Quantcast
Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1321

「産後うつ」国が予防へ。必要な産後ケアのヒントは「和光市」に

$
0
0

森本毅郎・スタンバイ!ロゴ

★国も対策に乗り出した、「産後うつ」

出産を終えた母親が精神的に不安定になる「産後うつ」について、「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で田中ひとみが取材しました。

「産後うつ」は、児童虐待などにもつながるともいわれていて、その早期発見のため、厚生労働省は来年度予算要求に、産後検診の助成金として7億円を盛り込みました。国よりもいち早く産後ケアに力を入れてきたのが、埼玉県和光市。

まずは、そもそも産後うつとはどういった症状なのか。和光市のお母さん達に体験談を聞きました。

★訳もなく涙が…産後うつの辛さ

「何も別に無いのになんとなく涙が出て来てしまったりとか、なんとなく気分が落ち込んで理由も無いのになんでだろう。せっかく子供産んで幸せなはずなのにって自分を責めてみたりとか、結構怖い状態だと思いますね。今3か月でやっと落ち着いてきた。」
「全然寝ないし、何で泣いてるのかもわからないし、もうなんなの、みたいな。自分の子供なのに可愛いと思えなかったり、わーってなって布団に何この子って投げちゃって、私もちょっと寝室で俯きながらっていうのありましたね。 」
出産後はホルモンバランスが急激に変化するため、うつ状態になりやすいそうです。最近は特に高齢出産も増えていますが、そうなるとより体の負担も大きくなります。

また、子育ての環境も要因の一つで、核家族化で、おじいちゃんおばあちゃんが遠くに住んでいて、旦那さんも日中は働いているとなると、お母さん一人で世話をしなければならずストレスをためやすくなります。産後うつがひどくなると、何もする気が起きず育児放棄をしてしまうケースや、赤ちゃんに暴力を振るう、児童虐待につながる恐れもあります。産後うつが原因と思われる自殺も、過去10年間に都内だけで63人いたという調査結果もあります。

では、産後のケアに力を入れている和光市は具体的にどんな取り組みをしているのか?「わこう助産院」の院長、伊東優子さんに聞きました。

★産後ショートステイからアロマ教室まで。産後にも手厚い助産院

わこう助産院 院長 伊東優子さん
「産後ショートステイで宿泊できるんです。病院では獲得できなかった育児スキルや対応などをゆっくり個別でサポートする。母乳の相談ももちろんできますし、ベビーマッサージの教室とか、アロマのクラス、継続的にたくさんの人が教室に来たり、ここで産む産まない関係なく、いろんな人が出入りできて、常に医療スタッフがいて、何かちょっとした悩みを相談できるっていう環境にあります。」

助産院なのでそこでお産ができるのはもちろん、別の病院で出産した人も、1日2万5千円で宿泊できます。出産後の体を養生しつつ、育児の方法を学ぶ目的で利用するようです。

森本毅郎スタンバイ!

埼玉県和光市にある「わこう助産院」

また、定期的に開かれる教室が20種類ほどあり、例えば、赤ちゃんと参加できるヨガやストレッチ、骨盤のエクササイズ、離乳食の教室などがあります。そこでママ友が出来て、子育ての悩みを共有できることが、ストレス解消に役立っているという声もありました。

森本毅郎スタンバイ!

「わこう助産院」に通うお母さんと娘さん。これからヨガの時間です。

森本毅郎スタンバイ!

アロマの教室に通うお母さんと息子さん。

では、国が始めようとしている、産後うつ対策。これが始まることで、全国的に産後うつが減るのかどうか?今回国が検討しているのが、産後二週間と一か月の検診にそれぞれ、5千円を上限とする助成金を出すということなんですが、この案について、お母さん達に率直な感想を聞いてみました。

★母親たちは、国の助成に賛否両論

「助成金は助かります。しんどくても助成金あるから行かなきゃって、心が沈んでる方も行くきっかけになると思うので、先生、看護師さんと検診だけじゃないお話もできて心が少しほぐれたり、産後うつから抜けるきっかけになると思います。」
「大きい所だと一か月検診しかないので、それまではおっぱいがつまるとどこに行ったらいいのか探し始めなきゃいけない。そういう検診があるといいなど思います。」
「助成金はまず一歩でいいと思うんですけど、検診だけじゃないですよね、やってほしいのって。託児をもっと気軽に利用できるような環境があるといいなと。」

出産前に受ける検診は助成が出ていたのに、出産後になるとなぜ自費なのか元々疑問に思っていたという意見。また産後一か月の検診はかなり浸透していますが、本当は産後2週間の方が、精神的に不安定になるお母さんが多いという調査結果もあり、実際2週間検診の支援に期待する声も複数ありました。

一方、検診以外も支援してほしいという意見もありました。では、国の案について専門家の意見はどうでしょうか?東邦大学・看護学部教授・福島富士子さんに聞きました。

★検診だけでなく受け皿にも助成を

東邦大学看護学部 教授 福島富士子さん
「産後検診をするんだったらその後のフォロー体制を同時にしっかり仕組みを作っておかないと、「この人は産後のうつ症状が強い」となった後フォローしてくれるのが家族になってしまうのであれば困ること。産婦人科・精神科・小児科・生活支援をしていける人々。みんなで地域の中で支える仕組みを作らないと、この仕組みはうまく進んでいかない可能性もある。ここにも助成金がついていくことが大事。」

検診をしても、その後の受け皿が整っている所が全国的に数えるほどしか無いそう。受け皿が整っている和光市の場合は、産後のお母さん向けの多様なサービスを出産前の段階から紹介し、産後まで切れ目のない支援を目指しています。

TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」は月〜金6:30-8:30放送中。
AM954kHz、FM90.5MHz。
パソコンやスマートフォンでは「 radiko 」でもお聞きいただけます!
番組へのメール、ニュースへのご意見メール→ stand-by@tbs.co.jp


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1321

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>