きょうは、“ゆる〜い楽器”「ゆるミュージック」について、10月7日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずは「ゆるミュージック」とは何か?一般社団法人 世界ゆるスポーツ協会代表 澤田智洋さんのお話です。
★日常的に楽器を弾いてるのはたったの10%!
- 一般社団法人 世界ゆるスポーツ協会・代表 澤田智洋さん
- 「今年4月に、「世界ゆるミュージック協会」というプロジェクトを立ち上げました。目的は、みんなが気兼ねなく演奏できる楽器をゼロから作ろうということで、半年で7つぐらい楽器を作りました。ある調査では、90%の日本人の大人は、日常的に楽器を演奏していないというのがあります。学生時代はやっていたけど、社会人になってから辞めた人も含めて、90%です。元々やっていた人はもっといると思うけど、現役で楽器に触れている人はほぼいない状況です。であれば、日頃楽器を触ってない人を世界から無くせないかということで、世界ゆるミュージック協会を立ち上げたました。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/10/IMG_5844-533x400.jpg)
世界ゆるスポーツ協会の代表、澤田智洋さんに聞きました
澤田さんは、「世界ゆるスポーツ協会」の代表でもあります。こちらはスポーツが苦手な人でも楽しく運動できるように、「ゆる〜いスポーツ」を考案しています。
そんなゆるスポーツ協会が新しい分野として選んだのが、音楽の分野。2016年の総務省の調査によると、趣味や娯楽で楽器演奏をしている人は、10%ほどしかいないことが分かったそうで、そうした人でも簡単にできそうな音楽を、という狙いだそうです。
★演奏したいけど時間がない…
ただ、ピアノは習い事の定番だったり、軽音楽部や吹奏楽部などは今でも人気の部活で、子供のころは多くの人が楽器に触れているはず。ではなぜ大人になってから楽器を続ける人は減ってしまうのか。街の皆さんに聞いてみました。
- ●「やってない。ギターはやってみたい。1回友達からもらって持っていたけどそのまま使ってない。難しかった。」
- ●「やってません。学生の時にコルネットをやっていた。あとフォークギター。やっぱり仕事に就くのと、趣味でやっているともっともっとやりたいけどそこから行き詰まっちゃった。」
- ●「何も今はやっていない。子どもの頃にピアノをやっていた。もっと他に面白いものを見つけた。楽器に限らず、ピアノは親がやらせたかったからじゃない。だからそのあとに見つけた趣味の方が続いているかもしれない。」
かつて楽器をやっていた人に、今でもやってみたいか聞いてみたところ、やりたい気持ちが残っている一方で、時間がなかったり、お金がなかったり、そして「楽器自体が難しくてあきらめてしまった」という方がほとんどでした。
★“普通の動き”で音が鳴る!
この「楽器自体が難しくてあきらめてしまった」という声をもとに、ゆるミュージック協会ではゆるい楽器を制作していました。再び澤田さんのお話です。
- 一般社団法人 世界ゆるスポーツ協会・代表 澤田智洋さん
- 「例えば、「ポーズギター」というものがあって、アップルウォッチみたいなリストバンド型のデバイスを装着して、腕を上にあげたり、思いっきり左に伸ばしたりするとコードが鳴る。両腕をあげるとCの和音が鳴り、左に傾けるとGの和音が鳴る。ポーズでコードが押さえられる。あとは「ウルトラライトサックス」と言って、直径25cmくらいのちっちゃいサックスを作った。軽い、なおかつどこも押さえなくてよくて、パッと見はちっちゃいスケールのサックス。ただ、鼻歌を歌うとそれがサックスの歌となって拡張される。お風呂場で鼻歌を歌う感覚で、スピーカーからはサックスの音が出てくる。気軽にできるのと、重量的にもライトなので「ウルトラライトサックス」と名付けた。テクノロジーを使うものもあれば、割とアナログなものもある。」
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「ウルトラライトサックス」(世界ゆるミュージック協会 プレスリリースより)
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/10/d18821-20-803866-4-266x400.jpg)
「和音グラス」(世界ゆるミュージック協会 プレスリリースより)
そもそも音を出すこと自体が難しい楽器もある中、ゆる楽器は日常的な動作で鳴らすことができるので、挫折を感じません。他にも、ワイングラスを乾杯して和音を奏でる「和音グラス」や、6つの音がなるパッドを装着して、ゴリラが胸を叩くように演奏する「ゴリラリルレロ」といった楽器も。どれも簡単な動作で音が出せるので、からだの不自由な方や高齢者にも人気のようです。
★書類作成感覚で音を奏でる楽器「タイププレイヤー」
そこで、どれだけ簡単に演奏できるのか、実際に体験してみました。楽譜が読めなくても大丈夫、パソコンのキーボードを叩くだけで、まるでピアノのような音色が奏でられる「タイププレイヤー」という楽器です。
- 「タイププレイヤー」初体験
- 「では、タイププレーヤーを演奏します。目の前には、いつもパソコンで使うキーボードが配列されていますが、これを触ると音がなるようです。きらきらぼしの楽譜があるので、演奏してみます。最初は「W」のキー、次に「Y」のキーをプッシュ。〜♩〜 ノーミスで弾けました。すごく簡単です。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/10/IMG_5827-533x400.jpg)
「タイププレイヤー」。見た目はパソコンのキーボードですが、「W」のキーを押すと“ド”の音が。「Y」のキーを押すと“ソ”の音がでます
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/10/IMG_5877-534x400.jpg)
「タイププレイヤー」弾いてみた
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2019/10/IMG_5832-300x400.jpg)
タイププレイヤー用の『きらきら星』楽譜。よく見ると音符ではなくキーが並んでおり、楽譜が読めない人でも曲が弾けます
中には両手で弾くような難しい曲もありましたが、キーボードを操作する感覚で弾けるので、初見でもバッチリ演奏できました。
★誰もが演奏者になれる社会へ
「ゆる楽器」は現在販売されていないそうですが、今後、ニーズに合わせて生産・販売していくそうです。最後に、今後どんな展開をしていきたいか澤田さんに聞きました。
- 一般社団法人 世界ゆるスポーツ協会・代表 澤田智洋さん
- 「人はこれから3つの課題を抱えていくと思っている。①どんどん暇になる、②どんどん孤独になる、③どんどん無力感を感じる。そういう時代に僕らは来ていると思っている。なので人の暇を払拭し、孤独を癒し、無力感をなくすようなことを音楽を通じてやりたい。楽器を一人で演奏すると、暇じゃなくなるけど、仲間と演奏すると孤独も癒えて、楽器開発者側に回ったりすると無力感もなくなる。究極的には、人間のこれから襲ってくる課題を先回りで解決するような音楽や楽器を作りたい。」
最終的には、2025年までに50個、どんな人でも自分にあった楽器が見つかる状態にしたいとお話ししてくれました。
「ゆる楽器」は、10月20日(日)の「渋谷音楽祭2019」で、体験できるそうです。
![田中ひとみ](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/09/sump_tanakahitomi-400x400.jpg)
田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!