今回は、エアコンと換気の関係について取材しました。というのも、新型コロナの問題を受け、4月にダイキン工業が調査した所、「エアコンで換気ができると思う」と答えた人が半数を超えたそうなんです。6月17日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
実際はどうなのか?換気など建築環境工学に詳しい東京理科大学の倉渕隆教授のお話です。
★エアコンでは換気できない!
- 東京理科大学 倉渕隆教授
- 「エアコンは部屋の空気を吸ってその温度を調節して吹き出しているだけなので、換気の効果は全くありません。万が一感染者がいる室内でエアコンだけを使っているということになりますと、ウィルスがどんどん出てきちゃいますから、部屋に空気をぐるぐる回すだけってことになりますから、場合によってはむしろリスクを拡大させることになりかねません。これから暑くなりますのでエアコンの運転は必須だと思いますけれども、それと同時に窓開けなりして頂き、換気とエアコンを同時に使うことを心掛けて頂けると良いと思います」
エアコンは室外機から外気を取り込んでいる、と思う方もいるかもしれませんが、室外機は、空気を冷やす冷媒を冷やして、エアコン本体に循環させているだけ。エアコン自体は、部屋の空気を吸って、吐いているだけなんです。
今、無症状感染が増えているという話もありますが、そんな方が部屋にいると、エアコンだけでは、どんどんウイルスが充満してリスクが高まってしまう。
というわけで、この夏は、ウイルス対策で適度に換気を行う、と同時に、熱中症対策でエアコンを使い続ける、という例年にない対策が必要です。
ただ、ずっと窓を開けなければいけない、ということでもないようです。そこには、あるシステムの存在がありました・・ダイキン工業のコーポレートコミュニケーション広報グループ、重政周さんのお話です。
★リスク回避に24時間換気システム!
- ダイキン工業 コーポレートコミュニケーション室 広報グループ 重政周さん
- 「24時間換気システムっていうのは一般的な住宅で言いますと、ユニットバスの天井に排気口が付いていて、24時間家の中の空気を排気していく。吸気口が窓の横にとか、そういう所から空気を吸い込むわけなんですけれども、排気する方の機械にスイッチがちゃんと入ってるかどうかを確認していただき、吸気口は蓋ができるようになってるんですけども、蓋が開いてないと風が入ってこないので、蓋が開いてるかどうかも確認していただく、そうすると24時間換気ができるようになりますので、それが正しい使い方になってきます。」
初めて聞いたので、換気に詳しい倉淵教授にも伺ったのですが、室内環境改善のため、2003年7月、全ての建物に設置が義務付けらた物。つまり2003年7月以降に建てられた住宅には、原則としてついています。
厚生労働省がコロナ対策で「必要な換気」として示した目安と比べると、24時間換気システムを稼働すると、4人分の空気が換気されるそうで、一般的な家庭で4人までなら、このシステムである程度、リスク回避に役立つようです。
ただ、コロナはまだ全てがわかっているわけではないので、100%これに頼らず、1時間に1度位、窓開け換気もすると良いようです。できれば部屋の対角線の窓を開けて風を通す。窓が1つしかない場合は、扇風機を窓側におき、窓のそとにむけて回すと、部屋の中の空気を、外に吐き出してくれるそうです。
★家の中に陰圧室!?
そしてこの換気システムを使うと、家族の中に感染の可能性が高い人がいる場合、間取り次第ではこんな対策もできるそうです。再び倉淵教授のお話です。
- 東京理科大学 倉渕隆教授さん
- 「家族の中に感染者が万が一いるかもしれないという場合、例えば熱が出てるとか、結構リスクが高い人と同居しないといけない場合があると思うんですね。これなかなか積極的に感染リスクを下げるための工夫をしないといけない。その一つの方法としては、例えば寝室とトイレをビニールシートで区画して、トイレのファンを常時運転し続けることによって、即席の陰圧室を作って、2週間その陰圧室中にこもってもらうと。そういった工夫をしていただければ、かなりリスクは下げられるんじゃないかと思います」
こちらは家にトイレが2つある場合でないと難しいのですが・・・
陰圧室というのは、病院で病原菌等が外に漏れないよう、気圧を低くした病室。24時間換気システムを利用すると、家庭内にこの陰圧室が作れるということ。
具体的には、トイレの扉をあけ、他の一部屋とビニールシートでぐるっとくるんで、隔離。そこだけ、別の部屋のようにしてしまう。そこでトイレのファンを使えば、くるまれた部分は気圧が下がるということ。実は、検証実験も行われており、かなりの率でリスクを下げられたそうです。
ここまでいくと、ハイレベルですが、エアコンと24時間換気システム、そして窓開けで、感染リスクを下げる夏を過ごしましょう。