★不動産業界の「おとり広告」って何?
新年度を前にこれから引越しシーズンになりますが、インターネット上では「不動産のおとり広告」が増えています。おとり広告とは何か?2月20日TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」の「現場にアタック」で取材報告しました。まずは首都圏不動産構公正取引協議会 佐藤友宏さんのお話です。
- 佐藤友宏さん
- 「まず1つ目が架空物件。その名の通りこの世に存在しない物件です。2つ目が意図的に取引する意思のない意思なし物件。3つ目が契約済みの物件。物件自体は存在するが取引は済んでいて、入居や買うことが出来ない物件。基本的には客寄せですよね。お客さんを店舗に呼ぶ手段で実際に取引できる物件を紹介して成約に結び付けるというものです。」
不動産のおとり広告=別名おとり物件とも言えますが、最近はインターネット上で特によく見かけられます。不動産業者が売る気がない、契約する気がないにも関わらず、お客さんを集客するために掲載する広告です。10年ほど前からネットで引っ越し先を調べる人も多くなっている中で、一部の業者によるおとり広告が出回っているそうなんです。
協議会には、大手の不動産情報サイト5社(『HOME’S』(運営会社・ネクスト)、『SUUMO』(リクルート住まいカンパニー)、『at home』(アットホーム)、『CHINTAI』(CHINTAI)、マイナビ賃貸(マイナビ)の5サイト)が加入していますが、昨年度に約2,000件のおとり広告が見つかったそうです。ただ、見つかったおとり広告は指摘や申告があった物だけで氷山の一角と考えられます。
★「おとり広告に渇!」協議会が罰則を強化
協議会に入っている各サイトは違反情報を共有して、おとり広告を見つけ次第、削除しているのですが、今年に入り悪質業者に対する罰則強化の動きも始まりました。
- 佐藤友宏さん
- 「元々は表示規約と呼ばれるルールがあるが、違反すると厳重警告した上で違約金を課徴するという違反した業者には行ってきた。先月からは違約金の措置を受けた事業者は、サイトの掲載が最低1ヶ月出来ないようにした。部会のメンバーのサイトは不動産業界の中でも主要なサイトなので、広告ができないと不動産会社には痛手となります。」
そもそも不動産業には国土交通大臣か各自治体の知事から免許を受け取るのですが、協議会は不動産業界の自主規制団体のため、悪質業者に対して業務停止などの処分は出せません。そんな事もあり、協議会では違反が見つかった場合には不動産業者の生命線でもある「ネット広告の停止」という罰則強化に乗り出したんです。
★おとり広告に騙された人はいるのか?街角調査
厳しく取り締まりが進んでいるおとり広告ですが、架空の広告を見て来店しても、他の物件を紹介されて気に入れば騙されたと感じないため、表面化しにくい一面もあります。そこで実際におとり広告に引っ掛かった経験のある人を街で探してきました。
- ●「立地も良いし安いしと思ったら、「実はその部屋は無いんです」と言われた。聞くと「大きな声では言えないが載せてるだけなんですよ」と。2回ぐらい騙されましたね。」
- ●「ネットで見て、店舗に行ったら「埋まっています」と言われた。相場よりも2万ほど安く築浅の所だったが、同じくらいの築年数で相場位の部屋を提案された。前日に決まったと言われて、その場で掲載されたページを見せたが、無いの一点張りだったので隣の不動産屋で決めた。」
おとり広告自体を知らない人も多かったですが、経験談を話してくれる人もいました。
★おとり広告に騙されないために!知っておくべきポイント
ただ、ネット上のおとり広告を一般の人が見分けるのは難しいそうで、最後におとり広告の被害に遭わない為の対策を、首都圏不動産構公正取引協議会 佐藤友宏さんに教えてもらいました。
- 佐藤友宏さん
- 「情報収集はネットでしてもらって結構ですが、自分が住みたい街に行って、その街の不動産会社に「家を探している」と思い切って飛び込んでもらうのが1番良い。飛び込み客におとり広告は紹介しないし、そこでは取引できる物件しか紹介しない。あとは相場を知ってもらうのが1番。安いモノには理由があるのでチョット疑った方がいいです。」
一部の悪質業者による不動産のおとり広告なんですが、物件探しは色々な形でリサーチをして納得する物件を選ぶのが重要になりそうです。また、もしおとり広告の被害に遭った場合には、首都圏不動産公正取引協議会に一方を入れて欲しいとのことでした。

取材・リポートは阿部真澄でした