最近、様々な分野で活躍するAIですが、さらに進化して、今、小売業界で新たな取り組みが始まっています。それは「AIカメラ」を使った取り組みです。6月16日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
どんな取り組みなのか?詳しいお話しをイオンリテール株式会社のシステム計画本部、執行役員の山本実さんに伺いました。
★「AIカメラ」
- イオンリテール株式会社 システム計画本部 執行役員 山本実さん
- 「現在、有明ガーデンとですね、川口のですねイオンスタイルと今2店舗で展開中です。店内のですね、カメラを使って、お客様のですね、入店から退店までの動きを捉えて、そこでお客様がどのような行動をとっているのかということをですね解析をして、それを分析した結果、最も良い商品のレイアウトであったりですね、品ぞろえをですね、提供したり、お客様の属性ですよね、年齢であったりしてですあったりというところをですね、カウントをして、お酒といったですね、未成年に販売できないの商品に対してですね、リアルタイムで防止をしたりといったようなところをですね、使っています。」
もともとは防犯などの為に導入していた「安全カメラ」とAIを組み合わせた「AIカメラ」で、有明ガーデンと川口のイオンスタイル2店舗では、そのカメラの映像からお客様の動きなどをリアルタイムで分析。レイアウト、品揃えなどの効率化の活用しています。
さらに、個人情報は取らないものの、歩き方や、顔の特徴から、性別や年齢を85%〜90%の確率で分析。未成年にお酒を売らない、など役立てているそうです。
念頭にあったのは、アマゾンなどのネットショップ。ネットショップでは、「お客様がそのサイトに入ってから、商品を見比べて、選んで、カートに入れて、購入手続きをするまで」という私たちの行動全てがデータ化されています。どこに表示した商品が見られたか、見比べてどちらが選ばれたか、カゴに入れたけど結局元に戻したなんてことまでデータ化できて、分析して売り上げを伸ばすことができる。これと同じことをリアル店舗で実現した形。
小売業界では今まで経験や勘に頼っていましたが、AIカメラで効率的になったそうです。今後順次に全国約80店舗で展開してく予定だそうです。
続いては、パッケージのデザインまでAIに相談!?画期的なシステムを開発した株式会社プラグ代表取締役の小川亮さんのお話しです。
★デザインもAIに相談
- 株式会社プラグ代表取締役 小川亮さん
- 「当社の「パッケージデザインAI」は、ウェブ上にパッケージデザインを載せると5秒〜10秒位の間で、そのデザインが何点ぐらい取れるのか、どんなイメージを持たれるのか、そういったことがわかるAIです。例えば20代の女性だったらどんなふうに評価するかな、50代の男性だったらどんなふうに評価するかなということを予測するという仕組みです。例えばですね、デザインのリニューアルをカルビーさんがこのAIを使ったんですけど、売り上げが1・3倍になったという実績が出ています。」
ウェブ上にパッケージのデザインの画像を載せると、AIが5段階で評価してくれる。どんな年代に受けるのか、どんな印象を持たれるかなども分析してくれます。利用料金は、1画像あたり1万5千円の単発利用と、1カ月70万円の使い放題プランの2つから選べる。
こちらの会社はデザイン会社とリサーチ会社が合併して出来た会社。なのでデザインの調査に強く、そのデータをAIに学ばせた。
肝はそのデータ。ネット上で消費者に、およそ8000商品のデザインを5段階で評価してもらい、なぜ好きだったかも記入してもらって、その中の「美味しそう」などのキーワードを拾う。シンプルだけど、このデータをおよそ800万人分集めて学習させたため、精度が高く、実際に導入している企業で、パッケージを変えただけで売り上げが1・3倍になったと言う結果も出ています。
こう聞くと、このAIのデザイン評価だけで売り上げが伸びたように思えますが、実際には、デザインとは別の部分も大きいそうです。
★時間を短縮
- 株式会社プラグ代表取締役 小川亮さん
- 「これが一番役に立ってるのは時間なんですね。商品開発っていうのは時間との戦いなので、実際に人を集めて調査するのに比べ、10秒で結果が出る、そして次に行けるっていうのは非常に大事なことです。というのは、今すごく人の気分とか心ってタイムリーに変わってますよね。なので時代にいかに合わせてスピーディーに商品開発をしていくかっていうのは、このデジタル化の中でも重要視されてるんです。」
パッケージをデザインする時間が短縮出来ると、他の事にも時間が割けるので、結果、商品自体を突き詰めて、お客さんに好まれるものが開発が出来ると。今後は、データを更に蓄積し、精度を上げていきたいそうです。