今週末にも一都三県で緊急事態宣言の発令が検討されています。学校に対する休校は求めない方針とのことですが、これからの時期に修学旅行を予定していた学校については、実施はなかなか難しいかもしれません。そんなコロナ禍でもなんとか修学旅行ができないか?今年度は様々な工夫で修学旅行も様変わりしています。
TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で中村友美ディレクターが取材報告しました。
★銚子市の小中学生が銚子市内を旅行!?
まずは千葉県銚子市。既に市内全ての小中学校で修学旅行が中止となりましたが、その代わりに行った新しい試みとは?
- 銚子市教育委員会の宇野聡さん
- 「銚子市では、児童生徒がふるさと銚子について学ぶ「ふるさと学習」を展開しています。そのふるさと学習の一環として、さらには修学旅行が中止となってしまった児童生徒の思い出作りとして、代替行事を企画しました。児童生徒が巡ったのは犬吠埼周辺や、貴重な地層を見学できる屛風ヶ浦。銚子電鉄を題材とした映画「電車を止めるな!」の視聴。地元のお寺での写経や手焼きせんべいの体験を行った学校もあります。なお小中学校すべてが日帰りでの実施となりました」
例年であれば小学生は鎌倉や箱根方面、中学生は会津方面などに行きますが、今年度は修学「旅行」を中止とする代わりに地元・銚子市内の観光名所などを巡る日帰り学習をほぼ全校で実施しました。この代替行事には、学生達に銚子の良さを再発見してもらいたいという狙い、また新型コロナで打撃を受けた銚子市の観光事業を元気付けたいという思いで企画されました。
★「空飛ぶ学び舎」でパイロットの仕事を体験
続いて、航空機チャーターの専門企業が新たに始めた取り組みとは?
- 株式会社JMRS・荻堂秀さん
- 「『空飛ぶ学び舎』。周遊チャーター機を活用した、フライトの中での学びの場に焦点を当てた企画。成田空港発着の周遊フライトになり、機内の中では現役のパイロットの方を外部からお呼びして離発着時の実況中継をしたり、学生は機内アナウンスの体験も行える。実際に参加した学生からは『パイロットの仕事の流れやCAが心がけていることなど、普段聞けないお話を景色を楽しみながら学べた。印象に残っていい体験だった』というお話を伺いました。」
所要時間90分のフライトの中で、富士山や御嶽山の上を周遊して景色を楽しみつつ、生徒たちがパイロットやCAのお仕事について学べるのが「空飛ぶ学び舎」。感染対策について荻堂さんは、飛行機内で5分毎に外と中の空気が入れ替わる仕組みになっているほか、チャーター便なので不特定多数との接触が避けられる点を挙げていました。教室の空間が空を飛ぶ、そんなイメージです。今は新型コロナ収束の見通しが立たない中、既に来年度の実施に向けた動きもあるようです。
★沖縄の平和学習をオンラインで
最後に、修学旅行の行き先の定番「沖縄」。キャンセルが相次ぐ中、新たな形の平和学習がスタ―トしました。沖縄で平和学習に携わる6団体合同の「沖縄ピースリンクプロジェクト」を立ち上げた、北上田源さんのお話です。
- 沖縄平和ネットワーク事務局長・北上田 源さん
- 「今まで私たちは生徒さんが現場に来てもらって、顔を合わせて沖縄戦のことを伝えるという活動をしていたんですけども、沖縄に来れなくなっても平和学習をしてほしい、沖縄からの声を届けたいということで、オンラインで平和学習ができるように「沖縄ピースリンクプロジェクト」を始めました。従来であればガイドの方が一方的に喋ることが多くなってしまうが、生徒さんたちは教室にいるので、教室から生徒さんたちが調べたことを発表してもらう。それに対して私たちがコメントすると双方向型の取り組みも出来ていますし、体験者の方の表情までしっかり見える。オンラインだからこそこそで出来ているかなと思いますね。」
沖縄の戦争体験者がパソコンの前で、教室にいる生徒たちに向けて体験を語る。または平和ガイドの方がタブレットを持って、生徒達が訪れる予定だった戦跡を映しながら案内しています。例年であれば平和ガイドの依頼は950校ほどあったのが、900校がキャンセル、その代替策としてのオンライン平和学習は現時点で約15回の実施。まだ少ないけれど、北上田さんは「(オンライン化で)目に見えて生徒さん達とつながっている感覚が分かる」と手ごたえを感じているようです。