27日(日)早朝、千葉の浦安で、意識を失ったタクシー運転手が事故をしたというニュースがありましたが、けさは、その話の“その後”を「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)11月29日の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材しました。
まず事故をおさらいすると、日曜の早朝、タクシーの運転手がお客さんを乗せている時に意識を失い、乗っていたお客さんがハンドルを操作して停止するも、運転手は死亡、乗客は軽傷という話でした。
★被害にあった乗客に聴いた話・・・
その乗客の方を、おととい事故の後に病院から送ったというタクシー運転手の方に、その乗客の方がどういう恐怖体験をしたのかという話を伺うことができました。
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- タクシー運転手
- 「そのお客さんを乗せたの、きのう。少し前に信号があったそうです。その信号が赤で止まらなきゃいけないのに、スルスル前に出るんですって。だから、運転手さん大丈夫ですか?って注意したら、「ちょっと腰が痛い。普通じゃない」と。そのときはまだ喋れた。
で、その信号を左折しなきゃいけないので、左折したらしいんですよ。そしたら100メーターのところくらいで意識がなくなった。ハンドル握ってたけど、上向いたんだって。反応なくなって、アクセルは踏みっぱなし。映画のシーンみたいですねって言ったら、「まさしく、こういうのは絶対やりたくない」って。怖かったでしょうって言ったら、「いやぁ、怖かったです」ってそう言ってました。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/11/1089ecba095e5e41ab96a2ea9e38d212-536x400.jpg)
柵に追突した痕跡が、今も生々しく残っていました
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/11/55533c7d9e72e70889f75933ba2e8111-536x400.jpg)
周辺には車の破片とみられるものも散乱。
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/11/a7851743be29d0243ec4631c47b20bd6-533x400.jpg)
この、小学校正門横のフェンスにぶつかって、ようやくタクシーは止まったそうです。
乗客の男性は32歳とのことですが、ドライバーの意識がなくなった後、後部座席からハンドルを操作して、歩道のフェンスにぶつかりながら減速して止まったということでした。
またこの乗客のご両親にも昨晩ご自宅でお話を伺ったのですが報道では「軽傷」となってたのですが、実は、神経を損傷して手術の可能性もあるひどい状況で、いまはまだ松葉杖で生活しているとあって、ご両親は「決して軽傷じゃないですよ」と事故から1日たってもなお気が動転されている様子でした。
★同業のタクシードライバーがこの事故から感じたことは
一方、今回の事故では、運転手の方が意識不明で亡くなったわけですが、同じ浦安で働く同業他社のタクシードライバーはどうみているのでしょうか。
- ●「急に拘束時間とかうるさくなっているので、だから拘束時間10時間でうち2時間半は必ず休憩入れないさいと。やっぱ稼げなくなると無理しちゃうところがある。」
- ●「普段の健康管理か。でもああいうこともあると身近で感じた。」
今回のドライバーが実際どうだったか、というのはまだはっきりしていませんが、やはり無理をしてしまうことがあるので、皆さん身近な問題だと話していました。
さて、タクシードライバーの健康管理は、千葉タクシー協会によると、道路運送法により定められているそうです。具体的には、各タクシー事業者が
①健康診断を、日中のドライバーは年に1回、深夜に運転するドライバーは年に2回実施しなければならない
②常務前に、アルコールなどを点呼でチェックする
などの規定があるそうです。
ただ、今回の事故があったタクシー事業者がこれらをやっていたかどうかについては、きのう直撃したところ「チェックは行っている」とのことでした。
★亡くなったドライバーの同僚の複雑な声
一方、今回事故のあったタクシードライバーと同じ会社のドライバーからは、こんな声が聞こえてきました。
- 同じ会社のドライバー
- 「運転手もピンからキリまでなんです。あいつはこうだから、こいつはこうだからと、個々人のことはわからないですよ。ひとつだけはっきりさせると、都内のタクシーだと30代40代と若い人がいて、そういう人たちが暮らせる稼ぎがあるからやっていける。でも、ここは田舎でしょ。そういう人たちが子供を養うほどの稼ぎはないわけですから。」
同僚の方が亡くなったということもあって、あまりお話しいただけなかったのですが、この方は70代で、キャリアは10年未満の再雇用組の方でしたが、給与面の複雑な心境を語っていました。
では、今回のようにタクシードライバーが意識を失った事態に遭遇した場合、実際に乗っている側は、どうすればいいのか。最後に現役のドライバーに聞いてみました。
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★ドライバーが気を失ったら客はどうすべきか
- ●「ハンドル切ったってしょうがないしな。どっか下に伏せた方が…。」
- ●「後ろに乗っていたら、身を小さく固めて、頭隠してって感じですかね。地震の時みたいに。」
- ●「サイドブレーキを思いっきり引けばとまりますよ。アクセル踏んでもスピードは弱まりますから。」
今回の事故ではハンドルを切って対応しましたが、お話を聞いたドライバーさんの中では、
- 後部座席で身を小さく固める
- サイドブレーキを思いきり引く
など、完璧とはいえませんが、このような対応策が出ていました。
(取材・レポート:田中ひとみ)