今日は10月1日。増税話が多いですが、昨日はポケベルサービスの最終日でした。1968年に当時の電電公社が始めたサービスで、50年以上経って、きのうサービス終了となりました。10月1日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
サービスを終了した国内唯一のポケベルサービス提供会社、東京テレメッセージ株式会社 代表取締役の清野 英俊さんのお話です。
★携帯の普及で衰退したポケットベル
- ●東京テレメッセージ株式会社 代表取締役 清野 英俊さん
- 「9月30日24時をもちまして、ポケベルサービスを終了させていただきます。ピーク時の1996年は、日本全国で1100万件以上、東京テレメッセージもだいたい135万のユーザーがいた。ポケベルは文字しか伝えることができない。音声で伝えることができるPHS・携帯電話にあっという間に取って代わられた。ポケベルの衰退です。」
ピーク時は契約者が1100万人いましたが、携帯電話の普及とともに減っていきました。ちなみに、昨日の時点で契約者は何人いたのか聞いてみると、1500人だそうで、そのほとんどが病院関係。電波を発することのない、精密機器への影響がないポケベルを使って先生や患者さんを呼び出すために使っていたそうです。それも今日から使えなくなりますが、病院内のWi―fiを使って同じようなシステムを作るそうです。
★ポケベルとの思い出
実は私、ポケベルを使ったことがないんですが、きっとみなさんそれぞれの思い出があるだろうと、街でポケベルについて聞いてみました。
- ●「いま38歳です。持ったのが中3、当時学校の1階の公衆電話に休み時間に並んで、他の学校の友達にメッセージを送っていた。何回も何回も送っている人もいてそれだけで休み時間が終わった。」
- ●「いま52です。仕事の連絡で使っていました。営業やっていたので。会社との連絡をとる手段。サボっていて連絡するのを忘れて怒られましたね。」
- ●「54歳。仕事と彼女への連絡ですよね。番号入れらるようになって画期的だと思った。携帯出てからもしばらく使ってました。(どんな記号を使ってました?)ハートマーク笑」
昨日、お話を伺いながら年齢もチェックしました。あくまでスタンバイ調べですが、ポケベルを使っていたという最少年齢は37歳。35歳で「使ったことない」という方がいたので、36歳、37歳の人がギリギリ使っていた世代ということになりそうです。そして50代、60代になると、みなさん「仕事で使っていた」。サボっていた時に急に呼び出されたという苦い思い出をしてくれた方もいましたが、外に出ていても、会社が社員に連絡することができるのはポケベルが最初でした。それが画期的で、ポケベルには本当にお世話になったという業界が、先週末こんなイベントを開いていました。
★ポケベル葬
東京都葬祭業協同組合の渡邊 幸次さんのお話です。
- 渡邊 幸次さん
- 「実は葬祭業界は昔ポケベルと密接な関係があって、いつ仕事が発生するかわからないので、みんなポケベルが手放せない業界だった。秋葉原で「みんなのポケベル葬」というイベント、ポケベルのお葬式をして300人を超える方が来場してくれました。」
ポケベルが登場して急な呼び出しができるようになったことで「仕事が変わった」というほど、葬祭業界ではポケベルにお世話になったそうで、お葬式イベントを開催。遺影には「1141064」と書いてあって、これはポケベルで「愛してるよ」。このように色々な業界がお世話になったポケベルですが、残念ながらもう使えません。ただ、ポケベルは使えなくなりましたが、ポケベル電波は使われ続けます。
★防災情報受信で役立つポケットベル!
再び東京テレメッセージの清野さんのお話です。
- 東京テレメッセージ株式会社 代表取締役 清野 英俊さん
- 「ポケベルの「電波が入りにくい所でも入る」という機能が必要とされている分野がある。自治体が住民に危険を知らせる、避難情報を知らせる。こういうところで使われるようになってきています。今は30を超えていて、来年は80の自治体で使われる。受信機が文字を受けて音声合成ですぐ読み上げるもの。読み上げる技術が出てきたので応用が出てきたと言えます。」
ポケベル電波は携帯電話のものとは別です。例えば災害時に、電池で動く受信機を各家庭に置いておけば、携帯が使えなくなったとしても、自治体からの防災情報を受け取ることができ、しかも、文字だけを送るわけでなく、音声も受信機から出すことができます。現在30の自治体がポケベル電波を利用していて、来年は80になるということで、今後どんどん広まっていきそうです。