コロナ禍で大打撃を受けた全日空=ANA。CAなどを全く関係ない企業に出向に出すというニュースが出て、これまで、量販店のノジマや成城石井が候補として報じられ、さらには、三重、佐賀などの県が受け入れで合意と報じられました。異業種にANAが受け入れを要請したり、地方空港で接点がある自治体に社長と知事で話し合って合意したり、ということなのですが、この状況、客室乗務員の皆さんはどう思っているのか。11月11日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
元ANAのCAで、今も現役のANAのCAと情報交換している山本さんにお話しを伺いました
★フライト減で給料減
- 元ANAのCA 山本さん
- 「仲間のスケジュールから見ると、一番少なかった時で、普段の1割程度のフライト数、で現状として少し今国内線の需給が戻ってきていて、2割ぐらいの勤務量かなという風には見ています、全日空の客室乗務員に関しては、お給料が、まず基本給があって、それが全てではなくて、フライトにつく手当ての部分が大きいので、おそらく収入としては、手取りがだいたいまあ、今まで3分の2ぐらいになっているのかなという風には思います。雇用の削減に踏み切る企業が、いくつかもう既にニュースなどで目にしたり聞いたりすることがある中で、出向っていう形になっても今の会社で働いていられるっていう部分には、少し安心があったり、ありがたいなっていう声も、ありました。」
フライト自体が今でも8割減と言う中で、お給料は激減。今までと同じ生活をするのは、難しい。場合によっては引越しも考えなければならない。もちろん、CAになりたくて入ったので、異業種に出向したいわけはないと思いますが、他の会社のように「解雇」という言葉が浮かぶ現状では、雇用を守る出向なら、納得せざるを得ない、と言うのはあるようです。ただ、山本さんにお話しを伺っていく中で、もう1つ、現役のCAの抱える悩みが聞けました
★情報共有は空の上?
- 元ANAのCA 山本さん
- 「会社の社内の通達として出る時は正式に全ての情報が整った時に出ることが多いので、「この企業と契約するかもしれないよ、お願いするかもしれないよ」っていう段階では、社内の通達としては出ない、インターネットに流れる情報の方が格段に早いので、ニュースを聞いて、「あ、こういう企業とか自治体っていう所に行く可能性があるんだな」ていう段階だと思います、まさに。なので一番みんなが不安に思ってることは、この先どうなっていくんだろうっていう「行く先が見えない不安」ですね。今は正直現実味がない話だと思うんですけども、客室乗務員としてのスキルをそこで活かせるのか、自分にとって良い経験になるのかと言う不安はあるみたいです。」
この状況、ANAの労組はどう考えるのか?お電話したところ「広報に聞いて欲しい」広報は正式発表のみとなるので、難しい状況。会社間の合意となると、市場への影響もあるので情報解禁の期日設定は厳格で、社内でも守られる。その上、CAはその時、空の上にいることもあり、情報が遅れる。そしてネットでは、正式情報だけでなく、憶測記事も一瞬で広まる。山本さんは、CAの場合、ニュースどころか、飛行機の中でお客さんから教えられることもあると。情報共有が難しい中、不安が残る状態のようです。加えて、出向先が決まったとしても、キャリアが生かせるか不安。そんなANA、今後この状況を打破するにはどうすればいいのか。事情に詳しい航空アナリスト鳥海高太郎さんに伺いました
★異業種に多角化して対策
- 航空アナリスト鳥海高太郎さん
- 「大きな影響でしばらくは続くと思います。今後は非航空事業という形で今マイレージの会員というのが4000万人に近い顧客を持ってますのでそういった人たちのビッグデータを使った新たな収益源の確保であったり、また最近では、ドローンとかそういった次世代のモビリティに関する色々な新事業を進めてますので、そういったものも含めて、万が一、飛行機が今回のように大きく飛べなくなった状況でも、一定の収益が確保できるような、そういったビジネスモデルへの変革というのが、今後進められていくと思います」
感染症は繰り返すので、異業種に多角化して対策という話。もしそうなっていけば、今回の異業種への出向も、生きてくるのではと思いました。