くの観光スポットを抱える台東区。どんな取り組みを行っているのか?台東区交通対策課の三宅哲郎さんのお話です。
- 台東区交通対策課 三宅哲郎さん
- 「もともと東参道の二天門通りに観光バスの乗降場を指定していたのですが、乗車も降車も一極集中していたので、非常に混雑していました。地域の人からも色々な声が出るなど問題となっており、それを改善するために、昨年の12月から乗車場と降車場を分け、バスの流入数を制限しました。
また、2月1日から観光バスの予約システムを導入し、駐車場と乗車場を予約制にしました。」
浅草ではこれまで、二天門通りと東武浅草駅前の2カ所が、観光バスの乗り降りをする場所に指定されていたのですが、去年の12月に乗降場所を分けたということです。
さらに、二天門通りでは「バスベイ」というバス専用のスペースを設けたほか、駐車場と観光バス乗り場の利用を予約制にすることで、観光バスによる渋滞を減らそうと動き出したんです。
★観光バス運転手「渋滞は減った」
では、本格実施から1カ月余りが立ち、観光バスの運転手さんは台東区の取り組みをどう見ているのか、実際に浅草に来ているドライバーの方にお話を伺ってみました。
- ●「私らは楽ですね。入るに入れずに手前で乗り降りしていたのでチョット対応が遅かったぐらい。駐車場も少なくて、どこに行けば良いかと思う事も結構あった」
- ●「お客さんは、乗り場と降り場が離れるので大変かもしれない。我々も大変だけど近隣の人の事を考えると仕方ない。近隣には迷惑掛けてた。」
- ●「始まって結構立つのでガイドさんにも周知し始めた。バス停のように道路をへこませたので今の方が全然楽。何もせずに放置するより良い。」
観光バスのドライバーさんによると、二天門通りでは、酷い時には1キロほどの観光バスの渋滞が出来ていたそうです。今回の乗降分離は、お客さんにとっては乗り場と降り場が違うので大変かもしれないという声もありましたが、観光バスによる渋滞は緩和して良かったとの声が圧倒的。台東区の三宅さんに伺うと近隣住民の反応も上々で、滑り出しは順調なようです。
★観光のピークは春と秋!これからが勝負の渋滞緩和策
そして今後も改善点が出てきた場合には対策を考え、観光バスによる交通渋滞の緩和を図りたいと話していました。再び三宅さんのお話です。
- 台東区交通対策課 三宅哲郎さん
- 「今は非常に上手くいっていますが、比較的オフシーズンです。3月後半から桜のシーズンで、浅草はこれからも観光バスが増え、来場者が増えていく可能性があります。今後は、降車場と乗車場の増設と将来的には道路以外での整備を目指していく予定です。」
2020年には東京オリンピック開催も控えている事から、観光バスの渋滞緩和に向けた動きが進みそうです。