世界初!切っても涙の出ないタマネギが誕生しました。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で、レポーター阿部真澄が取材しました。
★世界初!涙のでないタマネギが誕生!
今年はタマネギの一大産地北海道に台風が上陸した影響で高値が続きましたが、徐々に値段も落ち着き食卓に上がる機会も増えてきたと思います。タマネギは常温で保存が可能で日持ちもしますし、調理方法も豊富なため主婦の味方ですが、街でタマネギについて主婦の方々に聞いてみたところ、こんな意見が多く出て来ました。
- ●「みじん切りにする時に目に染みる。ゴーグルをすると良いというけれど、実際は痛みに耐えてやる」
- ●「2日に一度か3日に一度は食べる。薄切りする時に涙が出るけどタマネギを冷凍したり電子レンジで温めると良い。両方とも試しました。」
やはりタマネギを切るときに出る涙の話です。我慢して切る方もいれば、いろいろ工夫をして涙を抑えている方もいます。皆さんタマネギ=涙という印象はあると思いますが、そんな常識を覆す世界初のタマネギが開発され、先月末から市場に流通し始めました。開発をしたハウス食品・新規事業開発部 朝倉健吾さんに伺いました。
- 朝倉健吾さん
- 「今回開発したのは、切っても涙が出ないタマネギ。生で食べても辛みをほとんど感じないです。タマネギは元々、丸のまま飲み込むと辛みを感じなくて、包丁で切ったり噛んだりすると辛み成分が発生する。今回のタマネギは辛み成分が止まっていて丸かじり出来てしまう。」
北海道の栗山町で生産されている「スマイルボール」というタマネギです。タマネギを切る際に涙が出たり、辛みを感じるのは、タマネギの中に別々にあるアミノ酸と酵素が反応することで涙の出る成分が発生するからなのですが、今回のスマイルボールは品種改良を重ねてその成分を抑えることに成功しました。なので切っても涙の出る成分も出ないですし、辛みもありません。実際にスタジオで切ってみましたが、鼻にツーンとくる辛みもなく、涙も出ませんでした!

「スマイルボール」(ハウス食品ホームページ引用)
★ハウス食品がタマネギを開発したわけとは?
世界初の「涙のでないタマネギ」をハウス食品が開発したのには、食品会社ならではのきっかけがありました。
- ハウス食品 朝倉さん
- 「元々は辛みのないタマネギを作りたかった訳ではなく、レトルトカレーやルーカレーを作る過程でタマネギを炒めたモノをベースにする。過熱をするとキツネ色になるが、当時、緑色に変わってしまう事があり廃棄しなければいけなかった。なぜ緑色に変わるのかを調べていくと、辛みや涙が出る仕組みが分かった。その仕組みが分かったので、この世にないタマネギにチャレンジしようとスタートした。」
もともとは、タマネギの変色防止策を探る目的で1993年から研究をスタートしたそうで、その過程で2002年に涙が出る成分を突き止めて、イギリス科学誌ネイチャーにも掲載されました。その後、2005年頃から開発を本格化して、当初の研究から20年以上経って完成したのです。徐々に生産量を増やして、今年初めて東京でも一部の百貨店や専門店で、数量限定で順次販売を開始しています。
★新しいタマネギの食文化が誕生!?「スマイルボール」の今後の展望
まだまだ生産量が少なく、取り扱い店舗も少ない上に、値段も1個(中)200円程と他のタマネギと比べると割高なのですが、ハウス食品の朝倉さんは、今後の展望について、こんな想いを聞かせてくれました。
- ハウス食品 朝倉さん
- 「本当にまだまだ収穫量が10トンそこそこで非常に少ない。目標としては3年後には千トン規模を作りたい。まだまだエリアも数量も少ない状況なので、確実に栽培規模を増やして新しいタマネギの食文化を作っていきたいと、少し大それた考えを持っている。収量の増加と共に、価格についても下がっていけるのではないかと思っている。」
今後は協力してくれる生産農家さんを増やして、流通量や価格を安定させたいということでした。このタマネギが広まれば、主婦の味方のタマネギが、更に強い味方になりそうですね。
(取材・レポート:阿部真澄)
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