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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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悩ましい日照不足 活きる経験者の知恵

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ここのところ日照不足で消費が湿っているというニュースが出ていますが、食品=食べ物にまつわる方は、日照不足の影響をどう受けているのか?伺ってきました。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」7月16日(火)は、レポーターの近堂かおりが『悩ましい日照不足 活きる経験者の知恵 』というテーマで取材をしました。

 

悩ましい日照不足 活きる経験者の知恵http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190716073433

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

★おせんべいの天日干しができない!!

まずは埼玉県の名産のひとつ、【草加せんべい】。生地を天日干しするのがなかなか進まないのです。明治40年創業という老舗『小宮せんべい本舗』の小宮務さんに今年の状況をお聞きしました。

小宮務さん
「ずうっと雨が続いておりますね。7月に入ってから晴れた日というのはないんじゃないかなと思うくらいですね。本当に困ってます。乾かないんですよ。ちょっと雨が止んだときには表に干しますけどね、長い時間は干せないんですよ。で、雨が降ってきたらばーっとしまうわけです。(何枚ぐらい干すんですか?)だいたい100枚近く干しますよ。(晴れたからといってわーっと並べられるような量じゃないじゃないですか)いやあ、違います。おせんべいの大きさにもよりますけど、だいたいムシロ1枚に100枚前後乗るんですよ。(せんべいは)1万枚近くやりますから、100枚近いムシロを出したり入れたりやるんですよ。(おせんべいが100枚じゃなくて、ムシロが100枚?!)そうなんです。目が離せませんよね。」

雨が降ったり止んだりするたびに、おせんべいを干したりしまったりしているんです!小宮さんのところでは、夏はおせんべいの生地を1日半から2日、天日干ししてから焼くのだそうですが、今年はそれができなくてとても困っている。雨のせいで半乾きの状態でしまって次のチャンスを待つため、長いと1週間もかかってしまう。6月に干し終わっている在庫がもう少なくなってきた。

★天日で干すとやっぱり美味しい!

実は小宮さんのところには機械の乾燥機もあるのですが、それでも天日干しにこだわる理由があるんです。

小宮務さん
「やっぱり天日干しというのはうま味がせんべいに凝縮して乾いていきますから、おいしいおせんべいが焼き上がるんです。(やっぱりお日様だと違いますか?)違いますねえ。天日というのはいろいろな作用をいたしまして、特に紫外線、おせんべいの場合はこの紫外線がいいんですよ。これは科学的に実証されたんです。曇っていても紫外線はありますから、1時間でも2時間でも当てますと、いいおせんべいができるんです。」

天日干しにすると紫外線によっておせんべいのうま味成分が増加することが分かっている。そこが乾燥機にはないおいしさであり、草加せんべいのこだわり。
小宮さんのおせんべいを食べましたけど、たしかにおいしかったです!

小宮せんべい本舗のかたやきせんべい『沖の石』

それでも小宮さんは

●「今年は思った味がなかなか出せないんです」

と悔しそう。なんとかおいしくしようと、天気予報を注意するのはもちろん、草加特有の気温や風向きの変化を敏感に読んで、きのうもおせんべいを出し入れしたそう。ベテランの経験値が強みになりますよね!

★日照不足はお米も影響が・・・?

そんな小宮さんも気にしていたのが、日照不足のお米への影響。新聞やネットなどでは、1993年の冷夏によるコメ不足のようなことを心配する記事が見られますが、はたしてどうなのか?そこで、五ツ星お米マイスターの資格を持っていて、全国各地のブランド米の開発にも協力している、東京・目黒のお米屋さん『スズノブ』のご主人、西島豊造さんに、日照不足でお米に影響がでているのか伺いました。

西島豊造さん
「全国的に見ているとそこまで悪くはないんです。例えば新潟県・魚沼地区になると【すこぶる順調に生育中】ってコメントが来てるんですよ。高知県のほうで長雨が続いてますよね。それでも【生育は順調】というふうに来ています。青森・田舎館は【田植えのあとは天候に恵まれ、順調です】というふうになっていますね。秋田県も【生育順調】って書いてあります。九州のほうは特に今回大雨になってしまった地区に関してはまだ報告が来ていないんですよ。ただ佐賀県、北九州のほうはそこまで悪くないみたいですよ。ですから今のところ、各産地から来ている情報ですと、平年並みかそれ以上という出来になっていますね。」

少し意外な感じもしましたが、ほっとしましたね。西島さんは『お米大丈夫か?』という報道が先行して消費者が不安になっているので、お米を販売する者として、生産地にいまの状況を教えてほしいとフェイスブックで提供を呼びかけた。その返事がいまのお答え。西島さんによると、お盆前までなら稲の状態は立て直させることは可能。だから今の時点で『93年以来のコメ不足か?』というのはまだ早いとのこと。ただし、お盆を過ぎてから気温が上がらないとか長雨というのはダメージが大きいので、その頃の状態にまだ注意が必要、ということでした。

★いまこそベテランの経験値が欲しい!

それにしてもこのところ毎年のように厳しい気象条件になっていて、コメ作りは大変になっていると、西島さんは言います。

西島豊造さん
「この10年間、毎年異常気象なんですね。ですから今はもう経験値がなければだめですね。例えばお米ってお天道様とか気温とか雨とか自然条件を使って作るのでマニュアルというものがないんですよ。そのときそのときに合った作り方をしなきゃならないんですね。なので今こそ年齢を飛び超えて、産地全員で取り組むということが必要になりますね。ですから、年齢が高い人の経験値がかなりほしいんですよ。こういう天気だったら昔こういう栽培をやったよとか、そういうひと言ってとても頼りがいがあるんですね。今回の関東の低温も、昔で言うと【ヤマセ】ってありましたよね。宮城とか東北の太平洋側にあった梅雨寒です。昔の東北の人はそれをよく知っているので、そういうことを聞いてみるとか勉強するということが必要でしょうね。」

この10年は気候が毎年変わるので、同じコメ作りをしていては対応できない。だからこそデータだけでなく、ベテランの経験や知恵が活かされるというお話でした。
それにしてもおひさまが恋しい!夏らしいお天気、帰ってきてほしいですね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。


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