新型コロナの影響で、春のセンバツ高校野球は中止になり、プロ野球の開幕も延期となっています。出場できなかった高校球児はショックを受けていますが、そんな中、次の甲子園に向けて個人練習を続けているという人も多いようです。
実は、そうした方たちの一部で、注目が広がっている最先端のボールがありました!3月17日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
まずはどんなボールなのか。開発した株式会社アクロディア 伊藤 剛志さんのお話です。
★センサー付きのボール!
- 株式会社アクロディア 伊藤 剛志さん
- 「商品名は「テクニカルピッチ」。中にセンサーが入っていて、投げるとスマホにデータが飛び、回転数、回転軸、球種がわかる仕組み。スマホとボールがあれば投げるだけでデータが測定できる商品です。トレーニングツールという形ですが、今は特に高校生のチームが使っていて、個人的に買って自主トレで使っているプロの方もいらっしゃいます。この状況下で全然使われないかと思ったがけっこう使われているので、自主トレで使ってもらえてるんだと思います。」
その名も「テクニカルピッチ」。ボールの中に合計9つのセンサーを持つ「9軸センサーボール」と呼ばれるものです。アプリと連携させてそのボールを投げるだけで、球速、球種、回転数などを測ることができます。
新型コロナで今、高校生などは、チームで集まって練習することは難しい状況ですが、これを使えば個人のトレーニングで自分の状態を確かめることができるということで、今、使われています。
このボールのすごいところは、大きさ、硬さ、重さが公式球と全く同じだというところで、高校のチームによっては、このボールを使って調子の良さを分析し、チーム編成に活かしているところもあるそうです。
一方、プロの自主トレにも使われていて、現在、テクニカルピッチの使用を登録している数はプロアマ含めて3万人で、合計投球数は100万投球を超えています。
さて、新型コロナウイルスでチーム練習ができないこういう状況もあって、ますます注目されているこのボールですが、本来、開発した目的は別にあります。
★隠れた才能の発見
このボールを使って何がしたいのか。再び、伊藤さんのお話です。
- 株式会社アクロディア 伊藤 剛志さん
- 「埋もれた才能という表現が正しいのかはわかりませんが、例えばどこかの山奥で野球はやりたいんだけどチームは組めない、ただ、投げたらすごいボールが投げられる人がいたらそれを公開できる環境を作ろうと思っていまして、それをやることによって、ここにすごいピッチャーがいるぞという話題が作れるかもしれないです。」
このアプリ内では月間ランキングが見られるんですが、今見てみると、16〜18歳で149キロを投げた人がいたり、19〜22歳では150キロを投げた人が3人いることが一目でわかります。
現在は個人情報は載せられないのでみることはできませんが、今後自分から住んでいるところやチーム名を公開すれば、自分の能力をアピールすることもできるようになります。つまり、高校生からすれば、甲子園に出られなくともアピールできるというわけです。
また、新型コロナでセンバツが中止になって、スカウトは何を見て選手をチェックすればいいのか、という状況ですが、大会がなくても、このデータを見れば、金の卵の選手を探す手助けにもなります。
という、隠れた才能を見つけることができるかもしれない夢のようなボールなんですが、大変なのはデータ収集。多くのデータを管理するために、手を組んだのがauです。
★オンラインレッスンと骨格解析
KDDI株式会社の石田 剛士さんのお話です。
- KDDI株式会社 石田 剛士さん
- 「我々としては、日本全国のデータを公開して色んな人と繋がれる環境を作っていこうとしている。野球をちゃんと教えてくれる人がいないという人に対してはオンラインレッスンを提供したり、教育に力を入れていきたい。同時に、スマホのカメラで投球を撮影すれば、映像から骨格解析ができる。5Gの時代で映像の細かさが上がると、どういう握り方をしたらこういう球が投げれるという分析ができる。そのあたりに我々 通信会社がやる意味があると考えています。</
span>」
KDDIがやろうとしているのは、ネット上でのオンラインレッスンと骨格解析。5Gが始まることで精度があがり、ボールで回転数などを測り、映像から骨格を解析し、自分に合った投げ方のレッスンを受けることができる。そんな世界を作ろうとしています。
今後は、同じような仕組みで、野球以外のボールも作ろうとしています。ボールを開発した株式会社アクロディアの伊藤さんのお話です。
★世界も視野に!
- 株式会社アクロディア 伊藤 剛志さん
- 「今、進めているのがサッカーとゴルフ、クリケット。そういったラインナップを考えております。特にクリケットは日本ではメジャーではないが、イギリス、オーストラリア、インドだとトップスポーツなので、海外展開もしたいと考えています。」
サッカーボールとゴルフボールについては、今年中に販売を開始する予定で、それが完成してからクリケットボールの開発を進めて、海外に売り込んでいくということです。
日本で作られた最先端のボールが、世界中で使われることになるかもしれません。