「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画です。
きのう行われた都知事選では、新型コロナ対策が大きな争点でしたが、当選した小池都知事の公約の中には【リモートワークの制度化】も。そこで今朝はこのリモートワークに関連した6月21日の『こちら特報部』「自宅オフィス化 費用は?」という記事に注目しました。
★自腹で自宅をオフィス化の声
お話を伺ったのはこの記事を書いた東京新聞・特報部の中澤佳子記者。リモートワークでは、自宅をオフィス化する必要がありますが、その費用負担に問題はないのか?疑問に感じて事例を取材したそうです。
- 中澤佳子記者
- 「まず電気代がかかってしょうがない。それからデータ通信量の不足が心配だという人が多かった。ある電力会社の調査では、在宅勤務をした世帯の6割で、前年の同じくらいの時期に比べて、電気代換算で1700円くらい増えていたそうです。これがずっと続くとなると相当な負担になると思います。それから、テレビ会議をする上で、ウェブカメラが無いですとか、自宅が映り込んでしまうので、その背景のものを買いたいですとか、スマホ用の三脚スタンドとか、もう全部自腹っていうのが実際だったようです。どうにかできないのかなと思っていたときに、結構ベンチャー企業中心に支援金を出しているところが多かったので、一度取り上げてみたいなと思いました。」
実際に在宅勤務をした人の話を聞いたところ、電気代、データ通信量、ウェブカメラ、ウェブ会議用に、その背景!スマホ用三脚!どれも、出社なら買わなくていいものですが、自宅オフィス化には必要。一人暮らしの若者は、自宅に机やイスが無いから買わなきゃ!という人も多かったそう。しかも、お話を伺った方々は、全部自腹で働く環境を整えたということ。
★ベンチャー企業を中心に支援あり!
この現状に、どうにかできないかな、と取材を始めてみたら、ベンチャー企業では、支援をする動きが多かったそうです。
- 中澤佳子記者
- 「一番驚いたのが、一時金として13万円出したという会社さんがありました。今回ベビーシッター代に充てた社員さんもいて、色々用途が広げられるようにしたそうです。2万円の一時金を出したIT企業さんですと、仕事に実際につかうものだけじゃなくて、コーヒーマシンや加湿器といった、一瞬、え?そんなものまでいいのか?っていうものも認めていたそうです。通勤手当がかからなくなった、ということで、その分の支給を取りやめて、在宅だと光熱費もかかるでしょうということで、月3万円支払うことにしたそうです。これからも在宅勤務続けている社員さんが多いので、継続的にこういった支給を出そうと考えているそうです。」
コーヒーマシーンや加湿器もOKというのはちょっとびっくりしました。しかし、その理由を聞くと
- 「仕事の効率が下がらないようにするのが目的。快適に働くために必要だと本人が思うものに使えるようにした」
と、いう答えが返ってきたそうです。
確かに、会社で仕事中しかコーヒーマシーンを使わない人もいますし。仕事に必要なものって、意外と人によりますもんね。
でも、これでは会社は負担が増えるのかと思って聞いてみたところ、会社としては、社員が出勤してこないので【通勤手当がなくなる】また【オフィスも縮小して家賃や光熱費も抑えられる】ので、それを原資にして、一時金の後、継続的に支援金も出す会社も多い。赤坂100坪の事務所を、神保町30坪に縮小できた会社もあった。
そう考えると、他の企業にも広がって欲しい動きですよね。
★どこまでが仕事で、どこまでが生活?
会社にとってもメリットのあるリモートワーク。自宅オフィス化の費用はますます身近な問題になります。今後についてに中澤さんに聞きました。
- 中澤佳子記者
- 「なかなか自宅で仕事をするとなると、どこまでが仕事でっていう区分けができないっていう難しさもあると思うんですけれども、実は一時金を出していたIT企業さんの一つも、やはり『どこまでが仕事でどこまでが生活の部分なのか、っていう区切りがつけられないので、ある程度コーヒーマシーンですとか加湿器といった幅広いものまで用途を認めることにしました』ということもおっしゃっていたので、今回本当に一時的なものでなかなか企業の方も変われなかったというのはあると思うんですけれども、今後自宅をオフィスにするっていうことを考えるときには、ある程度お互い同士で考えないといけないことだと思います。」
自宅オフィス化の費用負担で、まだまだ自腹の人が多い背景には、この「仕事と私生活の区切りの難しさ」があるようです。企業からすれば「自宅の費用では?」となってしまう・・・。
その辺り、どう考えたらいいのか?労務問題に詳しい弁護士さんは『業務にかかる費用は雇う側が負担するのが原則』『リモートワークは、労働者の自宅をオフィスに使うことを意味する。雇う側はオフィス維持費を削減できるのだから、その分を労働者に回す必要がある。労使で協議を。』ということでした。
今後もコロナとの戦いはまだまだ続くことが考えられる現状で、個人に負担を強いる形では、本当の意味でテレワークは定着しないですよね。
今回はベンチャー企業が多かった、ということですが、今後は他の企業も、改めて、先を見据えて会社内でどういう制度にするか、労使協議が必要になりますね。

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。