最近、蒸し暑くなってきましたが、そうした中、指摘されるのが、「新型コロナウイルスは夏に弱いのでは」ということ。確かに、インフルエンザなどウイルスは夏に弱い印象がありますが・・・本当か?
6月24日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
まずは、長崎大学熱帯医学研究所の所長、森田公一さんに伺いました。
★新型コロナは熱や湿度に弱い
- 長崎大学熱帯医学研究所 所長 森田公一さん
- 「新型コロナウイルスは「エンベロープ」を持ったウイルスです。ウイルスの表面、脂質の二重膜で覆われたウイルスが「エンベロープウイルス」で、こういう構造を持ったウイルスは、今回の新型コロナウイルスも、実験上、気温が高い、湿度が高いと、壊れやすいと。この点はアメリカの方でも確認されていることです。他のウイルス病もそうですが、流行期と非流行期があり、非流行期に患者さんが多い年は、流行期になってくると大流行が起きるという傾向があるので、今年の夏は、感染者の数をできるだけ低く抑えておくことが、第二波を低く抑える要因になる。」
新型コロナはエンベロープという脂質の膜で覆われているということでしたが、この膜が、熱や湿度に弱く、膜が壊れるとウイルスは、感染させる力を失う。ですので、夏は、新型コロナウイルスは弱まる、ということが実験上もわかっているということでした。
そして森田さんにによれば「だからこそ、冬の流行期を前に、この夏、どこまで抑えるかが重要」ということでした。
そして夏と言えば、高温多湿に加え、紫外線が強いのも特徴ですが、この紫外線は、新型コロナウィルスに影響しないのか?日本経済新聞社の編集委員で気象予報士の安藤淳さんに伺いました。
★紫外線がコロナの遺伝子を破壊する!
- 日本経済新聞社編集委員・気象予報士 安藤淳さん
- 「紫外線にウイルスの活動を弱めてしまう効果があるということが、最近わかってきました。紫外線って遺伝情報を物理的に傷つけるので、インフルエンザのウイルスに効果があるということは過去の研究で出ていて、そのデータをもとに、大阪府立大学の秋吉雅文先生が、新型コロナはどうかなということを出してみたんですけど、真夏のよく晴れた日に二時間半ぐらいウィルスを太陽の光にさらすと、ウィルスの活動が千分の一ぐらいに減るだろうという結果が、計算上ですけど出ています。こういう効果をうまく使うとウイルスを減らすことができるかもしれない。」
これは先ほどの森田所長も指摘していて、紫外線がコロナの遺伝子を破壊する紫外線には、波長が長い順にA・B・Cと3種類あるということで、中でも一番強いUV・Cは、地上には届かないけれど、かなり強力だという事。直接浴びると人体に害がありますが、人工的に加工して、空間殺菌に応用される例が増えています。
そこまでいかなくても、自然光の中にある紫外線AやBでも、2時間半浴びるとウィルス活動を千分の一にまで抑えられる、ということでした。
ただ、感染例の多くは、屋外ではなく屋内。果たして紫外線の効果は屋内に及ぶのか?再び安藤さんに伺いました。
★屋内には紫外線が届きにくい!
- 日本経済新聞社編集委員・気象予報士 安藤淳さん
- 「最近ガラスとか、みんなUVカットになってますよね。太陽の光が入ってきても、あまり紫外線が入らないようになっています。古い家だと入ってくるかもしれませんけど、なかなか室内だと簡単には浴びにくい。だから太陽が当たっている時には、外に出て、適度に日光浴すると。あるいは、できるだけ外に物を干せるときは干す。ちょっと心配な物があったら太陽の光に当てて日光消毒する。そういうことを心がけることが、多少なりともウイルスを減らすということに繋がるのかなと思います。」
紫外線は、新型コロナ対策に有効として注目ですが、これまでは、紫外線は悪いものとして、なるべく浴びないようになっていました。確かに浴びすぎは危険ですが、洋服など、気になるものがあれば、天日干しを。2時間半でウイルスが千分の一というのもあるので、参考にして取り入れて欲しいということでした。
とにかく、ウイルスが弱まるこの夏、どこまで抑えるか。これが、秋から冬の「第二波」を小さくするために重要ということです。
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