忙しい朝でもニュースがわかる「森本毅郎・スタンバイ!」
(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)
7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」。本日3月23日(水曜)はレポーター近堂かおりが『立ち食いそばの進化形は駅そば??』をテーマに取材しました!
ちょうど今ラジオを聴きながら食べている方もいるかもしれません。今日は駅の中やコンコースにある「立ち食いそば」のお話です。去年末、立川駅のホームにあった立ち食いそばが閉店しました。さらに1月には荻窪駅。老舗の立ち食いそば屋さんが惜しまれながら暖簾をおろしています。
★みんな大好き立ち食いそば店って、いまどうなってるの!?
「立ち食いそば」の現状はきびしいのでしょうか。48年続く老舗の立ち食いそば屋・JR我孫子駅にある弥生軒の社長・植崎 和基さんにお聞きしました。
- 植崎 和基さん
- けっこう頑固に昔ながらの味を保ってますし製法もまるっきり一緒なので、遠方から見えて、新潟から来たとか青森から来たんだよというお客様がいらっしゃる食べてみたかったんだと言ってもらえてうれしい限りです。で今、個人でやってるのは関東でも珍しいという話です。最近はおいしい食材ってコンビニでも随分ありますもんね。駅前に牛丼屋
さんありますけど安いんですよ。そういうことでお辞めになる業者さんもたくさんいるみたいです。あとは、うちはボクで3代目ですけど代が変わるとか、跡取りがいないとやっぱり厳しいですよね。
高齢化による跡継ぎ問題も深刻な上、コンビニとか牛丼屋がライバルとなって「はやい、やすい、うまい!」の世界も厳しいんですね。JR我孫子駅は常磐線と成田線の乗り換え駅なので乗降客も多く、乗り換えの間にサッとそばを食べる人が多いんです。(私も食べて来ました!すごく混んでた!)特に人気なのは、ものすごく大きなからあげが乗った「から揚げそば」(400円)。おいしかった!!
さらに戦時中は(当時は駅弁屋さん)画家の山下清さんも働いていたということも相まって、遠方からファンが食べに来るというのも好条件。
ただ、どこの立ち食いそば屋さんも絶好調とはもちろん言えず、40年~50年で跡取り問題など色々な条件が重なって店を閉めてしまうところがでてきてしまっているんです。そうなると、立ち食いそば屋さんは、どんどん減っていってしまうのでしょうか。そんな中、新しい試みが広がっています。
★日本人の”ソウルフード”を”ブラッシュアップ”!!
JR東日本管内で「立ち食いそば店」の運営をしている日本レストランエンタプライズ、飲食店営業部の棚谷智行さんに伺いました。
- 棚谷智行さん
- 元々はひとつのお店、我々のお店としてやっていたんですが、駅の中で他社さんが運営していたお店を当社が買い取って運営をする。新しいお店を目指して開発をしています。それこそ日本のソウルフードみたいなところがありますので、これがなくなるということは考えていない。どれだけブラッシュアップ(=より良く)していけるかというのが今後の課題、挑戦をしてる最中です。首都圏を中心に現在145店舗運営しています。
実は駅のそば屋さんの数自体は、あまり変わっていないといいます。というのも、運営だけ変わって営業する、屋号を引き継いで営業する、という形もあるということで、数は大きく減らないですんでいるんです。日本レストランエンタプライズでは新年度中にも2店舗増やす予定ということですが、さらに・・・!
★立って食べる姿を見られるのがイヤなんです!!
そして、運営が変わるとともに、立ち食いそば自体のイメージも変えてしまおうという試みも同時に行われているのです。再び棚谷さんのお話です。
- 棚谷智行さん
- 駅の中は昔に比べると女性の社会進出もあって増えてきている。それに合わせて立ち食いというのを無くそうことから始まって、いま我々「駅そば」と呼んでます、昔は立ち食いそばと言ってたと思うんですが。実際ヒアリングした中でも、「立って食べる姿を見られるのが嫌だ」というのが一番のご意見だったので、置けるのであれば席を用意しようと取り組んでいます。なおかつ、平棚ですと、女性の口の大きいカバンをお持ちの方が多いので、斜めに入れて中身が出ないというような工夫をしているのが現状です。
確かに「立ち食いそば」と聞くと男性のイメージですよね!街でお話しを聞いたときも、「いい香りだから入りたいと思うんだけどなかなか入りにくいのよ~」という女性多かったです。私も通勤バッグが大きいので、バックの置き場所がないと周りのお客さんに迷惑かな~とつい躊躇していました!バッグ置いて食べたいけどそのスペースがない!などの女性側の意見をどんどん取り入れているそうです。他にも・・・
- 誰でも座りやすいようにイスを3段階調節できるように
- 暖簾が頭(髪の毛)に当たらない様に短く
- 外から食べている様子を見られないようにガラスを変える
・・・などなど。女性のお客さんも入りやすいお店にしたい。と細かい工夫をたくさんしているのです。(先ほどの我孫子駅弥生軒もこれからは女性のために。と同じことをおっしゃっていました。)
「立ち食いそば」の時代はもう終わり、女性も入りやすい「駅そば」に変わってきている。んです!
女性の心がつかめれば、強いですよね!また、同じお店が増えれば、コストカットも可能だし、ハンバーガーや牛丼のチェーン店のように、どこでも同じ味を食べられる安心感!で時代の流れにも合うし、ライバル外食産業とも戦えそうですよね!!
★7つの海ならぬ7つのつゆ!
ところが・・・駅そばはなかなかに難しい食べ物だったのです!再び棚谷さんのお話。
- 棚谷智行さん
- 元々うちのブランドとしてやっていたので当然ひとつの味でやっていて、特に「つゆ」に対しての色々なご意見をいただいて、子供の頃から食べなれた味がなくなってしまうのは悲しいねという意見がありまして、古くから駅中で運営している駅そば屋にはその地域の味みたいなものがありまして、そういうものを生かしつつ首都圏の中でもさらに細分化して「7つのつゆ」を使い分けて展開している。
以前は首都圏で同じチェーン店を展開していたんですが「全部同じ味じゃ駅そばじゃない」という意見が来てしまった!!そこで、老舗の味を参考にして、地域によってつゆの味を変えている最中。さらに、「急いで食べたいのにつゆが熱すぎるのでぬるくして下さい」「ホームは一分一秒を争うので、立ち食いのままでどんどん入れ替われるようにしておいてほしい」などさまざまな駅そばならではの意見も来ていて、日本人のソウルフード駅そばを変えるのは一筋縄じゃいかないんです。駅そば、深いですね~。
(取材・レポート:近堂かおり)
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