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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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石橋に和紙?コンクリに木材?身近な素材を使った日本初の再生術!

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きょうは、身近な素材を使った「日本初の再生術」について、3月2日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。


注目の素材は「和紙」と「木材」です。まずは、「和紙」×【石橋】。和紙を使った復旧作業が進むのが、「常磐橋(ときわばし)」という東京駅近くの石橋。常磐橋は、明治10年に建てられた日本最古の石橋で、実は東日本大震災でアーチが崩れるなどして被災していたんですが、そんな石橋に和紙をどう使うのか?

千代田区から委託を受けて、常磐橋の調査や工事の管理を行っている文化財保存計画協会・主任研究員の西村祐人さんに聞きました。

★和紙で石橋を強く!

文化財保存計画協会・主任研究員 西村祐人さん
常磐橋に使われている石材は江戸城の小石川門の石垣を転用していて不揃いな石を組み上げていくと石橋として安定しない。それを安定させるために石と石の間に和紙の繊維を溶いた物を吹き付けて特殊なモルタルを充てんする特殊な工法を使った。それが結果的に地震が来ても強い構造になる。和紙を使った補強は常磐橋が初ですね。
森本毅郎スタンバイ!

東京的からほど近い場所にある「常磐橋(ときわばし)」

森本毅郎スタンバイ!

現在工事中。「3月31日まで」という看板が立っていました

森本毅郎スタンバイ!

遠くから工事の様子が見えました

森本毅郎スタンバイ!

近くから見た様子

なぜ耐震性が高くなるかと言うと、和紙とモルタルが、骨と骨の間の軟骨の役割をするイメージです。人間も関節と軟骨が衝撃を吸収してくれますが、それと同じ原理で、石橋にも軟骨(=和紙)を入れる事で、耐久力が高まるということなんです。

★常磐橋は江戸城の門だった?!

この常磐橋の復旧工事は、2012年の着工から8年もの歳月が掛かり、今月末に終了してようやく復活となるそうです。そして、長い年月が掛かったのには、文化財として価値のある橋という事も関係していたようなんです。

文化財保存計画協会・主任研究員 西村祐人さん
外観は立派な橋で外から見ると分からないことが解体して見て色々と分かってきた。なぜ不揃いな石か調べてみて石垣を転用した事実が分かった。あとは関東大震災の後に1回修復がされているが修復の中身は分からなかったがコンクリで補強していた。コンクリを除去しないと石をばらせず壊すのは簡単だが再利用するので時間がかかった。

石橋を崩すのと並行して、中の構造やどんな石が使われているのかなど、細かな調査も行った為、これだけの時間がかかったそうです。

★コンクリート×木材=ボタニカルコンクリート

このように、常磐橋の復活の裏には身近な和紙の存在がありましたが、一方で、常磐橋の工事で邪魔者扱いされていたコンクリートに関しても、私たちの身近な素材の「木材」を使った、日本初の再生術が確立しつつありました。ということで、今度は「木材」×【コンクリート】。研究を進めている東京大学・生産技術研究所・講師の酒井雄也さんのお話です。

東京大学・生産技術研究所・講師 酒井雄也さん
普通のコンクリ瓦礫を再生するに砕いて砂と砂利を取り出してセメントを混ぜる。そこで他の材料でと考えたところ木材を温めると接着剤として使えることが分かった。セメントを使わずにコンクリ瓦礫を木材で再生させる研究。砕いて混ぜ合わせて熱を加えてプレスする工程でボタニカルコンクリート=植物性のコンクリートという名前。
森本毅郎スタンバイ!

東京大学・生産技術研究所・講師の酒井雄也さんにお話を伺いました

森本毅郎スタンバイ!

ボタニカルコンクリートは、混ぜる植物の種類や割合で、様々な風合いのものが出来上がります。こちらは、「コンクリート:杉=2:1」

森本毅郎スタンバイ!

こちらは、「コンクリート:杉=1:1」

森本毅郎スタンバイ!

「コンクリート:茶葉=1:2」。茶葉の香りがふんわりします

そもそも、コンクリートは、砂+じゃり+水+セメントを混ぜ合わせて作られているんですが、このセメントが、接着剤の代わりとなっています。そして今回は、セメントに変わる接着剤として、「木材」が使えることがわかったということ。

具体的には木材に含まれる「リグニン」という成分が接着剤の役割を果たすということで、このリグニンは木材や木くずの他に、野菜くずや落ち葉など多くの植物に含まれているので、多くの植物で同様の利用が可能だそうです。

★CO2排出量を抑える

さらに、例えば家を解体する時に出る、コンクリートや木材の瓦礫を使って植物性のコンクリートを作ることもできます。廃材を活かせる上、コンクリートも再生できる、まさに一石二鳥となりそうですが、このコンクリート再生法は、温暖化対策にもなるようなんです。再び酒井さんのお話。

東京大学・生産技術研究所・講師 酒井雄也さん
セメントを作る工程でかなりのCO2が出る。全産業の5%がセメント産業から出ていると言われている。今回の方法だと木材を使うので全てを置き換えれば5%のCO2の削減になる。要らなくなった木材の焼却処分のCO2も削減できる。もう1つのメリットは使わなくなったら砕いてプレスすれば何回でも繰り返し使える。

CO2も削減できるということは、一石三鳥…!現在も製品化に向けて研究を進めてい流そうです。

★茶葉の香りのする緑のコンクリ

では将来的に、植物性のコンクリートはどんな利用が可能なのか?最後に酒井さんに聞いてみました。

東京大学・生産技術研究所・講師 酒井雄也さん
コンクリと木材で出来ている物に利用できると考えていて身近なものだと家具、雑貨。外に目を向けると歩道のブロックや駐車場の車止めにも簡単に利用できると思う。コンクリと木材の割合を変えて木材を増やすと木目は無いが木材の色と香りも残る。木材以外でも試していてお茶っぱを使うとお茶の匂いも残る。色々試していきたい。

曲げる力に強いので、曲線を描く家具や雑貨の利用が可能。2〜3年後を目処に、実用化を目指していくとお話していました。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!


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