★東京五輪サーフィン誘致をめぐり千葉県内が分裂!
まもなくリオデジャネイロオリンピックが開幕しますが、今日は4年後の東京五輪のお話です。今追加競技として提案されている5競技(野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン)が採用されるかどうか、日本時間の4日未明、正式に決まります。今日は、そのうちの1つ、サーフィンの誘致合戦を巡る千葉県の動きについて、「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で田中ひとみが取材しました。
★「一宮町」「鴨川市」それぞれの主張
実はサーフィンは、追加競技の決定を待たずして会場誘致合戦が行われていて、特に千葉県では、候補が乱立している状態だということです。一宮町まちづくり推進課の山口裕之さん、そして鴨川市教育委員会スポーツ振興課・鈴木圭一郎さんに、お話を伺いました。
- 一宮町まちづくり推進課の山口裕之さん
- 「一宮町は隣のいすみ市と一緒に会場誘致の活動に取り組んでまいりました。昔から波乗り道場と言われていて、ここを本拠地にして世界に羽ばたくような選手がたくさん生まれてます。つい最近も海外の選手が150人以上来るような大きな国際大会も開かれて、そういった実績もございます。」
- 鴨川市教育委員会スポーツ振興課・鈴木圭一郎さん
- 「鴨川市は、近隣の館山市、南房総市、鋸南町の4つの自治体。これらが連携して合同で国に要望書を提出するなどしております。国内屈指の医療機関も立地しており、医療面でのサポート体制や、観光地であるため宿泊施設も充実していることがアピールポイントとして挙げられます。」
実は去年11月に、千葉県内の16自治体が共同で県知事に要望書を提出しているのですが、その後今年に入ると「一宮町といすみ市」、「鴨川など安房地域の4自治体」が、それぞれ別々に遠藤五輪担当大臣に要望を伝えに行くなど、足並みがそろっていないようなんです。
そんな中、「一宮町」と「鴨川市」の間に位置する「勝浦市」は、他とは違うスタンスをとっています。勝浦で誘致活動をしているサーフショップ経営者、高梨三千尋さんのお話です。
★「勝浦市」は“チーム外房”で千葉全体を盛り上げたい!
- サーフショップ経営者、高梨三千尋さん
- 「勝浦のスタンスとしては外房という1つのチームとして、動いていきたいという思いがあって、いち特定の場所でもいいのかもしれませんけど、「外房」という指定がもらえれば外房全体が盛り上がるし、オーストラリアでいえばゴールドコーストというサーフィンで有名な海岸線がありますけど、そういった形で全体的に指定をされると経済的な効果もより大きくなると思うので、ピンポイントよりは。」
高梨さんは、「チーム外房」を掲げ、一宮・勝浦・鴨川と縦に並ぶ外房全体で誘致活動を行おうと訴えているんです。「外房の海へオリンピックのレガシーを」という名前の事務局を立ち上げ、そのホームページに一宮町と鴨川市のPR動画を一緒に載せたり、またそれらの自治体に直接会いに行くなど連携をとろうとしています。

勝浦市は外房全体でサーフィンを誘致したい!
高梨さん達のこの“チーム外房”構想は、単に外房全体を盛り上げたいというだけでなく、サーフィンならではの特性をふまえた利点があるといいます。
★チーム外房のメリットは、その日の波のいい場所を選べる!
- サーフショップ経営者、高梨三千尋さん
- 「サーフィンという競技の特性上、その日によって波の状況が変わってきますので、一番ベストの状態の波でサーフィンを選手たちにしていただきたい。一宮がコンディションがいい時もあれば、鴨川がいい時もある。地域全体でそういった形で一番ベストのコンディションで競技をやっていただくのが望み。過去、勝浦がメイン会場で、同じ市内でもちょっと離れている車で10分くらいの所に移動して実際に過去やってますね。」
実はサーフィンの世界大会は多くが、移動を前提に会場が決められているそうなんです。メイン会場が1か所、その他に予備の会場がいくつかあり、メイン会場で波が立たなかった場合、別のいい波が立っている場所に移動するというシステムになっています。その移動をなんと大会当日の朝に行ったケースもあるとか。それでも設営が間に合うのは、サーフィンの大会はほとんどが客席を設けずビーチで立ったり座ったり無料で自由に観戦するので、他の競技に比べると準備に手間がかからないという事情もあるようです。ただ、オリンピックの場合は観戦チケットが必要になるのでそこは課題だとも高梨さんは言っていました。
★サーファーはどう見る!?外房全体か、個々の場所か…
さて、それではサーフィンの五輪開催に期待するサーファーの皆さんは、千葉で開催するとしたら、外房全体がいいと思うか、それとも一宮や鴨川など個々の場所でいいと思うか、聞いてみました。
- ●「一か所に絞る必要も無いと思いますね。やっぱりサーフィンは波があってナンボなんで、波のあるところでしっかり選手たちが最高のパフォーマンスができた方が見る人たちも盛り上がると思うんで、僕はオール千葉でいいと思うんですけどね。」
- ●「千葉は波にパワーがあってサイズがあって、それぞれ良いんで、これ別にどこでもいいと思うんですけどね。」
- ●「ローカルの派閥があるでしょ、だからそのへんなんでしょ結局は。みんな仲良くしようよっていうのが、表では仲良くしますですけど、地元愛が強いスポーツなんですサーフィンって。俺はどこでやってますよっていう感覚がある、ここの誰誰、というのがある。難しいんですよね意外とね。」
やはり、その時々で一番波のある場所に移動できた方がいいという声もある一方で、最後の方のように、地元愛があるから同じ外房とはいえ一緒に活動するのは難しいのではないか、という意見もありました。