★81歳がつくったスマホゲームがすごい!
先週末からスマートフォン向けに、ある異色のゲームアプリが配信され話題となっています。開発者は、なんと81歳のおばあちゃん!このアプリについて、3月1日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
まずはどんなアプリか、開発者の若宮正子さんのお話です。
- 開発者 若宮正子さん
- 「『hinadan』という、お雛様の正しい並べ方を競うゲームなんです。今、ゲームっていうと、たいがいチャカチャカ気忙しいのが多いけど、シニアはそういう気忙しいのは好きじゃない。それで、ほんわかした雰囲気でのんびりやるスマホアプリがあってもいいんじゃないかしら、ということで作りました。会社でやるプログラミングと違って、自分が好きでやってるわけですから、途中でこういう風に変えようって簡単にできちゃって。一番の究極の脳トレはプログラミングです!」
「お年寄り向けのアプリが欲しい」と周りに相談したら「自分で作ってみたら?」と言われて、若宮さんはプログラミング未経験ながら、専門書を読み込み、先生に教わり、半年でアプリを完成させたそうです。
★ゲームの名は「hinadan」どんなゲーム?
アプリの名前はアルファベット小文字で「hinadan」。言葉通り「雛壇」を完成させるゲームです。
スマホの画面の上には4段の雛壇があり、その下に雛人形が12体、並んでします。この雛人形を、正しい位置に飾ることが出来るかどうか、やってみるゲームです。
といっても、画面下にある雛人形を画面上の雛壇まで運ぶのは、スマホでよくある「ドラッグ&ドロップ」ではありません。人形をタッチして選択、そして飾りたい場所をタッチする、というルール。お年寄りは「ドラッグ&ドロップ」が苦手な方が多いということで、工夫したそうです。
並べていって、正しい位置だと鼓の「ポン」という音が鳴り、間違えると「ぶー」という音が鳴ります。
何度間違えてもゲームオーバーにはならず時間制限もないので、自分のペースでできる点が特徴。アップルから無料で配信されており、現在はiPhoneとiPad向けのゲームとなっています。
★狙いは「お年寄りが孫に勝てるゲーム」
このゲームをつくるとき、若宮さんが考えたのは、高齢の方が、お孫さん世代の方と一緒に遊べるゲームにしたいということだったそうです。でも、なぜ「ひな祭り」のゲームなのか?再び、若宮さんに伺いました。
- 若宮正子さん
- 「お雛様を眺めたり並べた経験のある人が絶対有利というのがあります。ゲームが得意なはずの男の人や若い人が5分かかって、ゲームが苦手なはずの84歳のおばあちゃんが20秒でできたりする。優越感を味わえるんです。もう1つは、雛飾りを次の世代に継承してかなきゃいけない。小さいお子さんにお雛様の並べ方の知識を広める機会になって、両世代にプラスになる、そんなものが作れたらいいと思いました。」
一般的なスマホゲームだったら操作に慣れている若者の方が有利かもしれませんが、ひな人形の知識なら、高齢者の方が勝っているのではと若宮さんは考えたようです。
★高齢者vs若者「hinadan」対決の勝負は?
そこで今回は、街で、高齢者と若者それぞれに「hinadan」を体験してもらい、どちらがより少ないミスで全問正解できるか、調査しました。まずは、おばあちゃんの原宿こと巣鴨に来ていた60代~80代の方達です。
- 60代の方
- 「三人官女。三人の持っているもので位置が違うんですよ。」
- 60代の方
- 「五人囃子は分からない。ボーカルが真ん中?違うんだ。端だ。
(お見事!)娘3人いるから。お雛様いくつもあるからね。」
- 70代の方
- 「やりやすかったです。左手でやってそれだから、右手でやるともっと早くくかもしれないと思います。」
巣鴨で5人にプレイしてもらって、平均すると3回のミスでクリアできました。五人囃子の並べ方は難しかったようですが、それ以外はほぼ正解。巣鴨ではスマホを触ったことがないという人も多く、操作でつまづく方もいるかと思ったのですが、指でタッチするだけなので、皆さんやりやすいと言ってました。
一方、今度は原宿に移動して、10代の若者たちに聞きました。
- 19歳の方
- 「ちゃんと全部位置当てなきゃいけないんですよね?太鼓は端かな?(ぶー)間違えた。こっち?待って?ヤバイ、ことごとく間違えてる・・・(ポン!)あ、キタ!あてずっぽだけど当たった!」
- 19歳の方
- 「お雛様とお内裏様以外のとこって、実際見たことがないので難しい・・・」
原宿でも5人にプレイしてもらい、ミスの数は平均10回。巣鴨の高齢者の3回と比べるとだいぶ多いです。家にひな人形が無い、あってもお内裏様とお雛様しか無いということで、三人官女の段から苦戦。それでも友達と相談しながら、楽しそうに盛り上がってました。
若宮さんは、このアプリをデイサービスなどのレクリエーションにも使ってほしいと言ってました。
★これからもゲームアプリを開発していきたい!
そして若宮さんのアプリ開発、新たな構想もあるようです。
- 若宮正子さん
- 「今回は、ひな人形のゲームに特化して教えて頂いたのですが、ゲームの世界っていろんなゲームがあるんですよね。ブロックを積み上げるゲームとかいろいろありますよね。だからワンオブゼムをやっただけであって、これからですよね、勉強は。年齢的にいつ限界が来るか分からないですけど、やりたいのはいっぱいあるんです。」
若宮さんは今後も、シニアが楽しめるゲームアプリを開発していきたいそうです。