ノーベル文学賞の発表から沈黙を続けていたボブ・ディランさんが、『大変光栄に思う』と、受賞の意向を示し、やっと沈黙を破りました。発表からおよそ2週間後に、選考するスウェーデン・アカデミーから発表されましたが、その間、選考のメンバーから『無礼かつ傲慢』との批判さえ出ました。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」!!本日11月4日(金)はレポーター近堂かおりが『ようやく沈黙を破ったボブ・ディランさん』をテーマに街でお話を伺いました!
金曜日恒例のサラリーマンの声。ようやく沈黙を破ったボブ・ディランさんについて聞いてきました。
★ボブ・ディランらしいよ!
- ●「迷ってたんじゃないの?欲しくなかったと思うよ。だって反戦歌ばっかり歌っててノーベルのそのものっていうかダイナマイトじゃない。複雑な心境だと思うよ。」
- ●「ボブ・ディランって昔からそういう性格だったから大丈夫。彼は彼なりに感動してると思う。それをどうやって表現するか色々と考える人だから。」
- ●「もともとボブ・ディランが獲ること自体がビックリって感じだったから、自分でも困惑してるんじゃないですか。」
- ●「あの人のキャラクターでね、本人も戸惑ったん違います?すぐの反応として、フランスの新聞に”ボブ・ディランは好きだけども、ノーベル賞委員会は本当の文学者をバカにしてる”というのが翌日くらいの新聞に出てた。そういう様子を見てんじゃない。」
- ●「戸惑ってたんじゃないの?自分、貰っていいのかな?とか思ったんじゃないの?無礼だって言われてたじゃないですか。でも無礼っていうのも、あの人傲慢だなって思った、選んだ方がね。勝手に選んどいて、出てこんから無礼だなっておかしくない?」
彼も戸惑っていたんだよ、という声と、ボブ・ディランらしい、という声が多かったです。
★もっと素直に喜んでよ!
- ●「もう少し素直に受けたらいいのになって。結局は受賞したんでしょ?もったいぶって。もっと早くに出すべきだったんじゃないかな。もう少し素直に、人間素直が大事。」
- ●「個人的には文学賞というのは、歴史があるものだから、その道の人に絞ってほしかったというのが率直な意見。ですから異例の中で選ばられたってことは素晴らしいことだから、それに関しては敬意を払って即返事を出してしかるべき。言い方変えれば、ちょっとすっとぼけている。無礼であるってことを申し上げたい。」
- ●「鈍いと思う、鈍い。芸術家だからそういう考えかもしれないけど、もっと素直になるべき、僕はそう思う。失礼だよ。やっぱりもっと素直に、喜ぶべきものは喜んでもらいたいというのが本当のことだと思う。」
ボブ・ディランさんも待ち望んでいたわけではないというところもあるのかもしれませんが、ちょっと反応が鈍すぎたようです。しかし、素直なボブ・ディランさん・・・っていうのもちょっと違う気もしますが・・・(笑)
★そもそも拒否してほしかった!!
- 「ムズカシイとこだな。ただ、僕としてはやっぱり拒否してほしかった。僕らそういう対象で見てたから。学生運動の頃とか私たちは励まされてやってきたから、私は期待していた、拒否してくれるんじゃないかと思って。彼の歌というのは末端の苦しい人たちとか労働者の歌で、そういう上からの賞とかはいらない!って言ってくれることを期待した。ちょっと、まあ、ガッカリだけど、あの年まで頑張ったんだから、しょうがないかってそういう感じ。聞いたよ、そりゃ。俺の青春だよ。だって全学連とかやってて機動隊に殴られて一人で帰ってきた時しみじみ聞いたりしてさ、そういう感じだった。でも、彼が貰ったんだから、それなりに考えて、色んな状況とか考えて貰ったんだろうから、まず、おめでとうございます、それで締めるわ。」
ボブ・ディランの大ファンである、このお父さんは、ノーベル賞なんていらない!って言ってほしかったんですね。ネット上にも『拒否してくれたら格好よかったのに!』というファンの声が上がっていました。ファンの気持ちはなかなか複雑ですね。
★ボブ・ディランらしく言葉を大切にしてほしかった!
- 「曲の中身は良いですよね、非常に。非常に憧れるものもあるし、なるほどなって思うこともあるんです。でも、やはりノーベル賞というのは世界的にも評価の高いものだから、私がもし選考委員だったら、(無反応なら)貰わなくていいよ、と僕はそう言いたい。ノーベル賞に値することは曲の中にあるかもわからないけど人間的にはハッキリ言ってイヤです。何様だと思ってると言いたくなります。その歌詞を聞いて励みになった人たちのためにも、僕も嬉しいよと伝えるべきだった。私はあの人の歌詞をその声を聴いて励まされたから、ボブ・ディランが嬉しいなら当然貰ってもイイよなって、こういう風に思うのが、何様だになっちゃえば、あの人の書いた歌詞は偽物かと言う風なとられ方になるんじゃないかと思う。やっぱり言葉を大切にしてもらいたいと思う。」
やはり、歌詞で言葉で思いを伝えてきた人だからこそ、言葉を大切にしてもらいたかったのです。ファンならではの辛辣なご意見。でもその気持ちは分かります。私も、ボブ・ディランさんならではの言い回しの反応が聞きたいなと思ってしまいました。なにかと注目の集まったアカデミー文学賞。表彰式は12月10日です。
(取材・レポート:近堂かおり)