きょうは、新型コロナウイルスの影響で、各地で自粛が促されていることしの「お花見」について、3月23日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
東京都の標本木は、きのう満開を発表。昨日までの3連休はお天気が良かったこともあり、絶好のお花見日和でしたが、今年、多くの公園や河川敷で「お花見の宴会自粛」が呼びかけられています。そこで、桜の名所「上野恩賜公園」はどんな状況だったのか。先週の金曜に行ってみると、皆さん今年ならではのスタイルでお花見を楽しんでいました。
★飲み歩きながらお花見
- ●「知り合いと花見に来ました。飲み歩き。ハイボールです。例年だったら座りますけど、今年はしょうがないですよね。やめてくださいって言われちゃいますきっと。これはこれでいいんじゃないかな。今年だけだと思うんで。」
- ●「夫と二人でせっかくだから観に行こうかって。ちょっと例年すごい道が狭くて歩きづらいんですけど、歩きやすくていいですね。提灯とかは出してくれているし、ゴミ箱も置いてくれてるからそれなりには配慮してもらえてるんだなと思って。ダメって言いながらやらしてくれるのかなと思ってありがたい、良かったねって。」
- ●「今日は9人ぐらいで花見しに来ました。いつもやっているので今年も絶対やりたいなと思ってましたね。レジャーシート敷いて本当はやりたかったですね。子どももいるしできれば良かったなと思いますけどね。」
上野公園のメインストリート「さくら通り」は、満開時には頭上を覆い尽くすほどの桜並木で、お花見スポットとして有名です。例年はさくら通りの両サイドにレジャーシートを広げて宴会を楽しんでいましたが、今年はそこにロープが張られて立ち入ることができなかったので、皆さん歩きながらお花見を楽しんでいました。
ちなみに「自粛」とは言いつつも大きなゴミ箱が設置されていたり提灯に明かりが灯っていたりと、多少の“お花見ムード”は残っていました。中には「いつもより人も少なく、これはこれで良いんじゃない?」と仰る方も多かったです。
★シートを敷かなければ座ってても大丈夫?
さらに取材を進めていると、立ち入り禁止エリア以外の場所で、「座りながら」お花見をしている方たちもちらほらいました。
- ●「夫婦でお花見に来ました。宴席以外はだいたい人が宴会できないようにほとんどガードされちゃっているので、座れるところを探して、植木の角っちょにちょこんと座ってちっちゃい宴会をやっている感じです。」
- ●「会合なんですよね。それだからいいかなと思って来たんですけどね。毎年きているんですけど、今日は2人しか来てないけど、ちょっと閑散ですよね。さみしいけどね。こういうご時世だからしょうがないですよね。」
- ●「桜見に来ました。宴会の区切りがわかんないけど、特に何も言われていない。私たちがやっているのは宴会じゃないのかなとか、宴席禁止わからないですよね。不安ながらやっているんですけど、レジャーシートでワイワイしていたら多分怒られるかもしれないけど、ここなら大丈夫なのかな。」
この方たちは、ロープの張られていない隅っこの縁石や階段に座り込んでお酒を飲んでいました。ただし、公園内は「宴会自粛」のはず。ダメなのではないか?と思ったのですが・・・
巡回中の警備員さんに注意されないのか見ていると、どうやらレジャーシートを広げていなければ特に注意は受けないようです。上野公園のホームページでも、「集団でシートを広げて飲食する宴会等の利用については、お控え下さい。散策しながらお花見を楽しんで…」と書いてありました。
ルールでは、やはりシートがあるか、ないかが、境界線のようです。
★完全防備!コロナ対策バッチリな花見客
シートを敷かずに座っている人たちも、何となくソワソワしながら飲み食いしていましたが、中にはこんな方もいました。
- ●「会社の同僚、2人で。さみしいね。ここやっちゃいけないんだけどね。宴会禁止なんだけど、やっぱり毎年行ってるからね。20年になってるから毎年上野に来て。さみしいけどね。今の状況じゃしょうがないと思ってるけどね。ほら、マスクとゴーグル。花粉症とコロナ両方。ダブルに対してちゃんと防御してんの。あと、アルコール。除菌スプレー持ち歩いてるんだよ、ちゃんと。リスクは負うけどしょうがないよな。花と酒が好きだから。」
この方は、マスク、ゴーグル、アルコール、ビニール手袋を持参してお花見をしていました。ここまでしてどうしてお花見したいのか聞いてみると、やはり「桜が好きだから」。
予防したいのか、桜を見たいのか、話を聞いているとよくわからなくなってきますが、皆さん「自粛」という言葉に振り回され、悩みながらお花見していました。
★“お花見インバウンド”を失ったホテルの苦肉の策
そして、上野公園のすぐ隣にあるホテルでは、お花見に関するこんなイベントを企画していました。センチュリオンレディースホステル上野公園の勝俣桂一さんのお話です。
- センチュリオンレディースホステル上野公園 勝俣桂一さん
- 「「インドア花見」と命名したんですが、お部屋の中から窓の外、ちょうど桜が見える場所で、お花見をするサービスです。毎年、花見の時期にたくさんの観光客の方にきていただく中で、常に満室でフル稼働していた施設ではあったんですけど、昨今の事情によって観光のお客様がだいぶ少なくなっています。この時期に限ってですと、100%稼働だったところが20%前後での稼働率となっています。少しでもお客様に楽しんでいただくことができないかと考えてスタートしました。」
こちらは、ちょうど上野公園の桜が見下ろせる位置にある、女性専用のカプセルホテル。3月29日まで行われるこちらの「インドア花見」では、客室から不忍池や弁天堂周辺の桜を観賞できます(コロナ騒動で空室になってしまった部屋を活用する、室内型のお花見)。料金は1人500円。時間は11〜16時で最大5時間利用できるそうです。
やはり、コロナ騒動で先月下旬あたりから宿泊客が激減しているようで、特に外国人観光客については、お花見目当てに日本に来ている人も多かったとか。この状況を少しでも改善しようと、苦肉の策として「インドア花見」を始めました。「お花見の宴会自粛」は、ホテルにも打撃を与えていました。