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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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「勝利宣言」から見る、アメリカ次期副大統領カマラ・ハリスの存在感

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日本時間の11月8日、トランプ大統領の「敗北宣言」がされないまま行われた、アメリカ大統領選の「勝利宣言」。そんな中、次期大統領とされる、民主党・ジョー・バイデン氏よりも注目されているのが、次期副大統領の、カマラ・ハリス氏です。全世界が注目したこの演説について、11月12日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

 

田中ひとみの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20201112073630

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

カマラ・ハリス氏の演説の反響はどうだったのか?まずは当日、TBSテレビで同時通訳を担当していた方に、お話を聞きました。バイデン・ハリス両氏の勝利演説を同時通訳した、フリーの放送通訳者で、獨協大学 非常勤講師の柴原早苗さんのお話。

★トランプは通訳泣かせ

放送通訳者 柴原 早苗さん
ハリスさんの方の注目が非常に高くなっている印象。印象的だったのは、子供、女の子、女性など、今までそれほど言及されて来なかった人たち、少数民族や有色人種の方を意識して、スピーチにかなり盛り込んでいた。そしてどんな年齢層の方が聞いても、わかりやすい英語だったので、その分、非常に万人に響く、聞いていて通訳もしやすい内容だった。正直、トランプ政権が4年間続き、トランプ大統領の英語を通訳してきた。久しぶりに、国のリーダーとなり得る人らしい英語を通訳できたので、感無量でした。
森本毅郎スタンバイ!

敗北宣言ナシで行われた、異例の勝利宣言。第46代大統領はバイデン氏(の、予定)

「通訳者はどちらか一方に肩入れはしませんが…」と前置きした上で、トランプ大統領は、話題の脱線、論理の矛盾、言葉使いも上品とは言えず、この4年間、相当苦労したということでした。

そもそも一人称(IやMy)をどう訳すか、通訳者仲間でよく議論していたそうで、ニュアンスでは「俺!」だけれど、一国の大統領が俺はおかしい。かといって、「わたくし」と訳すと高貴すぎる…。また、文法自体は単純だけど、汚い言葉をどう”ぼかす”か。あるいは通訳の一存で言葉をぼかして良いものだろうか。このように、あらゆる意味で、トランプさんは「通訳泣かせ」だったようです。

その点、今回は、バイデンさんも堂々たる演説だったと、柴原さんは評価していたのですが、それよりもやはり反響が大きかったのは、ハリスさん。ワンセンテンスが短めで、間の取り方も上手、さらに強弱のつけ方も秀逸。元々、サンフランシスコの検事で上院議員も務めていたので、説得力のある話し方を訓練してきたのではと分析していました。

★普遍性がウケたオバマの演説。ではハリスは?

このように、「勝利宣言」にも個性が滲み出ていますが、これを受けて、出版業界も動き出していました。大統領の演説を、英語の教材として販売している、朝日出版社の山本雄三さんのお話。

朝日出版社 山本雄三さん
今回は、『バイデン&ハリス勝利宣言』というタイトル。一番最初に出したのは、オバマ大統領が最初に出馬した2008年。勝利宣言を収めたオバマ演説集と、就任演説が、累計で80万部ぐらいの異例の売れ行き。トランプさんは、かなり売れ行きは少なかった。盛り上げ方は上手い。彼の演説会場にいれば、気持ちが高まり、コンサートのような充実感が得られるのかもしれないが、CDで一人冷静に聴くと、シラける。今回はハリスさんの注目度が高いので、多くの方に共感されるのでは。

こうした教材は、他の出版社も出していますが、山本さん曰く、やはりオバマは売れ筋。朝日出版社は広島訪問時の「広島演説」、ノーベル平和賞の受賞のきっかけとなった「核なき世界演説」なども販売し、売上は好調。

オバマさんは平和に関するスピーチが多く、テーマが普遍的。一方トランプは、「アメリカファースト」でアメリカ国民に訴えるテーマ、日本人には響き難かったようです。

そして今回の『バイデン&ハリス勝利宣言』。単行本は現在、編集中で、12月1日発売予定。ページの左半分に英文、右半分に日本語訳。付録のCDには、実際のバイデン・ハリス両氏の勝利宣言の生声を、フルで収録する予定だそうで、トランプさんが法廷闘争すると言われる中、出版も迷ったそうですが、各国の首脳がお祝いメッセージを出していることから、出版に踏み切ったそうです。

ちなみに、大統領と副大統領の「抱き合わせ」は、初の試み。やはり、多くの希望を語った「ハリス効果」に期待をかけたいということでした。

★「ハリス副大統領」が日本に突き付けるもの

こうして見ると、通訳に出版業界、様々、期待されているバイデン&ハリス政権。そんなハリスさんに関して、こうした見方も出ています。最後に、アメリカ政治に詳しい、早稲田大学の教授、中林 美恵子さんのご指摘。

早稲田大学・教授 中林 美恵子さん
ハリスさんの歴史的な責務の、第一歩としての重要な演説でした。アメリカは日本と違って本当に複雑。価値観も違う、歴史認識も違う、元々の国籍も違う人が集まってきているという、日本にはない複雑さがある中で、国を一つにまとめると為には、「演説」の能力がとても大事になってくる。「BLM(ブラックライブスマター)」の運動と共に、黒人であり女性であるというステータスそのものが、とてつもなく大きな役割だった。そして日本は、世界の女性活躍ランキングで、下から数えた方が早いほどの不名誉な状況。総理大臣の菅さんも、ちょっと恥ずかしい思いすることになるかもしれませんね

まだどうなるか、動き出してみないとわからないですが、少なからず、今回の「ハリス副大統領」誕生は、日本社会の女性進出や、多様性のあり方も大きく見直されるきっかけにはなるのではないかということでした。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!


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