日本国内では65歳以上の高齢者の約462万人が認知症で、400万人が認知症予備軍といわれていますが、人間だけでなく、ペットの犬も高齢化が進み、認知症に注意が必要なんです!「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で、レポーター阿部真澄が取材しました。
★高齢犬の2割が認知症?
日本獣医生命科学大学獣医学部 入交真巳さんが、犬の認知症について行った調査で、こんな結果を発表しました。
- 入交真巳さん
- 「昨年の秋ごろから学会の際に、動物病院の先生にアンケートをお願いしました。900名位の飼い主さんから犬の犬種・年齢問わず、今のどのくらいの認知機能があるのか、若い頃から行動がどのくらい変わったかを調べました。すると結果として、アンケートの点数だけですが、認知症かもしれない8歳以上の犬は2割程度、5割程度が低度認知症の可能性があることがわかったのです。」
調査は、「睡眠のリズム」「排泄行動」などの十項目を質問表で飼い主に尋ね、その回答を点数化し分析をしました。すると、人間の年齢でいう50歳にあたる、8歳以上の高齢犬の約2割が認知症の疑いがあることがわかったのです。更に、8歳以上の高齢犬の半数が認知症予備軍の可能性があるという結果も出ました。
★こんな症状が出たら注意!犬の認知症
- 入交真巳さん
- 「たとえば散歩のときにドアが開くほうに行くはずが、ちょうつがいの方に間違って行ったり、家の中や散歩中に迷子になったり、家族のことがわからない、昼夜逆転して夜間俳諧したり夜中に無駄吠えをしたりします。また、トイレトレーニングをしているのに行くのを忘れて粗相をしてしまうような報告があります。」
犬の認知症の症状は人間とほとんど変わらないそうで、放っておくと重症化することもあるそうです。早めの対策が必要です。
★「犬の認知症知っていますか?」飼い主さんの声
街で犬の散歩をしている飼い主さんに、「犬の認知症を知っていますか?」と聞いてみました。
- トイプードル3歳と5歳の飼い主さん
- 「まだ若いので認知症についてあまり考えてないが、専門家などは調べている。でも犬の認知症も分からないですよね、寿命も延びてるし。」
- ビーグル9歳の飼い主さん
- 「なんか記事で読んだ程度。動物の認知症ってどんな症状なんだろう?検査なんかあるのかな?」
- パグ9歳とポメラニアン8歳の飼い主さん
- 「知らなかったです。もう認知症あるかもしれない。おしっこ外したりしてるんで、あるかも。なってたらどうしよう。」
犬の認知症について「聞いたことがある」という人はいましたが、症状については知らない人が多かったです。そんな中、実際に飼い犬の認知症を経験した方にもお話を伺うことができました。
- 「昔の飼い犬がなったから知っている。例えば土を食べちゃったり、同じ所を回ったり。もういい年だったんで15歳の柴犬。もうそうなったら仕方ないんで幸せに過ごさせた。なんで認知症になったかは分からない。気が付いたらなっていた。今飼っている犬は餌に気を付けて運動させている。」
以前飼っていた15歳の柴犬が認知症になってしまったそうで、その経験から今飼っている7歳のマルチーズには、餌や運動に気をつけるなど、高齢に近づくにつれて認知症にならないよう注意をしているそうです。
★犬の認知症を防ぐために気をつけること
高齢になる犬を飼っている人たちにとっては今後も注意が必要な犬の認知症ですが、日本獣医生命科学大学の入交さんは、飼い犬が年をとったと感じたら早めに獣医師に相談して欲しいとのことでした。症状が軽いうちに、脳の老化を防ぐ働きがあるシニア向けの専用ドッグフードを与えることで改善することもあると話していて、更に適度な運動やトレーニングが重要だとこんなアドバイスをしてくれました。
- 入交真巳さん
- 「高齢になると関節の痛みや病気もあるので、可能な限りで運動と頭を使ったトレーニングをして欲しいが、よく巷で言われている犬の上に立たないといけないと言って犬を厳しく躾ける方法は大きな間違いです。獣医学の分野では犬の上に立てと言うのは違うとハッキリ言われている。無理強いを強要するのはストレスになるだけ。飼い主さんには科学的根拠に則ったトレーニングをしてもらって、犬には頭を上手く使わせて欲しい。」
適度なトレーニングは必要ですが、若い犬でも厳しい躾でストレスを与えてしまうのは逆効果です。また、認知症の症状といわれるトイレの粗相は腎臓病や膀胱炎の可能性もあるそうなので、犬の行動がおかしいと思ったら、早めに獣医師に相談して欲しいということでした。
(取材・レポート:阿部真澄)
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