突然ですが、みなさん、最近、いつ手書きで文章を書きましたか?新型コロナの対策では、リモートワーク、リモート会議など、デジタル技術がどんどん広がっていますが、一方で、アナログな手書きの魅力が見直されているという動きもあります。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日5月3日(月)は、『手帳類図書室から改めて聞く、手書きの力!』。というテーマで取材しました。
★他人の手帳を読む!手帳類図書室!
その1つが、東京都渋谷区にある「手帳類図書室」。オーナーで、手帳類コレクターの志良堂正史さんのお話です。
- 志良堂正史さん
- 「人々が書いた手帳を読むことができる図書室になっています。基本的には、一般の人々が誰にも見せない前提で書いた記録。良くも悪くも赤裸々だし、無意識な記録が結構多くて、もうものすごく腹が立ったとか、ものすごく嬉しかったとか、そういった生の感情が、記録からは訴えてくるものがありますね。ある日はすごく丁寧に綺麗な字で書いてあるし、ある日はとても荒れた字で書かれているとか、一部分だけがものすごい筆圧で書かれていたり、大きく書かれていたりとか、他のを塗りつぶしてるとか、いろんな、その手で書かれているならではの、情報量がかなりの迫力がありますね、やはり。たぶん文字が読めなくても、なんかこの時は怒っているな、とかっていうのが分かるんですよね、手書きだと。それが面白いところかな、と思っています。」
手帳と言っても、日記のようにその日にあったことを少し書く方も多く、就職活動の葛藤や、恋愛、仕事、部活などの記録を読めるという図書室です。手帳に関心を持った志良堂さんが、手帳の図書室を思いつき、公開できる手帳の寄付をネットで呼びかけたところ、千冊以上集まり、ここでは300冊ほど、閲覧できるそうで訪れる人が多い。プライバシー保護のため、貸し出しや撮影は禁止。また元の持ち主から依頼があれば、閲覧をやめるなど対策もしています。
★最初は恐る恐るページをめくりますが・・・
思わず自分の手帳を見返してみました・・・。これを他の人が見ても退屈じゃないかな?と思いますが、実際に図書室を訪れたお客さんたちは、他人の手帳に触れてどんな様子なのか、「手帳類図書室」のスタッフ、松岡詩美さんに伺いました。
- 松岡詩美さん
- 「最初はこう恐る恐るめくっていくような感じなんですけれど、だんだん書かれていることに集中して、どんどんのめり込んで、結構こう、ぼんやりされるというか、ドアにバンってぶつかってしまう方もいらっしゃったりとか、ドアがあるって気づきませんでした、って言ってドアを開けて、フラフラと帰って行かれるので、大丈夫かな、と心配になってしまうときもあるんですけれど、黙々と集中して読まれている方が多いかなと思います。そうですね、もう間違いなくすごく色んなものが、おそらく書いているご本人も気づいていない感覚や感情みたいなものも乗っかっていて、ほんとにダイレクトに入って来ることで、ちょっと頭が痛くなっちゃう、ということが起こっても、全然不思議ではないかな、と思いますね。同じような文章がブログとかツイッターに載っているのを読んだとしても、そこまでの圧倒される感じっていうのは、もしかすると得られないかもしれないですね。」
他人の秘密をちょっと覗いてみたい、という興味で訪れる人も多いとか。手帳を渡すと、わ~ホントに読んでいいんですか?と、みなさん盛り上がるそう。しかし、いつの間にか、没頭し黙々と読み進めていく。編集された活字を読むのとは別物で、その人の感情にどっぷり浸かる、という感じだそう。読み終わってフラフラになったり、頭痛がしたり、気持ち悪くなったり、など、当たってしまう人もいるとか。手書きの文字には、我々が思う以上に自分の感情が乗っているんですね。
★いい気分転換、いい避難所になるかも!?
そうしたことから、この手書きの力を活かしてみるのもいいのではと、志良堂さんは話していました。
- 志良堂正史さん
- 「書きながら考えるとか、書きながら自分を整理するとか、そういったことは書くっていうことに備わっている力かな、と思っています。あくまで見せない前提で書くってなったときに、よりリラックスした状態だったりとか、より自分の内面に向き合って、とか、っていう風な姿勢で書くことができる可能性が高い、ということで、手で書いてみるっていうのは一つの手段かな、とは思います。本人の無意識までもが記録できてしまうのが、文具と紙を使った面白さかな、とは思います。やはりちょっと現代は、なかなか繋がり過ぎているという要素があると思うので、一回そういったものからは切断して、自分とその記録に向き合ってみる、っていうのは、良いリセットというか、気分転換というか、いい避難所になるかもしれないな、とは思いますね。」
コロナ禍で、知らず知らずのうちに、溜まっている感情ってありますよね。どこにもぶつけられない感情を、手書きで書く。つながりすぎている時代に、周りと切断して自分と向き合うと、リセットになり、気持ちの避難所になるのでは、ということでした。誰にも繋がらないから、いいね!は付かないですが、いい時間の使い方になりそうですよね!
ちなみに、こちらの「手帳類図書室」は、緊急事態宣言中はお休みですが、また営業再開する予定ということでした。詳しくは、手帳類図書室のホームページをご覧ください。