11月も終わりに近づき、お歳暮の季節がやってきました。ところが、今お歳暮に大きな変化がでてきているんです!「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で、レポーター阿部真澄が取材しました。
★お歳暮、今のトレンドは「自分買い」
お歳暮の時期になり、百貨店はお歳暮商戦真っ只中ですが、ここ数年、お歳暮にある変化が起きています。高島屋・ギフト政策担当 原田典昭さんのお話です。
- 原田典昭さん
- 「ここ数年の特徴として、先様に送るに当たって、まずは自分でも食べてみようという自分買い、自分へのお歳暮が増えている。ここ数年5%ずつくらい伸びています。鍋でも4,5人前の大鍋に入れる具材を贈るだけでなく、レンジでチンする簡単な個食なべを、今回品揃えとしては拡充した。お歳暮は贈りあう文化なのでだいたい同等金額を送り合うのが慣習だが、自分で召し上がるということになると、より良いものをということでお財布の紐が緩くなる印象。」
高島屋では、ここ数年5%ずつ、お歳暮を自分用に買う人、いわゆるお歳暮の「自分買い」が増えてきています。今年は鍋の具材を小分けにしたセットや、相手に送るだけでなく自宅でも味わって欲しいと、別冊のカタログも作っています。また、各店舗のギフトセンターやインターネットでもこうした「自分買い」に向けた商品を扱っています。原田さんによると、お歳暮を人に贈るにあたって、自分でも味を確かめてみよう!というのが「自分買い」につながっているのではないかということでした。
一方、他の百貨店でもお歳暮の「自分買い」ニーズに対応した取り組みをしていました。西武の商品部・食品部 清水洋司(ひろし)さんのお話です。
- 清水洋司(ひろし)さん
- 「2,3年前から自分用にというお客様の声が増えて、それに基づいて我々としても自分へのご褒美というギフトを数多く展開するようになった。近年、美容健康を意識する20代~30代のお客様が増えているが、我々としては健康・美容食品として注目されている糀をテーマにお歳暮展開をしているというところ。後は小分けにしてある和洋菓子、一人前用のお鍋の詰め合わせが伸びている。やはり自分用なので少し贅沢をしたい価格帯というところで、4,000~5,000円台の商品がよく出ている。」
そごう・西武では、美容や健康を意識した女性が多いこと、自分で納得した身体に良いものを取り入れたいという若い女性が増えていると分析しました。今年のお中元ギフトではそんな女性を狙って売り出した「はちみつ」の自分買いが目立ったそうで、前年比30パーセント増だったそうです。そこで、今回のお歳暮でも20代~30代の女性をターゲットに「糀」を使った商品を開発するなど、力を入れています。
★お歳暮の「自分買い」どうですか?街の声
各百貨店でお歳暮の「自分買い」にも力を入れていますが、皆さんは「自分買い」をどう思いますか?街で聞いてきました。
- ●「「自分用のお歳暮」聞いたことある。お肉とかスイーツとかテイストして良かったら贈るとか、それはいいですよね。」
- ●「自分にも送ってほしいなというものを買う。5,000円とかしますが、仕事で毎日ストレスとか溜まるので帰って一口甘いものを食べたいなとか。」
- ●「ここ何年来ずっと自分の家に送るものと人に贈るのと分けている。分かれたパンフレットが来る。自宅用毎年買います。カニとか美味しいもの買う。」
- ●「自分へのご褒美だったらいいかなって感じですよね。でも自分で買うにしても、贈るにしても、お歳暮にしなくていいと思う。今はメールとかで繋がっているし、会わない人とかもいない。お世話になったら都度都度で贈り物も出来る。年末にどうこうって感じではない。」
- ●「自分にご褒美的な感じ?だからと言ってあえて百貨店に行こうとは思わない。貰うこともないしあげない。うちはそういう風習がなかったから。」
「自分買い」をしている人のほとんどは、毎年誰かにお歳暮を贈っている人たちで、まずは味見をしてから贈りたいという人、せっかく買うんだからついでに自宅用にもと言う人、自分へのご褒美に買うという人がいました。
★「お歳暮」の習慣が無い若者。百貨店はどう取り込む?
街で話を聞いていると、20代~30代の女性は、お歳暮を贈ったことがないという人や、小さい頃から実家でもお歳暮を贈る習慣が無いという人もいました。また、「今欲しいものはいつでもインターネットで手に入るので、自分買いをするならお歳暮の時期でなくてもできる。」なんていう声も出て来ました。こうした声を、高島屋の原田さんに伝えてみたところ、このように話していました。
- 高島屋 原田典昭さん
- 「お中元お歳暮だけでなくても、クリスマスの好適品もありますし父の日の対応もできる。ギフトセンターをお中元、お歳暮だけでなくて様々なパーソナルギフトを活用していただける場として私たちも提供できればと。お中元、お歳暮以外に力を入れているというのも当然あるが、それ以外のお客様も検討頂ければ。」
原田さんによると、お歳暮の時期は大手のメーカーなどが新商品を出したりして、品揃えも増えるそうで、お歳暮にはもちろん、クリスマスやバレンタインデーなどの「自分買い」など、時期に関わらず今の時代のニーズに対応できるようにし、若い人たちにも百貨店のギフトを買って欲しいということでした。一方、そごう・西武の清水さんに聞いたところ、こんな答えが返ってきました。
- そごう・西武 清水洋司(ひろし)さん
- 「ギフトとしての習慣がありませんので、まず若いお客様にきっかけを作ってほしいなと。まずは買ってもらい、それから先様へ送るギフトとして今後繋げていければ。他にハロウィン、クリスマス、バレンタインという商戦があるが、百貨店商戦とすれば最大商戦のお歳暮ギフトを伸ばしていきたい。ですので、お歳暮の中でも若い女性を取り込んでいきたいと考えている。」
そごう・西武では、まずはお歳暮を買って欲しいということで、今お歳暮の習慣があまりない若い女性をターゲットに新商品を開発するなど、力をいれていきたいと話していました。「自分買い」など変化するお客さんのニーズをどう取り込んでいくのか、取材をしてみて様々な百貨店側の工夫や試みが見えて来ました。
(取材・レポート:阿部真澄)